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青山弘明の恋愛事情

「何かイメージが違う。春風穂香っていつも学年で断トツでトップの成績だし、入試でもトップ入学だって聞いてるし。入学式の時新入生の代表で挨拶したときに初めて見たけど、こんな綺麗な娘が居るんだってびっくりしたもの」

ウチのイメージと虎谷の説明はまるで違っていた。

まさか、春風の足を引っ張るためにフェイク情報をながしているのでは?

「ワタシが嘘を言ってると思ってない? みんなそう思うかもしれないけど頭の良さと見た目のイメージで気付いていないだけよ。小学校で学習したから中学校からは殆んど喋らなくなったのよ。物静かで無口な美人のイメージで通せば中身のポンコツは周りが気付かないもの。ワタシがあなた達のクラスに乗り込んだ時の穂香の反応を思い出してごらんなさいよ。あれがあの娘の素の姿なのよ。こんな状態になっても穂香はオロオロするばかりで、弘明に何の手も打ててないと思うわよ」


「そう言われれば納得だわね。今度の学園祭で、南田さんは青山に早々に個人ステージでミニコンサートしないかって誘ってるのに春風は動いてないみたい」

龍崎がそう言ったのでウチが驚いて言葉を返す。

「えっ南田ってそんなこと画策してるんだ。ウチはあまり面識ないけど目立たない印象だったけど」

「南田さんと黒田さんは春風の中学時代の同級生らしいよ。中学の時青山や春風やあと何人かと毎朝勉強会をやってたらしいよ。青山がそう言ってた」

「でもそれなら、春風が一番に脱落しそうじゃん。龍崎楽勝のパターン?」

ウチと龍崎の会話に虎谷が待ったをかける。


「ワタシがそんな事させないわよ。それに穂香を甘く見ない方が良いわよ。ああいう天然に男は弱いんだから。守ってやりたいタイプとか言って。龍崎さんあなたは弘明と協力して進んでくタイプよね。ワタシは弘明とは方向性が違うけど切磋琢磨できるタイプだと思うの。南田の事はよく知らないけど宙や弘明や穂香に聞いてる限りじゃあ裏方で支えるタイプだと思うわ。でも穂香はダメ。なまじ見た目も才能も有り過ぎるから本人が望まなくても表舞台に引っ張り出されるわよ。そうなれば弘明は穂香に使いつぶされる。弘明ならこれから先何にでもなれる実力も人間性も兼ね備えてると思うから、だから穂香に潰させない。ワタシは小学校の時からずっと好きだったから。あなたよりずっと長い間好きだったんだから。だから誰にも渡したくないのよ」

「私だってあんた達に負けるつもりは無いわよ。出会った年齢で恋愛が決まるなら男なんてみんなマザコンに成っちゃうでしょうが。時間を持ち出されても今まで何もなかったのならコクッたあの日でそれまでの時間はリセットよ」


 ウチはあの日の情景を思い出す。

新学期が始まって三日目だったと思う。

前の日に北野君が春風にコクって、派手にゲロ吐かれてフラれた日の翌日だ。

そう言われればコクられて嫌でゲロ吐くって、やっぱりメンタル弱そうだなあ。

で、翌日の昼休みが始まって直ぐに青山君のスマホが鳴って彼がベランダに出ると校庭に虎谷が居たみたいだった。


 しばらくするとクラスに虎谷がいきなり入り込んで青山君の腕にしがみついたんだよね。

その後直ぐに四組の春風と黒田と六組の南田が乱入してきた。

虎谷は春風に『アナタが煮え切らないからワタシが貰いに来た』って言ってイキナリ青山君にキスしたんだよね。


 それを見た龍崎が切れて虎谷に宣戦布告したんだ。

曰く『私のクラスで勝手な事をするな! 私だって青山の事が好きだからよそ者に渡す気はない!』って宣言しら、南田が『わたしも中学時代からずっと好きだった。龍崎さんより前から好きだったから引く気はない』って宣言して三つ巴でにらみ合ってたよなあ。


 その間春風はオロオロして挙句の果てに『宇蘭ちゃんの意地悪! そんなのずるい!』って泣き出して黒田に連れて帰られてたっけ。

その後先生が来そうだったから虎谷もすぐに逃げ出して帰って行ったけど。

龍崎はこの四人の中では一番青山とのつながりが薄いし立場的に不利だよねえ。

まあこの事件をきっかけにウチら二組の結束はとてつもなく強固にはなったんだけれども。

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