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封印の聖天印-2

クラスの全員が凍り付く。

ウチのテンションは急降下。

血の気が引き、全身からイヤな汗がほとばしる。

その凍り付いた状況から真っ先に回復したのはクラス委員の龍崎だった。

彼女はスタスタとベランダに出ると、眼鏡の端をクイッとあげてカラスを掴み上げた。

「犯人はこの馬鹿ガラスの様ね」

その一言でクラスの空気が一気に緩む。


「アーシはてっきり、莉凰がナンか出したのかと思った」

「ニッチ!ナンかってなんだよ(怒)」

「決まってんジャン。男日照りでほとばしったんじゃね~の」

「ハイ、あんた下品すぎ。みんな引いてるから」

ミクリンのチョップがニッチの頭を打つ。


「カラスは死んじゃったのかなあ(泣)」

カッチンが泣きそうな顔で言うと、龍崎の手の中のカラスがいきなりバタつき始めた。

「キャー」

龍崎が慌てて手を離すと目を覚ましたカラスは彼女の頭にキックをくらわして飛び去って行った。

それを見て青山君も北野君もベランダに飛び出していった。

結局 龍崎のおかげで、ガラス破損はカラスのおかげ と言う事で一件落着。

ウチの腕の蛟龍紋もクラスのみんなも平静を取り戻した。

みんなでガラスを片付けながら、偉そうに指示を出す龍崎に感謝の呪いを込めた熱い視線を送っておいた。


朝のホームルームで割れた窓を段ボールで補修した後、一時限目の授業が始まった。

しかし授業に集中できない。

いつ又蛟龍紋が暴走するかもしれない。

多分興奮状態になると制御が効かなくなるのだろう。

対策が必要だ。

説明書をよく読んで使いましょう。

人や動物に向けて発射してはいけません。

顔に向けて覗いてはいけません。

それから安全装置も必要だ。


二時限目の始まる前に急いでトイレに行くと、蛟龍紋に貼ってあるサロンパスの上にマジックで封印の為に聖天の印を記入する。

蛟龍紋は聖紋といえども大きな威力はないので、この程度なら聖天の印で封印できるだろう。

しかし次々と聖紋が復活しだすと厄介なことになりかねない。

どうにか対策を考えなければと思案しつつ教室に戻るウチを陰で見つめる視線にその時は気付かなかった。


二時限目の間中、誰かの視線を感じた。

授業中にキョロキョロする訳にもゆかず誰の視線かわからない。

昨日から急に感覚が過敏になっているのだが、聖天の印のおかげでそれも抑えられてしまった。

北野君か青山君か、それとも他の男かなあ。

分からないと気になるもので、封印を解こうかと迷ってしまう。

二時限目・三時限目は左手の包帯を触っては手を放し、を繰り返してばかりで時間が過ぎていった。

三時限目の授業が終わると龍崎がやってきた。

「ねえ、安藤。昼休みちょっと話があるんだけど」

「エッ?何か用事?」

「いくつか聞きたいこととかあるから、昼ご飯が終わったら時間を頂戴。」

龍崎は言うだけ言うとサッサと席に戻ってしまう。

何だろう昼休みに聞きたいことって?


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