急に出会う人々。
〇とあるご婦人
以前に市役所で働いていた頃、庁舎を歩いていると年配のご婦人が案内板を見上げていました。
ソウ:良かったらご案内しましょうか?
婦人:助かります♪ 〇〇課へお願いします♪
私たちは連れ立って歩きはじめました。ご婦人は60~70代くらいでヒマワリを思わせる鮮やかで大きな帽子と、花びらのようにヒラヒラ揺れる青いスカートがよくお似合いです。ふくよかな身体つきですが、その足取りはダンスを踊っているように軽い。そして機嫌よくフンフン♪と鼻歌を歌っている! すごく楽しそうで素敵な方!
目的の課までほんの10mくらい。どうする!? でもチャンスは今しかない!!
ソウ:あの……初対面でお伺いするのもアレなのですが……。どうしてそんなに素敵なのですか?
婦人:あら!? まぁ! 誉めてくださるの!? 嬉しいわ! ありがとう!
ソウ:できればお客様が素敵な理由を教えてください……(ぜひマネしたい!)……。
婦人:うふふ♪ 素敵なんて言われたのは久しぶり! 嬉しい♪ 素敵かどうかわからないけど、いつも機嫌良くすごせるようにしてるわ♪ 体操したり、食事に気をつけたり。
ソウ:ああ、ご健康だから素敵に見えるのですね! 健康は大事ですね!
婦人:そうね健康は大事ね♪ 私も高血圧や心臓疾患はあるけど、それ以外は健康よ!
ソウ:え? 高血圧や心臓……? それって……わりと深刻な病気では……?
ご婦人は大輪のバラのように華麗に笑いました!
婦人:80歳だからそれなりの病気はするわ! でもそれって仕方のないことじゃない? 気にしてクヨクヨするより楽しく過ごしたいもの! 今日はあなたに会えたからとっても良い気分! ありがとう!
ソウ:こちらこそお会いできて嬉しいです! ありがとうございます!
まさか80歳とは!! とても見えなかった! 楽しくご機嫌さんで過ごしていたら、何歳になっても大輪のバラのように笑えるんだ! ぜひ見習います!!
〇とある道の駅で
私は彼と一緒に道の駅でブラブラ歩いていました。地元のとれたて野菜が色とりどりに並んでいて、キレイでおいしそうです♪ その中に親指ほどのキャベツがありました。いつも見ているキャベツは大きいのに、このキャベツはちっちゃい! かわいい!
ソウ:ねぇ、見てみて! これ、かわいい~♡
私はちっちゃなキャベツを見ながら、彼のシャツを引っ張りました。そして彼のほうを見ると……、
ぜんぜん知らない男性でした!! しまった! まちがえた!! いつの間にか離れた彼は、遠くでトマトを買おうか迷っていました! いつの間にあんなに遠くへ!?
ソウ:ごごご、ごめんなさい! 人ちがいをしてしまいました! すみません!!
男性:かまわないですよ~。ww
男性は笑顔で行き過ぎようとしましたが、足を止めて言いました。
男性:それで、何がかわいいんですか?ww
ソウ:こ、これ……。このキャベツが……。
男性:うわぁ! ちっちゃくて本当に可愛いですね~!
ソウ:ですよね!?
男性:うん。これは可愛い♪
男性はニコニコしながらその場を離れてゆきました。人ちがいされても動じず笑顔で答える大人の余裕! まさに大人です! 素晴らしい!! 私もそんな大人になりたい!
〇迷子の男の子
その小さな男の子はスーパーで怖い顔をして歩いていました。3歳くらいの男の子です。どうやら保護者とはぐれてしまったらしい。しばらくそっと見守っていましたけれど、保護者は見あたらない。男の子は不安とイラだちで顔をしかめています。泣き出す前に保護したほうがいいかも……。
ソウ:ひとり? だれときたの?
男児:…………ママ。
ソウ:ママいなくなっちゃった?
男児:……(コクリ)。
ソウ:じゃあママをお店の人にマイクで呼んでもらったら、すぐに見つかるよ! お店の人のところにいっしょに行こう?
すると男の子が手をつなぐため、小さな手のひらを私に差しだしたのです! どこの誰ともわからん私を信用して、あなたは私と手をつないでくれるの!? なんてイイコ! 感動して泣けてくるわ!! そして二人で手をつないでサービスカウンターへ行くと、男の子を見失って血相を変えたママさんが店員さんに事情を話しているところでした。男の子はママさんに走り寄ると、小さな手でしっかりママさんの手をつかみました。
その小さな手で幸せをしっかりつかんで離さないでね!
〇服かぶり
混みあった電車で知らない女性が、私と同じシャツを着ていました。色も形もまったく同じ、ピンクのシャツです。そんなに有名なブランドじゃないし、色だってありきたりの色じゃない。まさか同じシャツを着ている人と遭遇するとは! 私は気まずい思いで女性から離れて立ちました。 あちらも気づいたら気まずいだろうなぁ……。 見つからないように隠れていよう……。
電車が駅に到着しました。女性はその駅で降りるようで、ドアが開くのを待っています。良かった! これで気まずい思いをせずにすむ! 人込みの間からそっと彼女を見ていたら、私の視線を感じたのか女性が急にこちらを見た! そしてシャツに気づいた! げげ! 気まずい!! 彼女が私のシャツを指差しました! そして…………、
こちらを指差したまま、ものすごく嬉しそうに笑いながら電車を降りてゆきました! まるで知らない場所で仲良しの友達を見つけたみたいな笑顔でした! 私は気まずいと思ったけれど、彼女はすごく嬉しそうでした! 同じシャツが好きな二人だから、もしかしたら気の合うお友達になれたかも。
朝起きたときは想像もしてなかった嬉しいことが、急に起こります♪ そしてずっと後になっても思い出すたび嬉しい気持ちになります♪
そんな嬉しい出来事が、あなた様にも起こりますように☆




