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異世界モテ期、到来!?

俺、佐藤タカシ。

中学から高校、そして大学まで、一度も彼女ができたことがない。

いや、正確には告白して玉砕したことも何度かある。

だが、その度に返ってくるのは

「ごめん、いい人止まりで」

という言葉。

まさに俺の青春は惨敗続きの連続だった。


 しかし、そんな俺にも運命の転機が訪れることになる。

それは、ある日突然、異世界に召喚されたからだ。


 気がつけば見知らぬ森の中。

異世界としか思えない光景が広がっていた。

すぐに現れた自称

「勇者を召喚する巫女」によると、俺はこの世界で「選ばれし勇者」として、魔王を倒す使命を担っているらしい。


 もちろん、そんなこと信じられるはずもないが、目の前に広がるファンタジーそのものの光景と、手にしていた剣が妙にしっくりくる感覚に、次第に現実を受け入れざるを得なくなった。


 そして、その世界での生活が始まった。

何より驚いたのは、この世界の女性たちの反応だ。

今までの俺とはまるで別人のように、彼女たちは俺に対して妙に好意的だった。

特に美人揃いの女性たちが、俺に微笑みかけ、何かと近づいてくる。


「もしかして、俺、モテる?」


 そう思った俺は、調子に乗って片っ端から告白を始めた。

そして、その結果は――


 予想以上だった。


 正直、冗談半分で告白したつもりだったんだ。

今までの人生、告白するたびに振られ続けてきた俺が、まさかここで成功するとは思ってもみなかった。

しかし、異世界の常識は俺の想像を超えていた。


 まず一人目。

城の中庭で花を摘んでいたおっとり系の美少女、エリーナ。

彼女に

「君のことが好きだ。付き合ってほしい」

と告げたところ、彼女の頬が真っ赤になり、そのまま

「私もです!」

と叫びながら俺の胸に飛び込んできた。これはさすがに驚いた。


 二人目は、訓練場で剣を振るうクールな女性騎士、アリシア。

彼女にも試しに告白してみたところ、剣を構えたまま

「貴殿に忠誠を誓います」

と言われ、俺の手を取って跪いた。

なんという忠実さだ。


 三人目に至っては、学者肌の知識豊富な魔法使い、レイラ。

彼女に

「君の知識に魅了されたんだ」

と告白した瞬間、彼女の瞳が輝き、

「これからも共に知識を探求しましょう!」

と手を取ってきた。


 気づけば俺の周りには、ハイスペックすぎる女性たちが揃い、何故か全員が俺に惚れているという信じがたい状況になっていた。


 そして、事態はさらにエスカレートしていった。


 四人目は、異世界の街中で出会った派手なギャル、リサ。

ピンク色の髪にギラギラのアクセサリー、そして大胆なファッションの彼女に告白してみたところ、

「あたしのこと本気で言ってんの?ウケる~!」

と最初は軽く流されたかと思いきや、後日

「アンタ、結構いい奴だし、マジで付き合っちゃおっかな?」

とノリノリで返事をもらった。


 五人目は、森の中で遭遇したケモ耳少女、ミュウ。

彼女は獣人族で、ふわふわの耳と尻尾が特徴的。

彼女に

「一目惚れだ」

と伝えたところ、耳がピクピクと動き、顔を真っ赤にしながら

「ホントに?嬉しいにゃん!」

と抱きついてきた。

さらに

「ご主人様って呼んでいいかにゃ?」

なんて言われ、俺の頭は完全にパンク寸前。


 六人目は、エルフの里で出会った神秘的な美女、フィオーナ。

彼女は長い金髪と尖った耳が特徴的な高貴なエルフで、知的で冷静な印象を持っていた。

彼女にも

「君に魅了された」

と伝えたところ、意外にも照れた様子で

「私でよろしいのでしょうか?貴方様のために力を尽くします」

と、これまたすんなりOKがもらえた。


 そして極めつけは、七人目に告白したのはなんと動物、いや正確にはその辺を歩いていた大きな狼だ。

冗談半分で

「君も俺のことが好きか?」

と話しかけたところ、突然言葉が聞こえてきた。

「もちろんです、マスター」。

驚いている俺に、その狼はさらに続けた。

「私、ずっと貴方様をお守りしてきたのです」。

何故か動物の言葉まで理解できるようになった俺は、完全にパラレルワールドの住人となってしまった。


 八人目は、街で出会った猫耳の少女、ミア。小さな体に大きな耳と尻尾がついた、まさに愛くるしい存在だ。彼女は露店で宝石を物色しているところを見かけ、思わず「君のような可愛い子に、この宝石は似合いそうだね」と声をかけた。その瞬間、彼女の耳がピクッと動き、尻尾がゆらゆらと揺れ始めた。


「えっ、ホントに? 私なんかに…?」


 そう言いながらも、彼女は頬を赤らめ、俺の手を取って「ありがとう!」と小さな声で囁いた。なんと、この猫耳少女まで俺に懐いてしまったようだ。


 九人目は、聖なる湖で出会った水の精霊、アクア。彼女は透き通るような青い髪と神秘的な瞳を持ち、その姿はまるで水の女神そのもの。彼女に「君の美しさに心を奪われた」と告げると、アクアは優しく微笑んで「貴方の心の清らかさに、私も引き寄せられました」と言って、湖の中から手を伸ばしてきた。


 そして、十人目は王国一の美女と言われる王女、エリゼ。彼女に告白するのはさすがに無謀だと思ったが、これまでの流れからいって、もしかして…と思い、意を決して伝えてみた。すると、王女は驚いた表情を見せたものの、「貴方の勇気に心を打たれました。私で良ければ、喜んで」と微笑んだ。


 こうして、俺の異世界ハーレムは10人の美少女たちでいっぱいになった。しかし、この幸せすぎる状況に、俺は少しだけ不安を感じ始めていた。果たして、この異世界での生活は本当に夢のようなものであり続けるのか?


 俺のハーレムが10人になった頃、予想外の出来事が訪れる。それは、異世界の王国を統治する王が突然俺を召喚し、「勇者タカシよ、君の力を貸してほしい」と頼んできたのだ。どうやら魔王の軍勢が迫っており、国が危機に瀕しているという。


 「え、俺が…?」


 もちろん、俺はただの一般人で、特別な戦闘スキルがあるわけではない。しかし、周りのハイスペックな美女たちは一斉に俺に賛同し、「私たちが守るわ!」と言い出した。エリーナは回復魔法を、アリシアは剣を、レイラは強力な魔法を、そして他のメンバーもそれぞれの力を発揮して、俺をサポートしてくれるという。


 「この世界で、俺がモテるだけじゃなくて、戦いにも勝てるのか?」


 自信がないまま、俺は彼女たちと共に戦場へと向かうことになった。しかし、戦場に到着すると、俺の不安はすぐに吹き飛んだ。彼女たちの圧倒的な力で、魔王軍は次々と撃退されていく。まるで夢のような光景だった。


 そして、ついに魔王との対峙が始まった。その瞬間、俺は決意した。ここで逃げるわけにはいかない。今までの俺とは違う。異世界での新たな人生を、この戦いで証明してみせるのだ。


 「行くぞ、みんな!」


 俺は彼女たちと共に、魔王に立ち向かっていった。果たして、この戦いの結末は――。


 魔王との戦いが始まった瞬間、俺はただ圧倒されるばかりだった。魔王は巨大で、暗黒のオーラを放ち、まるでこの世の終わりを象徴するかのような存在感を放っていた。しかし、俺のそばには頼れる仲間たちがいる。それだけで、なぜか心強かった。


 「タカシ様、私たちを信じてください!」エリーナが言い、回復魔法の光を俺に送ってくれる。アリシアは剣を抜き、魔王に突撃していく。「私たちが絶対に守ります!」フィオーナは遠距離から弓矢を放ち、魔王の隙を狙う。


 しかし、魔王もただでは終わらない。強力な魔法を次々と放ち、フィールド全体が崩れそうになる。「これは…ヤバいんじゃないか?」と思った瞬間、アクアが「今です、タカシ様!」と叫んだ。


 アクアの声に従い、俺は彼女が教えてくれた魔法の剣を握りしめ、魔王に向かって突っ込んだ。「いっけぇぇぇぇ!」これまでただの告白しかしてこなかった俺が、今や異世界の命運を握っているとは思いもしなかった。しかし、俺の剣が魔王に触れた瞬間、何かが変わった。


 「うわああああ!」魔王が叫び、闇の力が一気に消えていく。俺は信じられない思いで、勝利を感じた。そして――


 「タカシ様、やりましたね!」ミアが嬉しそうに駆け寄ってきた。


 こうして、俺たちはついに魔王を倒したのだ。


 魔王を倒したことで、俺たちは異世界全土で英雄扱いを受けるようになった。各地の領主や貴族が祝福の言葉を送ってきて、さらには王宮で盛大なパーティーまで開かれることに。まさか、ただモテたいと思っていただけの俺が、こんな大舞台に立つことになるとは――人生、何が起こるかわからないものだ。


 パーティー会場では、俺の周りにハーレムの美女たちが集まっていた。エリーナは俺の腕にそっと触れ、アリシアはいつも通りクールに俺を見守り、リサは「アンタ、ホントに凄いじゃん!」と軽口を叩きながらも、誇らしげに笑っている。ミュウやフィオーナ、そして狼までもが、俺の周りで楽しそうに会話を交わしていた。


 その時、ふと疑問が頭をよぎった。「このまま、この世界に居続けるべきなのか?」魔王を倒したことで俺の役目は終わったのかもしれない。しかし、異世界での生活にすっかり馴染み、ハーレムを築いてしまった今、元の世界に帰りたいと思う気持ちはほとんどなかった。


 「ねぇ、タカシ様、これからもずっと一緒にいてくれるよね?」ミアが、俺の顔を覗き込んでくる。彼女の純粋な瞳に、俺は一瞬言葉を失った。


 「もちろんだよ、ミア。これからも、みんなと一緒にさ!」


 そう答えた瞬間、俺は決意した。この異世界で、これからも彼女たちと共に生きていくと。そして新たな冒険が、俺たちを待っている――。

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