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SNOW WHITE INTERLUDE -白雪姫と七つの矮星-  作者: 二ノ宮純
第1章 「白雪姫は夢の跡……」
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第1章 「白雪姫は夢の跡……」 第8話

砂月は、ミレニアムホールで開催されているORB(オーブ)財団主催の立食パーティに参加していた。


巨大なシャンデリアが天井から降り注ぐ光が、

大理石の床をきらきらと輝かせている。


世界中の名だたる富豪、政財界の重鎮、著名な芸術家たちが、それぞれのドレスやタキシードに身を包み、優雅にグラスを傾けながら会話を交わしていた。



ORB財団は世界に名を馳せる巨大財団だ。



世界の富の4%を保有しているとも言われ、

金融、政財界、芸術、教育、医療のほぼ全ての分野で頂点に君臨している。


その財団を運営するのは、ゴールドエーカー家という名家だった。


現在、財団のトップはわずか21歳という若さで就任したという噂の女性。


本来なら砂月の父・源助が招待されていたが、

パリの本社にいるため欠席となり、

代わりに砂月が出席していた。


砂月はグラスを手に、周囲を見渡した。


各業界のトップが集うこの場は、

彼女にとっても慣れない緊張を伴うものだった。


笑顔は完璧に保っているが、

心の中はどこか落ち着かない。


「よくいらしました。香取砂月さん」


突然、背後から落ち着いた美しい声がかけられた。


砂月が振り返ると、そこに立っていたのは——

輝く金色の髪が印象的で、白を基調とした洗練されたドレススーツを完璧に着こなした、すらっとした女性だった。



ミナ・ゴールドエーカー。



現在の財団のトップである女性。


「初めまして、プリベンター総帥 香取源助の代理で参りました。香取砂月ですわ」


砂月は優雅に微笑み、丁寧に頭を下げた。


「プリベンターとは良いお取引をさせていただき、感謝しています。お父様にお伝えください」


「はい、必ず」


「少し、お時間よろしくて?

一度、あなたと話をしてみたくて。香取砂月さん」


「私と……ですか?」


砂月はわずかに目を瞬いた。


世界的な財団のトップが、

自分のような学生に直接声をかけてくるなど、

予想外のことだった。


ミナは穏やかでありながら、

どこか底知れない笑みを浮かべた。



その瞳には、ただの社交辞令ではない、

明確な興味が宿っていた。


周囲の喧騒が、少し遠くに聞こえるようになった気がした。


砂月は胸の内で小さく息を整え、

静かに頷いた。


「光栄ですわ」


ミナの微笑みが、わずかに深くなる。


豪華なパーティの灯りの下で、

2人の視線が、静かに交わされた。



ミレニアムホールの片隅で、2人は静かに言葉を交わしていた。


シャンデリアの柔らかな光が、

深紅のカーペットに優しく落ち、

遠くから聞こえるグラスが触れ合う音や、

抑えた笑い声が豪華なパーティの背景のように響いている。


「SNOW WHITE、観劇させていただきました。

とても素晴らしかったです。さすが百合々咲ですね」


ミナ・ゴールドエーカーが、

穏やかでありながら芯のある声で言った。


「ありがとうございます」


砂月は優雅に微笑み返した。


「知っての通り、私の妹も舞台に生きる人です」


砂月であっても、その名はよく知っていた。



マリナ・ゴールドエーカー。



幼少の頃より数多くの舞台やドラマ、映画に出演し、史上最年少で主演女優賞を獲得したという実力者。


その才能は、エーデルを含めた百合々咲の全生徒であっても、越えることは不可能に近いと評されるほどだった。


「カリスティックアーツでご活躍されてる噂は聞いておりますわ。確か、入学早々に序列1位になられたとか」


「でもあの子達はまだ、未完成です。あの子達は常に進化を求めてます」


ミナの言葉には、妹への深い愛情と、

同時に厳しい期待が込められていた。


砂月がミナを見つめる。


「もし、あの子たちと共演なされることがありましたら。あの子達を頼みます」


「逆に面倒を見られるのは私達の方ではありません?」


砂月がわずかに微笑みながら返すと、

ミナも小さく笑った。


「どうなんでしょう?あの子が大人しくしてるとは思えませんが」


その笑みは、どこか楽しげだった。


「ところで、マリナ・ゴールドエーカーさんは本日はいらしていらっしゃらないのですか?」


「え、あぁ……いますよ。あそこに」


ミナが指差す方向を見た砂月は、

思わず目を疑った。



豪華なテーブルに山盛りになったケーキを、

両頰を膨らませて頰張る金髪の少女がいた。



「おいひ〜〜」



…あれが、天才女優、マリナ・ゴールドエーカー?




砂月は一瞬、言葉を失った。


完璧なドレスを着崩し、口の周りにクリームをつけながら幸せそうにケーキを食べる姿は、



とても「史上最年少主演女優賞受賞者」とは思えなかった。





これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……






世界を知る物語である。


第8話 完

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