表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステラメモリア〜地球が消えて2年。俺は辺境宇宙の路地裏でアースメディア屋やってます〜  作者: 楽太郎
第1章 地球が消えて2年。俺は辺境宇宙の路地裏でアースメディア屋やってます。
5/36

第4話 セレネ

ぼんやりと記憶を整理しながら歩いていると、セレネが突然、停止した。



「マスター。……つけられてます」



「え?」



「3名。斜め後方。通信機で連絡を取り合ってます。武器の所持、確認」



武器という言葉を聞いた瞬間、冷や汗が背中を伝った。



「ボクが“高級すぎる”んですよ。こんな辺境じゃ目立ちすぎましたね」



「……なんとかできるのか?」



「もちろんです。マスター、そこから走ってください。あっちはボクが引き受けます」



「はあ!? ちょっと待――」



言い終える前に、セレネが叫ぶ。



「今です、走って!」



セレネが猛スピードで路地裏に突入した直後、そっちだ!――と、男たちの声が響いた。



反射的に俺は走り出していた。



転げるように、狭い通りを、ただ前へ――セレネを残して。

けれど俺は……走るしかなかった。



それからしばらくして、俺は人気のない路地をさまよっていた。

日が暮れて空の赤黒さは増し、街から聞こえる音は機械をいじる音から酔っぱらいの騒ぐ声へと変わっていく。



まともな記憶もなければ、あてもない。



しかし頭に浮かんでくるのは自分のことではなかった。



(……なんで、あいつのこと、考えてんだろうな)



出会ってまだ数時間。

ましてや自身の正体についてもはぐらかしてるし、肝心な情報は教えてくれない。

だけどなぜだか――俺のことを“マスター”って呼んで、隣にいてくれた。

ロボットだけど、現状、たった一つの他人とのつながり。



(なんとかできるって言ってたけど……あいつたぶん、戦えないよな…)



俺が逃げてる間、何してたんだろう。自分を囮にして、どんな目に遭ってたんだろう。



その瞬間、胸の奥がズキッと痛んだ。



体が向きを変え、足が勝手に動く。



気がついたら、セレネの向かった先にある目立たない裏通りのスクラップ置き場にいた。



ガラクタの山に囲まれたその中心に、いた。



セレネだった。背中にはケーブルがいくつも繋がれ、胴体には拘束具が取り付けられている。



「セレネ……」



その名を呼ぶと、彼女の目がふわっと灯る。



「……マスター? …逃げずにきちゃったんですね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ