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インチキマシン猛レース

 ウチがスマホをかかげてニッチとミクリンに大見えを切っている所に、兄ちゃんのジムニーが突っ込んできた。

運転席では兄ちゃんが、グッタリしてハンドルに突っ伏している。

「みんな早く乗って!!」

ウチは助手席のドアを開くとミクリンとカッチンとニッチを手招きする。

兄ちゃんの意向はお構いなしにウチは三人を車に押し込むと、助手席に座ったニッチにウチのスマホを渡す。

「これを見ながら指示を出して。直ぐに追いかけて!」

そう言ってドアを閉めるとジムニーは急加速で走り出した。

「ちょっと、莉凰! 誰に指示だしゃ良いのよ。あんたの兄ちゃん泡吹いてるですけどー…ケドー…ケドー……!」

ニッチの叫び声がドップラー効果を伴って過ぎ去って行く。

まあ車がどうにか走ってくれるでしょう。


「アンナ、ウチらはチャリで追うよ。スマホをお願い」

ウチはそう言うと笹原とテプ○表示が張ってあるママチャリに跨る。

「分かった。僕がナビするよ」

アンナも、(ミクリンへの腹いせだろうかク○ミちゃんステッカーが増えている)自分のチャリに跨った。

「それじゃあ行くよ。あの二人は絶対取り返す」

「出来れば、笹原君もだよね」

「それじゃあ行くよ」


 ウチら二人でチャリを飛ばす。

走りながら視界ドローンを飛ばす。

チャリを走らせながらの視界ドローンは危なっかしいなあ。

あっ青山君たちが見える。

「アンナ、車道を一気に走り抜けるよ。ウチの後ろに付いて来て」

そう告げるとウチはアンナごと風の結界で包み込み加速する。


「ファーー。リオ! 僕たち風になってる! 夢だけど、夢じゃなかった!」

ウチら二人は風の塊になって車道を走り抜ける。

「みんなには見えないんだわ。あ。車がよけてる!」

イヤ、避けてねーし。

風の結界で弾き飛ばされてるだけだし。

ウチらのせいで事故がおきませんように。

周囲の車も軽く結界で包み込みながらぶっ飛ばして行く。

「アンナ、あんたは本当にブレないねえ」

はしゃぐアンナに一言告げると、

「そりゃあ、僕は聖龍の一番弟子だからね」

「それじゃあ、なにが有っても覚悟を決めて。ウチが誰一人傷つけるようなことはさせないからね」


 前方に兄ちゃんのジムニーが見えてきた。

それも結界の中に包み込むとさらに加速する。

あと少しでイワケンに追いつくぞー。


 見えた!

「ナンマンダブ。ナンマンダブ。安藤ー。もう許してー! まじめに勉強するからー」

「イワケン! ご苦労ー」

クロスカブもイワケンごと結界の中に呑み込む。

「なんでチャリでカブに追いついてるんだようー! 訳分かんないしー!」

「そんなの気合いだよ! もうすぐ屋柄先輩に追いつくぞうー。更に気合い入れて行こうー!」

「オー!!!」

「アンナちゃん、ソレで良いのかよー」

「イワケンの分際でアンナって呼ぶな! 岡部さんって言いな!」

「なんで~。なんで俺の扱いいつも粗雑(ぞんざい)なの! 安藤が巻き込んでおいてその扱いひどくねぇー」


 ウチらは市街地を出て人家の無い田舎道入ってゆく。

屋柄先輩のハイゼットが見えた。

雑木林に囲まれた小高い丘の中にトランプウォールのような高いフェンスが張り巡らされた一角が見える。

どうもそこに向かっているようだ。

「みんな! 一気に距離を詰めるよ」

「分かった! リオについて行くよ」

「そんなこと、俺聞いてねえよぅー」


フェンスの扉が開いてハイゼットカーゴに続いてGT380とZ400が入って行く。

閉まりかけるフェンスを押しのけて結界に包まれたジムニーを先頭にクロスカブとニローネ7が、そして最後にウチの乗るミヤタのママチャリが滑り込んだ。

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