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映画を丸一本見るのが我慢出来なくなった筆者の脳に起こっていること。

作者: エンゲブラ
掲載日:2026/01/27

若い頃は、それなりに見ていた映画。

それがいつしか、見るのも億劫となって、幾星霜いくせいそう


最後に映画を見たのは、クリストファー・ノーラン監督の駄作『オッペンハイマー』。その前が、やはりノーランの傑作『テネット』である。『テネット』は、目まぐるしい展開で楽しめた。だが『オッペンハイマー』は、映画館でなければ、途中で一時停止し、そのまま投げていたかもしれない。


ドラマも見なくなった。

50分近い時間、それだけに集中しなければならないというのが、どうにも居心地が悪い。「ながら見」できないコンテンツには、手も伸びなくなった。


集中力の低下。

それは年齢からくるものだと、ずっと考えていた。しかし、この考えはどうやら間違いであったと、最近になって気付いた。原因は ――「ドーパミン脳」にあるのではないかと。


テンポのいいショート動画、短く満足感のあるコンテンツ、SNSのいいね。スマホゲームでは、ガチャで、お手軽にドーパミン放出。このような快楽装置が、現代社会には、そこかしこに存在する。常に「即時報酬」を求めるファスト脳に、現代人の大半が染まっている。


ゆっくりと味わって食べる。

本来、何事においても、重要なプロセスであるが、とにかくこれが現在の私には出来ていない。マルチタスクこそが、ライフハックであるかのように、常に複数の作業を、快楽を操ることに、必死になってしまっている。


もともとの性格でもあるが、筆者は答えの遅い人間に、非常にストレスを感じる。生まれついてのファスト脳ともいえるが、言語生成AIなどの登場もあり、その傾向にさらに拍車がかかってきているのが、近年。他の作業をすべて捨て、ひとつの作品に集中するという行為には、すぐに「もったいない」という意識が芽生えてしまう。


作品を書くにしてもそうだ。

筆者が、物語よりもエッセイを好むのは、答えの早さにある。物を書くよりも会話を好むのも、この速さに原因がある。とにかくせっかちな人間であると筆者はいえる。


さて、ここで、いきなりジョン・フォン・ノイマンの話を始める。「天才」について語られる時、必ずといっていいほど、その名が出てくる20世紀の怪物。後にノーベル賞の各賞を独占していく仲間たちが、こぞって「一番の天才」と評した人物であるが、彼の思考法が非常に面白い。


誰よりも、時には当時の最新のコンピュータよりも早く、答えをはじき出す、速度と精度の秘密。それは極端な「そぎ落とし」にあったとされる。「問題以外のもの」をすべて消す。問題もアプローチの手順に従い、いま手を付けている以外の手順は、すべて一旦排除する。


ひとつの問題を解く時、数字があっていようが、なかろうが、まずは最後まで解き切る。すべてが終わった後で、今度は「数字の精査だけ」を行う。問題を解いている途中で、数字の見直しはしない。休憩をはさむまでは、その「イチ作業だけのマシーン」に、脳を置き換えるという手法である。


彼の机の上には、その日解くべき問題の資料以外は、いっさい載せなかったとされる。他の資料が視界に入ること自体が「思考のノイズ」となるためだ。時には、すべてを削ぎ落すために、壁の前に立ち、壁だけを見つめ、問題を解いたともいわれる。


―― 省みて、現代人たちはどうであろうか。

トイレに行くときでさえ、スマホを肌身離さずに持つ。

四六時中、スマホの通知を待ちわびている。

思考のノイズとなるものが、常にそこらじゅうにあり、とてもひとつのことに「集中できる環境」とはいえない。


デジタルデトックスもそうだが、まずは環境の整理こそが大事かもしれない。ミニマリストたちの生活こそが、もっとも簡素で、創造力も豊かとなるスタイルなのかもしれない。そう思わされるエピソードでもある。


いらない物をすべて捨てる。

この作業こそが、もっともゆとりのある生活のカギとなるとも言えそうだ。



男の場合、お手軽なポルノ作品とも付き合い方を考えるべきだろう。ちゃんと味のする丁寧な生活を営むためには。

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余白を削れば人は死ぬ為に生まれた事となる。 何を残そうとも後世が捨てれば意味もない。 なら、生きるという事は死までの余暇と言える。 ノイズを足そう。人が最も精神的な負荷が掛かるのは矛盾が生じた時とさ…
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