詩: 桜 さだめに逆らう
掲載日:2026/03/19
一本の桜のつぼみが
まだ寒い朝に ぷくりとふくらんで
「もう少し寝てなさい」と
風に言われても
ぷいっと横を向きました
だって
待っていた春の足音が
すぐそこまで来ているのです
枝の上で
ひとつ またひとつ
こっそり花びらをひらいては
「まだ早いよ」と笑われて
「えへへ」と照れています
やがて満開になったころ
桜はそっと胸を張ります
さだめに逆らったって
ちゃんと春は来るのだと
自分で確かめたかったのです
周りの桜のつぼみが開くころ
最後の花びら一枚が
ひらりと落ちました




