魔王様と私
勇者サイドも良いけど魔王サイドが好き、って事で簡単に書いたSSです。
こんな魔王様イヤ。だけど居たら和みそうだなと思いながら。
「え? また勇者くるの?」
今日で何回目だよいい加減にしてよ、オレだって休みたいんだよこのやろう。と悪態を吐いて、魔王様はベッドの上でばたばたと足をばたつかせる。埃が舞ってますよ、魔王様。お部屋の掃除はちゃんとなさって下さい。
思えば、魔王様を倒そうと勇者一行が私たちの城にやってきたのはかれこれ一週間ほど前。
いつも魔王様に忠誠を誓っている私に倒されて、コンテニューやら何やらしているのか毎日の様にやって来ては倒され、やって来ては倒されの繰り返し。
そして通算約1765回目に私を倒すと、立ちはだかるのは勿論ラスボス魔王様。
私で苦戦していた勇者たち。勿論彼に勝てるはずもなく、またやって来ては倒されの繰り返し。
私の時なんか魔王様は笑いながら頑張れよ、なんて言っていた。
しかし今度は逆転である。ざまあみろ。
「……おい」
「なんです?」
「お前、今オレの事バカにしたろ」
「まさか。誰も魔王様が必死になってる所で鼻で笑ってなんざおりませんよ」
「うん、鼻で笑ったんだな。この野郎!」
「まあ、それはさて置きですよ。勇者が来るんで起きて下さい」
「お前相手しろ、オレは疲れた」
「私だって何千回と勇者の相手して疲れてるんですから、ほら、頑張って下さいよ。アンタ」
「魔王にアンタとか言うな。そもそも最終局面で勇者の相手してる奴って大体死ぬのに、なんでお前死んでないの? ねぇ、なんで?」
「アンタが頼りねぇからだよ(勿論、魔王様が心配なので御座います)」
「口に出てる言葉と考えてる言葉が逆だよ! いい加減にしろよ!」
いい加減にしろと言いたいのはどちらですか、本当に。子供の様に我侭言って、もう何千歳と歳取ってるクセに足してもアンタの年齢の半分にも及ばない勇者一行の方がどれだけ大人か。
取り敢えずもう出たくないと言い出した魔王様。駄目だ、こいつ。色々失格だ。
「では、最終手段を取らせて頂いても良いんでしょうか?」
「……最終手段? 勝手にしろ」
「……言いましたね?」
「おう、言ったぞ。勝手にしろ、好きにしろ、オレは構わん」
「では、私は勇者の仲間になって魔王様をお倒し致しますので」
「あーそうかよ……って待て、待て! お前、オレに忠誠誓っただろうが!」
「は? 忠誠? なんですか、それ」
「おっ前……! いい加減にしろ! 倒すぞ!」
「私を倒す力があるなら、今から来る勇者を倒したらどうです。情けない」
「なさっ……!? 畜生! 今から勇者倒してくるから、お前はオレの部屋の掃除でもしてろッ!」
若干涙目になりながらも、魔王様は部屋を飛び出していった。嗚呼、勇者さま頑張って下さい。
是非、若干頭が弱いあの魔王様を倒してやって下さい。お願いします。
「そうしたら、当分は楽出来るでしょうしね」
くすくすと笑いながら、私は魔王様のお部屋のお片づけを開始する。
この生活は、当分終わりそうもない。




