地球から離れたくない……(涙)。
二日ほどエッセイの更新ができず、なろう仲間の黒うさぎさんが「ソウはなにをしてるんだろうか?」そう心配してくださっていた頃、私はピンチの真っただ中にいました!
「こわい~! クラクラします~!」そう絶叫していたのです。あなた様は脚立の一番上に乗ったことが、おありになりますか? 私は昨日が初めてです! ほんとに怖かった!!
場所はバイト先のスポーツジムです。イケメンで年下の先輩(私は50代、先輩は30代)が私に近づいて来ました。ちなみにまだ彼のマスクを外した顔は見ていません。見えてる部分はとんでもなくイケメンなので、マスクの下がどうなっているか興味津々です!! バイトへ行く楽しみの一つでもあります! その先輩が私に告げた。
先輩:今日はエアコンのフィルターを掃除します。
ソウ:それはお疲れ様です。フィルターのお掃除なんて仕事があるのですね。知らなかったです。応援してます♪
先輩:……やるのはソウさんです。僕はやり方をレクチャーします。
ソウ:あわわ! そうだったんですか! すみません!
先輩は私にお手本を見せるため、軽々と脚立を持ち運んでいとも簡単に脚立の一番上へのぼると、天井に取り付けてあるエアコンの蓋を外してフィルターを取り出しました。カンタンじゃん♪
先輩:次のエアコンはソウさんがやってみてください。
ソウ:うぃっす!
そして移動して脚立を置いて一段ずつ登ったのですが、一段あがるたびに恐怖感が増してゆく! なんなのこれ!? めちゃめちゃ怖いんですけど!! あまりの怖さに一番上にのぼることができず、上から二段目でモタモタします。ここでも怖い! じゅうぶん怖い!! そして手を伸ばすと……、
エアコンに手が届かない……(涙)。おそるおそる片足を最上段に乗せた途端、クラクラクラ~っと目まいがしました。私が踏みしめている場所は、私の頭より高い場所です。高さにすれば2メートルにもならないのですけれど、めちゃめちゃ怖い……。あまりの怖さに脳が現実の受け入れを拒否して、昔の話が走馬灯のように脳内でリフレインします。ってか今思えばあれは、ガチの走馬灯だった……(涙)。死を覚悟した脳が走馬灯を回してた……(涙)。
元夫は高所恐怖症でした。脚立でのぼることができるのは一段目だけで、それより上へはけしてのぼらなかった。彼は仕事で地下へもぐることがありました。地下50m(!)の場所にある共同溝(ガスや水道などのライフラインがまとめて設置してるらしい)が目的地です。
地下50mの場所へ行くのに、エレベーターなどはありません。マンホールからハシゴを使って一段ずつ自力で降りてゆくのです。
ソウ:ねえ、それって脚立だとしたらものすごい高さだよね?
元夫:……うん。
ソウ:あなた脚立は一段しかのぼれないのに、そっちはのぼり降りできるんだ。
元夫:……うん。
ソウ:そのハシゴを脚立にしたら、何万段もあると思うよ? なんでそれはできるの?
元夫:……地面より上には行きたくないけど、地面より下なら行ける……。
落ちた時のダメージはどちらも同じだと思うのですが、これってどういう理論なんだろう??
なんてことを考えている場合じゃありません! いま落ちたら私にダメージが!! 私を囲んでいるのは幾台ものゴツイ運動マシンです。どれもやたらと複雑な構造で頑丈。どれにぶつかってもタダではすまない! 下を見るな! 上(天井)を見ろ! そして顔を上げるとめまいがクラクラクラ~……!
下で見ていた先輩が心配して声をかけてくれました。
先輩:大丈夫ですか? 大丈夫じゃなかったら、しなくていいですよ?
(大丈夫じゃないです! やりたくないです! 降りたいです!)
先輩:もういいですよ! 僕がやります。
この一言で私の負けん気に火がついた!
ソウ:やります! これでお給料もらってるんですから、できます!
そして勇気を振り絞って脚立から手を離すとエアコンの蓋を開けてフィルターを回収! できた! 取り外しができた! って、手にフィルター持ったままどうやって降りたらいいんだあああああ!!
ソウ:先輩、すみません(涙)。今日だけフィルターを預かってください(涙)。次回からは一人でやります。今日だけ……(涙)。
フィルターを先輩に渡して、両手を使って脚立を降りる。なんとか無事に地上へ帰還できました! 気分は宇宙から帰って来た宇宙飛行士です! 母なる地球へ帰ってきました!!! もう二度と離れたくない!!
ソウ:……地球って、いいですね(涙)。
先輩:できなかったら、しなくてもいいんですよ。
ソウ:仕事ですから、そういうワケには……。
先輩:前にいた人は高い場所がニガテだったので、僕がしていました。その人はフィルターを受け取ったり、脚立を移動してくれました。分業ですればいいから、できなかったらしなくていいんですよ。
ソウ:え? そうなんですか?
先輩:そうですよ。高い所が苦手ならしなくていいです。他の仕事をしてもらえばいいんですから。
ソウ:私、高い所ニガテなんです。今やった仕事、できません!!
そして先輩が言った一言は…………、
先輩:遅いです。できた後に言ってもダメです。
ちきしょおおおおおおお!!!!!! ヘンな負けん気出さずに尻尾巻いて逃げればよかったああああ!!!!!
ソウ:先輩は私が脚立にのぼったシーンを見たかもしれませんけれど、それ、幻想ですから。
先輩:幻想じゃありません、ちゃんと見ました。ダメです。次から一人でやってください。ww
失敗したああああああああああ!!!!!!!! すっかり忘れていましたけれど、ここは優しい職場でした! 今思えば、その優しさの片鱗はあちこちにあったのです! 入ってすぐミスターGと遭遇しました。彼が出るのはかなり珍しいそうで、店長がアタフタしてやっつけた! 動かなくなった彼を私が回収しようとしたら店長が言いました。
店長:ソウさん、ムシは大丈夫ですか? もしダメだったら僕が処理しますよ?
ソウ:好きではありませんけれど、お仕事ですから!
店長:他の店でぜんぜんムシがダメなコがいます。今どきのコは虫がニガテみたいで、カナブンとかでもぜんぜんダメなコが何人かいます。ww
ソウ:カナブンさえ!? じゃあミスターが出たらどうするんですか!?
店長:ぜんぶ僕が処理しますよ。ww だって見るのもダメなんですから。ww
それにゴミを集積所へ持っていくのだって!
先輩:ソウさん、暗い所は大丈夫ですか?
ソウ:?? 程度によりますけど大丈夫ですよ??
先輩:ここ、暗いでしょう?
ソウ:まあ、暗いといえば暗いですね。
先輩:〇〇さんは暗い場所がニガテなので、ここへは来たがりません。だからゴミ出しNGです。もし〇〇さんと一緒のシフトになったら、ソウさんがゴミを運んであげてください。
……めちゃくちゃ優しくないですか?? お互いができない仕事はしなくてイイと相手を気遣っている……。今までの職場でそんな配慮は望むだけムダだったので、考えたことさえなかった……。
あなた様は! 学校や職場でニガテなことをやるよう言われたときは「できません!」そう言ってくださいませね!! ムリしてやってケガでもしたら大変ですから!! 逃げるが勝ちですよ!!
私みたいにヘンな負けん気出さないでくださいませね! 今、心の底から後悔してますから!!
ちっきしょおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!




