第5話 S・A・A
では、早速。
スマホの地図の示す場所へ行こうじゃないか。
その〝メインクエスト〟とやらを片っ端から終わらせていくための第一段階。
あたしが扉に手をかけると「またさっきの怪物に襲われたらどうするのかね?」と引き止められた。
た、確かに……。
あたしの持っている拳銃は撃てねえもんなあ。
創は本に文字を書きこみ始める。
何書いてんだか?
「S・A・A」
「……?」
「今この瞬間から、そのシングルアクションアーミーは『召喚獣を召喚する銃』に生まれ変わったからね」
なんだそれ。
スマホを白衣のポケットにしまって、ホルスターから拳銃を取り出す。
特になんか形や色が変わったようには見えない。
「その銃をモンスターに向かって撃てば、そのモンスターの弱点属性の召喚獣を呼び出せる。宙に向かって撃てば背中に乗せて運んでくれる《フェザーホーク》を召喚できて、色々と便利だから試してみてね」
「しょーかんじゅー?」
「拾肆ちゃんの代わりにモンスターと戦ってくれる心強い仲間だね」
「おお!」
それならそうと言ってくれや。
文化の違いについていくのが大変。
あたしは大天才だから努力でカバーすんだけど。
「そうだね……拾肆ちゃんはサマナーでどうかね」
「って何?」
「召喚獣で戦う、この世界の職業だね」
「召喚はサモンだからサモナーじゃねェの?」
「……このゲームはサマナーってことになっているから、サマナーで納得しておこうね?」
頭の中で情報を整理する。
あたしがこの世界でやるべきことは〝メインクエスト〟を最後までやり遂げること。
そうすればあの世界のアンゴルモアや怪物は創の力で【抹消】される。
あたしはこの世界でサマナーっていう職業に就いて?
拳銃を撃てば召喚獣っていう仲間が出てきて?
――あたしは『人類の平和のために生まれた』から、その『平和』を脅かす存在が消えてなくなればあたしの〝使命〟は果たされる。




