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清く正しく美しい編集者様と私のバトル!!

 昨日の朝はトラブル続きで血管が切れそうでした! 実際にちょっと切れたかも。


泣きながら削った28行がムダになるかもしれない、また最初から削除しないといけないかもしれない、校閲様が見てくださった校正だって戻ってくるし、それをたった1日で修正して返送しないといけない! そんなのムリだ! ムキイイイイ!

頭をかきむしっていると、パソコン画面に「再認証してください」「IDを入れてください」「パスを入れてください」「機能が使えなくなります」ワケのわからん文字がバンバン出てくる!!


ど修羅場でパソコンが使えなくなったら一大事! でもどうしたらいいんだ!? とりあえず、すべてを放り出してバイトへ行こう! (← 現実から逃げた)

アレコレしていたのでバイトに遅刻しそう! 急いで準備しないと!!

バタバタしてたら担当様から電話がかかってきた! ごめんなさい! 10分しか時間がないんです!


やはり嫌な予感は的中していました! 紙媒体のゲラが完成しているので、パソコンでの修正はできないとのこと。修正するならすべてゲラに赤ペンで入れる必要がある。

私はWordで削除作業をしたので、その履歴を見ながらゲラへ記入しないといけない。しかし履歴を残す設定にしていなかったので、原稿とゲラを突き合わせて一文字ずつ確認しないといけない。そんな途方もなくメンドクサイ作業を誰がするんだ!?


担当様:私がやります!

ソウ:いや、しなくていいです! そんなことしてたら数週間かかりますから! 私がやります!

担当:ゲラの段組みとかイラストとの兼ね合いを考えながらやらないといけないので、ソウさんには無理です! 私がやります!

ソウ:そんな機械的な作業で担当様のお手を煩わせるわけにはいきません! 

担当:元はと言えば、私の進行ミスです! 私が責任を取ります!

ソウ:担当様は悪くないです! 私がバイトに時間を取られるようになったのは、担当様のミスではありません! ご自分を責めるのはやめてください!


ど修羅場なのに相手を思いやって自分が犠牲になろうとする高潔な二人! さすが児童文学にたずさわるだけある! 二人とも清く正しく美しい!! なんて素晴らしいんだ!! 私も素晴らしいけれど、ご自身の作業だけでも大変なのに私の分の作業までしてくださろうとしている担当様に頭が下がります! これ以上、清く正しく美しい担当様にご迷惑をかけるワケにはいかない! なんて美しい二人! あまりの素晴らしさに涙が出そう!!


ソウ:わかりました。今回は後書きは無しにしましょう。

担当:えっっっ!?

ソウ:後書きを入れるために本文を28行削除しないといけないんですよね?

担当:そうです。

ソウ:でも28行削って後書きを入れると、ゲラが大幅にズレるんですよね?

担当:そうです。

ソウ:だから今回の後書きは無しにします。そうすればゲラの大幅な修正がなくなって、予定通りに出版できますから。


本当は断腸の思いの決断です。後書きには愛する読者様へのメッセージと、二巻の執筆にご協力くださった方々への謝辞が詰め込まれています。私が自分でどうにかできるなら何としてでも入れたい!! でもこれ以上ゴリ押しすると、担当様にご迷惑がかかってしまう!! 本当は是が非でも入れたい後書きだけど我慢します!!


担当:ソウさんの言うことはごもっともなんですけど、やっぱり本文を削りましょう。

ソウ:えっっっ!?

担当:黒幕と姫さまが対決する場面、あそこをバッサリ削りましょう!

ソウ:だってそんなことしたら、ゲラがズレるでしょう!?

担当:ズレても構いません! じつは…………。

ソウ:じつは??























担当:じつは……、あの場面、おもしろくないんですよ。

ソウ:はああああああああああああああっっっ!? おもんないなら最初に言えやあああああ!!

担当:あのシーン、心理的な駆け引きが繰り広げられるでしょう? そういうのってイラストが付けにくいんです。そしてイラストがないと、子どもたちはお話についてこれないんです。だから削除しましょう!

ソウ:そんなの知るかああああああ!!!!!

担当:あとね、後書きもあんまり響かないってゆうか……。おもんない。

ソウ:後書きにおもしろさとか狙ってないわああああああ!!


さっきまで美しい譲り合いをしていた二人がいきなり泥仕合を始めた! 面白さが身上のコメディ作家わたしに向かって「おもんない」を連発する担当者! てめぇ、そこへなおれ! ぶっ〇してやる!!


担当:でも、おもんないんですよねぇ……。


私はものすごくイエスマンです。大抵のことはイエスと言います。今だってイエスと言えば丸く収まる。それより何より「おもんない」と言われたら傷つくはずです。傷ついた結果、弱気になってベテラン編集者様の言いなりになるのが自然な流れだと思う。

でも私、傷つきませんでした! だって絶対に面白いシーンだから!! おもんないと言われても傷つかないくらい自信があるから!!


正直、他のシーンだったら心が折れていたかもしれない。結果、担当様の言いなりになっていたでしょう。面白くなくてごめんなさいと謝りさえしたかも。

………………ここまで書いて気づきました。他のシーンでも心は折れません! どのシーンも自信満々ですから!! 絶対に面白いから!!


中途ハンパに書いた文章なんて一つもありません!! どこを読んでも面白いに決まっている! たとえベテランの担当様がおもんないと言ったって、そこは譲れない!! 私は読者様が何度も読み返してくれるお話を書きたいんだ! 小学生だった子が大人になっても読み返す本を目指しているんだ! だから子どもに理解は難しいと言われても迎合するつもりはござらん!! その時はわからなくても何年も後でそういうことだったのかと面白がってほしいんだ!!


それに私は、あのシーンを書くために二巻を書いたのだ! そのシーンをバッサリ削ったら二巻を書いた意味がなくなる!! 誰が何と言おうとも削除はさせん!! たとえベテラン編集者でも私は譲らん!!

ふだんは確たる芯がなくてフラフラしている私ですけれど、やるときゃやります!! ゴリゴリに押して自分の意見を通しました!! 後書きがなくなるのは悲しいけれど、あのシーンは残す!! 

担当様も最後はわかってくれて、私の意見が採用されました!!


こんな丁々発止の戦いを繰り広げて生み出されるお話って、どんな文芸作品かと思われるかもしれません。壮大なスケールの歴史ドラマみたいでしょう?














ぜんぜんそんなコトないですよ。ww 愉快なコメディです♪ サラサラ読めて「おもしろかったなぁ~!」そう思ってもらえる楽しいお話です♪ 予定通りに行けば、7月くらいに出版されます。もし7月になっても発売されなかったら「なんかトラブルがあったな……」そう思ってください(苦笑)。

そしてトラブルの詳細をお知りになりたい方は、このエッセイをお読みください。必ずネタにして書いてますから!!

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