1週間前でもムリだから、1年前はもっとムリです!!
昨日は一人でジムのバイトでした……! 数日前からキンチョーして、昨日はエッセイを書く余裕がなかった……!
一人でジムを開けて、一人でいろいろなお仕事をして、一人でジムを閉めるのですよ! バイトを始めてまだ一カ月もたってないのに早すぎるやろう!? 数日前からクヨクヨして、終わった後も失敗に気づいて「あああああ!!」って叫んでいましたけれど、おかげさまで何とか無事に終わりました! 今のお仕事のありがたいところは、失敗しても誰も死なないところです! 前の児童虐待とかDVの現場は、一瞬の判断ミスで死人が出るから本当にしんどかった!!
無事に終わったので嬉々としてエッセイのご感想を読んでいました♪ 皆さまからのご感想が、私の活力になっております! ありがとうございます! そしてたんばりんさんのご感想「(タバコを買った日にちを)1週間近く外してるやないかい!(笑)」を見て思い出した出来事が……。
以前に家族(両親・兄)と暮らしていた頃、家に刑事さんが来たのです! 二人の刑事さんが言うには、うちの車が殺人事件(!!)に使われたらしい……。
刑事:1年前の〇月〇日に門司の港で殺人事件がありました。車で被害者をはねて海へ投げ込み、犯人は逃走しました。目撃情報によると、車種と車の色とナンバーがお宅の車と一致します。1年前の〇月〇日に、皆さんが何をしていたのか教えていただきたい。また後日うかがいますので、その時までに思い出しておいてください。
刑事さんたちは母にそう言い残して帰ってゆきました。母は慌てふためいで家族に連絡して、緊急家族会議が開かれました。参加者は父と母、兄、わたしの4人です。
母:昨年の〇月〇日っち言われたばい。みんな、その日は何しよった?
父:平日やけん仕事しとった。
父は仕事人間でしたし判で押したように規則正しい生活を送っているので、平日なら仕事で間違いないでしょう。
母:お兄ちゃんは?
兄:仕事やと思うけど、わからん……。
兄は友達が多く、仕事以外はあちこちで友達と遊びまわっていました。家を数日あけることもよくありましたし、誰といたのか兄本人も思い出せないほどお友達が多かった。
母:マチちゃんは?
たんばりんさんからご指摘されたように、わたしは1週間前のことさえおぼえていません。1年も前になると思い出すのは不可能です!!
マチ:わかんないよ……。
両親と兄がじっと私を見つめています。そして母がおそるおそる口を開きました。
母:マチちゃん……、殺した?
わたしは言葉を失いました。わたし疑われてるっっっ!? 母が私ならやりかねないと思ってる!! お母さん、ひどい! お父さん、お兄ちゃん、お母さんを叱ってよ!! 父と兄に助けを求めて二人を見ると、二人とも不安そうに私を凝視しています。 えええ!? 3人とも私を疑ってる!!
兄:マチは理解できないことをする時があるけん……。
父:…………(無言でうなずく)。
母:正直に言うっちゃ……。
うわあああああ!! 実の両親と兄が、私なら人を殺しかねないと思っている!! そういう風に見られたいたのか!? めちゃくちゃショックなんですけど!! ショックと混乱で動揺して、その日に何をしていたか思い出そうとしても思い出せない! いやたぶん落ち着いてても思い出すのはムリ!! 言葉が出せずに黙り込む私を見て、罪を認めたとカン違いした3人も黙り込みます。重苦しい空気が食卓を包んだとき、私はひらめきました!
ソウ:私、日記をつけてたかもしれない!
二階へ駆け登って机の引き出しを開けます。あった! 日記を書いたノートがあった!! 当時はときどき日記を書いていました。もし該当する日に日記を書いていたら、私のアリバイが証明できる! 冷や汗ダラダラでページをめくると、該当する日がありました!!
ソウ:私、その日は自動車学校へ行ってた! まだ免許を取ってなかった! 免許ないから運転できないよ! 殺人犯は私じゃない!!
「殺人犯は私じゃない!」人生でまれに見るパワーワードです。こんなこと言う日が来るなんて夢にも思わなかった!! それも家族に向かって!!
母:さすがのマチちゃんも免許がないのに門司まで行くことはせんやろうねぇ……。
兄:うちから門司は遠いけんねぇ……。
父:…………(無言でうなずく)。
いやちがうやろう!? 行けるとか行けないとか言う前に無条件で「マチがそんなことするわけない!」って言ってくれよ!! もし日記がなかったら私は殺人犯の濡れ衣を着せられてたのか!? 家族だけは私を信じてくれてると思っていたが、意外とそうじゃなかったのか!? ショックだぞ!! めちゃくちゃショックだぞ!!
母:……それなら……。
兄:……お父さん……。
ソウ:なんで殺したの!?
次なる容疑者は、全員一致で父でした……。
母:正直に話すっちゃ。
兄:警察に言えんことでも、ここでは話すばい。
ソウ:なんで殺した??
無口な父が目を見開きました。
父:オレは……やってない……!!
母:誰でもそう言うらしいねぇ……。
兄:これからどうしようか……??
ソウ:刑事さんに正直に話したほうがいいと思う……。
父:オレは……オレはやってないぞ!!
それから父を事情聴取(取り調べとも言う)した結果、どうやらシロらしいと意見が一致しました。今おもえば、どうして父が人を殺したと思ったんだろう……? でもその時は、母も兄も私も父が犯人だと思ったんです……。ごめん、父。
数日後、刑事さんが訪ねてきました。母だけが在宅していて、他の3人は出かけていた。母は緊急家族会議で聞き取った結果を刑事さんに伝えました。
母:夫と長男は仕事で、長女はまだ運転免許を取っていなかったようです。私たち家族は事件に関係ないと思います。車の鍵は玄関にありますから、誰かが勝手にうちの車を使ったのかもしれません。うちの車で誰かが人をはねたなら、車を持っていって調べてもらってかまいません。
刑事:じつはすでに調べました。先日お宅へ伺う前、家の前に車が駐車してあったので、詳細に見てみましたが人をはねた痕跡は見つかりませんでした。車種と色とナンバーが一致しているのは事実です。けれどもナンバープレートに記載されている地名は不明なんです。県外の車の可能性が高いので、いま照会している途中です。また何か思い出したらご連絡ください。それでは。
なんてこったい! よく考えたら車種も色もナンバーも一緒で、地名が違う車なんていくらでもある! 門司は福岡県と山口県の県境だし、高速道路のインターからも近い! 港だから貨物船で来た県外の車がウロウロしてるから、誰も怪しまない!! お父さん、うたがってごめんよ!
母:でもパパが犯人かと思ったんよ……。
兄:そうそう。
ソウ:うたがわれるお父さんも良くないと思うよ?
父:…………。
こうして我が家の殺人事件は未解決のまま幕を閉じました。後には家族同士で疑い合ったビミョ~な空気だけが残りました。
そして父は他界し私は福岡県を出て、母や兄から遠く離れて暮らしています。今でも母や兄から「マチなら人を殺しかねん……」とか思われてるのかな? でも安心してください! 誰も死なないバイトをしていますから!!
私が殺人の濡れ衣を着せられたら、愛する読者のみなさま! 「ソウはそんなことしない!!」っておっしゃってくださいね!! どうぞお願いします!!




