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マッポ―の町

カッチンパパの登場です。

パパさん大活躍。

 そこに大量の黒塗りの車が雪崩れ込んできた。

先頭の車から降りてきた男はデカイ体にパンチパーマ。

ウスイ眉毛にレイバンのサングラスをかけ髭を生やしている。

黒い背広に黒いズボン、革のベルトに黒エナメルの靴。

ノーネクタイに開襟シャツで右手に持った扇子で首元を叩きながら香利奈さんの側に行く。


「ご苦労だったな」

そう言うと香利奈さんを抱え起こしゆっくりとウチらの居るシエンタの方に向かって歩き出した。

ヤカラ先輩がそれを見て喚く。

「どういうこっだオッラー! 地獄送りの兵頭ダッコラー?!」


 アワワワワ。

カッチンのパパだ。

やっぱり怖い人だったんだ。

「お義父さん。あの車に乗ってる奴と後ろで震えてる奴が犯人だよ。そして多分そこの男が元締め」

香利奈さんがカッチンパパに指をさして教えている。

「てめーら。終わりだよ。引導渡しに来てやったぜ。このドぐされ共が」

カッチンパパの後ろからついて来ていた派手なアロハシャツの男が怒鳴る。


 もう一人のアフロにジーパンの若い男がボンネットの上のクロフクヤクザを引きずり出した。

「とっさん。こいつ利根川組の三下ですぜ」

「その上のも下ろせや」

カッチンパパはルーフの上のヤクザに向かって顎をしゃくる。

アロハが引っ張り下ろしながら告げる。

「ああ、こいつもだ。たしか舎弟頭だったかな」


「オラー!!! 俺の娘たちによくも手エ出しやがったな!!! 全員しょっ引けやグォラー!!!」

辺り一帯にカッチンパパの怒声が響き渡る。

半端なヤカラ共とは迫力が段違いだ。

ウチは固まって、直立不動のまま動けない。


 そしてその怒声と同時に車の中からワラワラと大量の人が降りてきた。

カッチンパパがポケットから茶色い革手帳を取り出すと右手で開く。

「さっ桜の代紋・・・・ナッコラー!」

「お前ら!! 未成年者略取誘拐の現行犯並びに大麻不法所持で逮捕だグォラーー!!!」

えっ?

何なの?


 車から出てきた警官たちがクロフクヤクザを引きずって行く。

ヤカラ先輩の後ろで震えていたバカラテ部員も手錠をかけられてしょっ引かれる。

呆然と立ち尽くすヤカラ先輩の両肩を二人の警察官が掴んでいる。


「オラー! トットと降りろ! カスが―!」

シエンタの二人に向かってカッチンパパの部下が叫んでいる。

カッチンパパはゆっくりとヤカラ先輩に向かって歩き出した。


 ブルルルルル。

その時だ。

シエンタのエンジンがかかりカッチンパパとヤカラ先輩達に向かって走り出した。

パニックになったバカラテ部員が車を動かして突っ込んだのだ。


「パパ―(泣)」

「お義父さん!!」

「逃げてパパ!!」

三人の声が響く。

カッチンパパは二人の警察官とヤカラ先輩に覆いかぶさるよおうに飛びつくと地に伏せた。


 ウチは必死で風魔法を四人にかける。

シエンタは風魔法に守られた四人の上を飛び越える様に空中に飛び出すとそのまま倉庫に向かって落下した。

倉庫の手前でバウンドするとそのまま壁を突き破って中に突っ込んで行く。

そしてクルリと一回転すると倉庫の中で横転した。


 倉庫の中は大量の照明器具と電気コードが張り巡らされて部屋いっぱいに鉢植えの背の高い草が生い茂っていっる。

「お前ら、大麻の違法栽培も追加だな」

カッチンパパがポツリと言う。


 横転したシエンタの中から二人のバカラテ部員が這い出してきた。

散乱して倒れた照明器具や電気コードから火花が走る。

それはそのまま倒れて鉢植えの大麻草に引火し燃え始めた。

「いかん! さっさとあの二人を引っ張り出せ! 手の空いてるものは火を消せ!!」


 警察官たちが車載の消火器を持って突っ込んで行く。

バカラテ部員の二人は私服警官によって手錠をかけられ引きずり出された。

そしてその隙をついてヤカラ先輩が倉庫脇に止めてあるカワサキZ900目がけて走った。

「奴を止めろー!」

カッチンパパが叫ぶが間に合わない。


 ヤカラ先輩はZ900に跨るとエンジンをかける。

「マッポもデッカーもドケッコラー! ヤッチャラジャレッケラー!」

「3号車と5号車は奴を追え! あとは消火にあたれ! 火を消すのが先決だ!」


「田畑! 署に連絡入れて追跡の指揮を取れ! 中嶋は消防と救急にも連絡して消火と延焼防止!」

アロハとアフロが敬礼と共に走って行った。

そしてヤカラ先輩のZ900は市街地に向かって走り去り、その後を覆面パトカーがサイレンを鳴らしながら追跡していった。


 指示を出しながら立ち上がるカッチンパパにカッチン・瀬利香ちゃん・香利奈さんの三人が駆け寄る。

そして三人ともカッチンパパの胸にしがみついて泣いていた。

「お前ら三人とも署に帰ってみっちり説教だからな。覚悟しとけ」

「「「はい(泣)」」」

三人の泣き声がハモった。

ヤクザのシンボル、代紋に桜の一字が付くと別の意味になります。

桜の代紋は警察のシンボルマークの事。

それから2002年から写真付き身分証と桜の代紋だけになったのにまだ警察手帳って言うらしいです。

モチロン手帳の機能は有りません。

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