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ウッカリ中国へ行ってしまったお話 4(採用試験??)

ジリリリリ~ン! ジリリリリ~ン! ジリリリリ~ン!


真っ暗なホテルの部屋にベルの音が鳴り響きます。なんの音だ!? パニックで飛び起きます。


ジリリリリ~ン! ジリリリリ~ン! ジリリリリ~ン!


電話だ! 部屋に備え付けの電話が鳴ってる!


ソウ:もひもひ?

社長:今からホテルを出ます。15分以内に荷物をまとめてロビーに来てください。


たった15分で!? あわててベッドを出ます。ふだんの私はお出かけの準備に2時間かかりますけれど、言われたからには本気出す! 目についた荷物をバッグに投げ込んで洗顔とお化粧をしてロビーへ走ります。ゼイゼイしながら走って、10分後にロビーで待っているご一同と合流しました。間に合った! 駈け込んできたのは私だけで、社長もソンご夫妻もお客のA様も落ち着いたようすです。今は朝の5時で、集合時間は9時だったのになぜ??


社長:予定を変更して移動します。この街では望ましい女性が見つからなかったので、A様にふさわしい女性がいる街へ行きます。


この時は社長の説明を聞いてそういうもんかと納得していましたけれど、今回のエッセイを書いていて気付きました。この急な早朝の予定変更、私の入社試験だったのだと思います。臨機応変に対応できるか試したかったんだと思う。だってA様が先に待ってたってことは、予定変更は私が知るより先にA様に伝えられていたという証拠ですもの。スタッフより先にお客様へ変更をお伝えするなんて、オカシイと思うのです。もし私が間に合わなかったら置いていかれたのだろうか……??? ってかお客様の大事なお見合い旅行で入社試験をしなくても……。


まだ暗い街を車はひた走ります。どこへ向かうのか訊いてもムダなので黙っていました。訊いても教えてもらえないだろうし。田舎道をひた走って数時間後、だんだんと建物が多くなってきました。ビルが立ち並ぶ近代的な街に到着すると全員で車を降りた。真新しいお土産屋さんや雑貨店、飲食店が立ち並ぶ歩行者天国の石畳を歩きます。お土産屋さんがたくさんあるので、どうやら観光地らしい。


社長:食事にしましょう!


なんと! マクドナルドです! 知らない土地で知ってるお店があって嬉しい! 嬉々としてメニューを見ると中華風なハンバーガーがズラリと並んでいる……。そうか。国によってメニューが違うのか……! 私はから揚げに中華風なソースがかかったハンバーガーとコーラをお願いします。 なぜか全員、コーラを注文した。


コーラは缶コーラでした。中国語の書かれた缶で、日本で飲むコーラと違うらしい。なぜか社長がニコニコしながら缶を開けます。


社長:缶を開ける音を聞いていてください。


プシュ……。日本のコーラより炭酸が少ないらしい。気の抜けた音です。


社長:みんなで順番に缶を開けてください。音に注意して。


A様の缶はプシュシュ! ソン妻さんはプッシュー! ソン夫さんはブシュッ! 音がちがう! ぜんぜん音が違います!


社長:音がちがうでしょう? 中国のコーラは炭酸の入ってる量が缶によって違うんですよ。WW


知らなかった! なんてアバウト! おもしろい! 私は嬉々として自分の缶を開けました。


プ………………。ほとんど炭酸が入ってない!! 気の抜けた砂糖水みたいな味でした(涙)。


コーラはイマイチでしたけれどハンバーガーは美味しかったです♪ チリソースみたいな味でした♪


社長:中国人の平均年収は5千円です。今5人で食べた食事代は3千円くらい。

ソウ:え!? じゃあ中国の方はマックを食べられないのですか!?

社長:食べられないことはないけど、高価だから普段は食べないです。お祝いの時などに食べます。

ソウ:年収が5千円で暮らしてゆけるのですか?

社長:表向きの年収が5千円で、裏でいろいろと儲けてる。

ソウ:いろいろって??

社長:………………。


またです。また教えてもらえませんでした。ちぇっ!!


社長:ちょっと用事があるので各自で観光してください。今から1時間後に集合です。


社長はA様と一緒に街の喧騒へ消えてゆきました。ソンご夫妻は何度も来ていて慣れた街らしく、買いたい物があるからとお二人でどこかへ行ってしまった。私は知らない街で一人になってしまいました……。

少しは賢くなった今なら現在地を確認すると思います。自分が地球上のどこにいるかくらい把握しておくべきでしょう。でも当時は今よりアホだったのでフラフラと歩き出した。


なんか、めっちゃロシアな気がする……。


新しいビルの間に建っている古い建物は灰色のレンガ造りだか石作りで、やたらとデカイ。そして洋風な装飾があちこちにある。中国に来たのは初めてですし、ロシア(ソ連)は行ったことさえありませんけれど中国っぽくない。とはいえ黄色人種の中国人がたくさん歩いています。でもその中にプラチナブロンドで青い目をしたロシアっぽい美男美女もたくさんいる。いったいここは、どこなんだろう??


おなかはいっぱいでノドもかわいてないから喫茶店に行くのはちがう気がする。本屋さんへ行っても字が読めないからつまらないし、出張先でお洋服を買う必要もない。たくさん並んでいるお店を見ながら通り過ぎます。やたらとお土産屋さんがあるな……。お土産でも買うか……。


ガラスドアを開けてお店に入るとお土産がたくさん並んでいます。可愛い女の子のマトリョーシカ、熊のマトリョーシカ、鳥のマトリョーシカ、ネコのマトリョーシカ、コワイ顔をした男性のマトリョーシカ……。マトリョーシカばっかじゃん……。いったいここは、どこなんだ?? やはりソ連なのか?? 大量のマトリョーシカを見て立ち尽くしていると、あっという間に中国人の可愛いお嬢さんたちに囲まれました。5人のお嬢さんがマトリョーシカを私に押し付けて中国語でワアワア言ってくる! 言葉はわかりませんけれど、意味はわかります。「買え!」って言ってる。


マトリョーシカは欲しくないので店の奥へ進んだ。すると私を囲んだままお嬢さんたちも移動します。完全に包囲されている……。精緻な絵が描かれた木箱がいくつも並んでいる。ソ連風な建物と風光明媚な川や木が描かれています。たぶん近くの観光名所なのでしょう。開けてみるとポロンポロン♪ もの哀しい音楽が鳴りだした。なるほど、オルゴールですか。オルゴールはいらんなぁ……。


テンションだだ下がりの私を囲んだお嬢さんたちはハイテンション↑↑です! 何がどうあっても買わせる気らしい。店の奥へ進むのはOKらしいが、出口のほうへ行こうとするとブロックされる! 何か買うまで出られないらしい。でもマトリョーシカもオルゴールもいらんし……。どうしようかとキョロキョロしていたら山積みにされたお菓子を発見しました。近寄ってみるとチョコレートらしい。1枚がコミック本くらいの板チョコです。デカイな! 値段を見ると日本で買うより安い! チョコなら買う! 私はあまり食べないけどチョコならお土産にイイと思うの! 


買う気になった私の変化を察知したお嬢さんたちがヒートアップしました! それぞれチョコをつかんで私に押し付けてくる!! たぶん売り上げがお給料に直結するのでしょう。それぞれが「私から買え!」と必死で売りつけてくる! こ、こわいです! 気合がこわいです!


気合で迫ってくるお嬢さんたちから逃げたい! でも損はしたくない! 私は気合(オーラ?)を発動しました。私の気合でお嬢さんたちを黙らせる。


ソウ:社長はどこ? 社長を呼んでくださる?


急に雰囲気が変わった私にお嬢さんたちは戸惑っています。空気が変わったことに驚いて、怯えた顔のコもいる。自分でもよくわからないのですけれど、たまに周りの空気が揺らぐというか変わるのです。気合というか、オーラというか……。お嬢さんたちがザワついていると奥からスーツを着たイケメン中国人男性が出てきました。その男性は、ヘンなオーラを出してる私を見て少しも驚かなかったから、たぶんこの人が社長。


ソウ:チョコを買います。安くしてください。


男性は日本語がわからないようですけれど、にこやかに私を見ています。


ソウ:プライスダウン、プリーズ。


ヘタな英語でお願いしたら、わかったようです。


社長:OK!


そしてチョコは一気に半額になりました!WW  驚いてザワつくお嬢さんたち。やはり彼が社長だったらしい。私は10枚ほどチョコを買って、社長やお嬢さんに笑顔で見送られて店を出ました。帰国して食べてみましたけれど、可もなく不可もない味でした。日本のチョコのほうが私は好きです♪


ウッカリ中国へ行って、ウッカリお土産を買った話しかしていませんね……。明日はA様のお見合いのことが書けると思います……。たぶん……。


どうぞ良い一日をお過ごしくださいませね~☆

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