ラスト・ヤカラ・スタンディング
ニンスレは平坦なミクリンの趣味です。
ちなみにカッチンは割と何でも知ってます。
シエンタからバカラテ部員の一人が瀬利香ちゃんを抱えて駆け下りてくる。
『屋柄先輩。納車行ってきました』
『おっおう? ご苦労だったなアッコラー?』
続いて兄ちゃんのジムニーも滑り込んで、急ブレーキから四輪ドラフトを決めて停止する。
『ナンダーー? テメッコラー。この軽四はドコカラハイッコラー?』
『おまけでーーす』
『そうか? ゴッラー? おまけかアッコラー』
ジムニーのドアが開いて兄ちゃんが降り立つ。
『お前ら!未成年者略取誘拐だぞ!実刑判決だからなー、って本物のヤクザじゃん。聞いてねえよー』
格好をつけて降りた割にいきなり腰砕けになる情けない兄ちゃんであった。
『ザッケンナコラー! モータルのサラリマンがナマッコラー!』
『アイエエエエ! ナンデ、ヤクザーー?』
腰砕けの兄ちゃんに続き、アンナ達三人が降りてくる。
瀬利香ちゃんがそれを見てバカラテ部員の腕に噛みつく。
『アイエエエ。痛てえ―なーこのガキ』
緩んだ手を振り払ってカッチンに向かって駆けてくる。
『アタイに任せて。セリカ=サン逃げて』
ミクリンあんた何言ってんの?
『ハイクを詠むんだよー(泣)。慈悲は無いんだよー(泣)』
『えーっと、ヤカラ殺すべし?』
アンナが、アンナが取り残されてるーーー。
ヤカラ先輩の後ろから現れる四人の人影。
同じ髪型、同じダークスーツ、同じサングラス、同じ代紋をネクタイに刺しゅう!
『宗谷会、利根川組の黒服の舎弟だコッラー』
『ザッケンナコラー!』
『ザッケンナコラー!』
『ザッケンナコラー!』
『ザッケンナコラー!』
コワイ。
まさにブッダも恐れぬ所業。
『真っ赤なハートは幸せの印。閃く果実プ○=サン仮面。ハイクを詠めカイシャクしてやる』
アンナ~すっごい迷走してるよ~。
ゴメンネ、ニッチあんたの気持ちがウチにも解ったよ~。
そこに香利奈さんとウチがディオで滑りこむ。
香利奈さんのワザマエで華麗なアモルファスを決めるもモータルのニュービーでしかない彼女の気力はもうアウト・オブ・アモーだ。
「セリカ=サン」
最後の気力を振り絞るカリナ=サンの頬に涙が伝う。
すまない、ウチのせいだ、カリナ=サン。
あれ~?
ウチの脳みそも腐りかけてないか~。
「ゴメン、香利奈さん。ヘルメット借りるよ」
香利奈さんのヘルメットを取って被ると、ウチはディオから飛び降りた。
そこからシエンタめがけて駆け抜けるとルーフに飛び乗る。
「ピンクのハートは愛ある印! 捥ぎたてフレッシュ、ピグレ○ト仮面! ヤカラ殺すべし!ゴウランガ!」
ああ、ウチも脳が腐ってるよねえ。
「ドーモ、ピグレ○ト仮面=サン。屋柄デス。テメ―この前のワッドルザナックルァー! ヤッチャラジャレッケラー!」
「ザッケンナコラー!」
「ザッケンナコラー!」
「ザッケンナコラー!」
「ザッケンナコラー!」
クロフクヤクザ達がウチめがけて襲い掛かる。
ウチはルーフからハイジャンプしてクロフクヤクザにハイキックを決める。
「ザッケンナコラー!」
次のクロフクヤクザをシエンタのフロントめがけて放り投げる。
ヤクザはボンネットでワンバンするとフロントガラスを突き破る。
「ザッケンナコラー!」
更に右回し蹴りでもう一人サイドドアめがけて吹き飛ばすとドアごとヘシャゲて崩れ落ちた。
「ザッケンナコラー!」
最後の一人はルーフめがけて投げ上げる。
きれいに落下してルーフで跳ね上がるクロフクヤクザ。
その衝撃でシエンタのガラスがすべて割れた。
なんたる修羅場インシデントか!
運転席と助手席のバカラテ部員二人は抱き合ってブルブル震えている。
「マッシャネッゾラー! オレの新車がオシャカじゃねえか!スッゾスッゾスッゾコラーーー!! 」
「ナムサン、ゴウランガ!」
「ザッケンナコラグワーッ!ドグサレッガー! 」
「インガオーホー!サヨンナラー!」
ああ、脳が腐る!!
兄ちゃんは妹の手前、最低限の威厳を保つため失禁は堪えました。




