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零時 【序章】


藍色 優也。


名簿順に並べばほぼ100%の確率で一番。

さらに、名前だけで男に間違えられる確率も100%だったりする。


そんな私に転機がやって来た。



「今日からあなたは和山(わやま)になるのよ〜」


ある朝、私は確実に名簿の一番最後になるであろう名字になった。

十六で私を産んでから早十六年。

シングルマザーとして奮闘してきた母さんが再婚した。

相手の人には一度会ったことがあるけれど、

楽しいことが大好きという雰囲気が体中から滲み出ているような人だった。

そんな、母さんよりも少しだけ若い再婚相手にも、子どもがいる。

しかも一卵性双生児の双子だそうだ。


「ゆうちゃんと同い年の子でね、名前は確かー……颯希(さつき)知晴(ちはる)、だったかな」


颯希、ちゃん。それから知春、ちゃん。

再婚には賛成というか、母さんが幸せならそれでいいと思ってる。

それに女の子の姉妹まで増えるんなら大賛成だ。


「明日ここに引っ越してくるから、いろいろとよろしくね」


「母さん仕事だっけ?」


「そう。颯希君達だけ先に来るから面倒見てやって」


「はーい」


名字は変わるけど、住む所は変えない。

それが和山さんと母さんの約束事。

母さんが私を産むって決めてから一人暮らしを始めたこのアパート。

私の部屋、母さんの部屋、キッチン、トイレ、風呂。

一人暮らし目的にしてはかなり広くて、使ってない部屋はあと一部屋ある。


「そうだねえ……ゆうちゃんの部屋広いから、颯希君達もそこで良いかな」


「うん、任せて」


時計の針が八時を指す音が鳴る。

手元に置いておいたリュックをしょって母さんに手を振った。


「いってきます!」


「はーい」


ドアを開けた瞬間、梅雨の湿った独特な空気が鼻につく。

それでも新しい家族が増えることが嬉しくて、走って学校へ向かった。




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