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博徒の行き着く先

これで第二章は終了。

書いているうちにカッチンの「アンナちゃーん(泣)。」のセリフがベップちゃーんに脳内変換されて行く。

私の脳みそ腐って来たのかな?

 三人組の事情聴取が始まった。

三人が怯えるのでカッチンとアンナはリビングに降りてきた。

取り調べは主にミクリンとニッチが担当している。

カッチンはお気に入りのかっちんうどんとあべかわ餅を食べながらご満悦の様だ。

機嫌が戻ってホッとする。

ウチとアンナも肉うどんとカレーうどんを食べながら一息つく。


「で、ナンでこんな事したし。わかってんだろうコレってカツアゲジャン。犯罪だよ」

バン!

ニッチがテーブルを叩く。

「先輩に命令されて、仕方なかったんだ」

ニッチは右手に持ったデスクスタンドを三人に向けた。

「命令されたからってやって良い事と悪い事が有るしょ。田舎のお袋さんも泣いてるっしょ」

ミクリンがニッチの肩を軽く叩き、なだめるように言う。

「まあまあ、ニッチ。彼らも反省してるようだし。ほら、カツ丼でも食うか?」

左手で冷めた食べかけの大盛カツどんを三人の方に押し出すと言う。

「「「ゴメンナサイ。もう食えません」」」

「姉ちゃんそれ俺のカツ丼なんだけど」

弟君が疲れた声でミクリンに言った。


「なんか上の二人ノリノリで取り調べしてるねえ」

「でもそんな事より、リオちゃんはテキストが出来てなかったよねー(泣)」

「チョットおなかがすいて集中できなかったんだよねー」

「それなら仕方ないねー(泣)。でもおなか一杯になったから集中できるねー(泣)」

「コクコク」

「出来なければ焼き土下座だよー(泣)」

「コクコク」

「アンナちゃんもだよー(泣)」

「コクコク」


 ウチらが必死に数学のテキストをこなしている間に三人の事情聴取は終わった。

ウチらもどうにか課題をクリアして全問正解に漕ぎつけた。

二時間半休みなく脳みそを酷使し疲労困憊のウチらは栗最中と紅白饅頭で糖分の補給をしながらブラックの缶コーヒーを飲んでいた。

その横でニッチとミクリンも疲れた顔でマカロンとうまい棒をコーラで流し込んでいる。

カッチンはニコニコ顔で月餅を食べていた。


 三人組の話をまとめると思っていた以上に深刻な事態になっていたらしい。

事の起こりは弟君の友達の川辺君が三人組に因縁をつけられて、無理やり賭け麻雀をやらされイカサマで二万円の借金を請求されたのだ。

それを知った弟君は義憤にかられその半分を立て替えてやった。

それに付け込んだ三人組は、今度は弟君をターゲットにして賭け麻雀に引き込もうとした。

ここまでなら単純なカツアゲとイカサマで終わる話だが、三人組の目的はそれだけでは無かったのだ。


 バックが居たのだ。

なんでもタチの悪いハングレ集団がバックで糸を引いていいるらしい。

そのハングレ集団のボスの先輩とか言うヤカラが悪い奴で、最近暴行未遂事件を起こして警察に引っ張られたのだそうだ。

その時にご自慢の愛車のステーションワゴンを大破させられて随分ご立腹の様で、手下に金を搔き集めさせようと躍起になっているらしい。


 その方法が大麻の販売。

カツアゲやタカリではチマチマとしか金が稼げない。

そこで中高生を使って売りさばかせようと考えたのだ。

それも一般の学生を使って。


 一度脅しをかけてカツアゲの傍ら大麻の販売を手伝わせる。

一度やらせれば後は泥沼である。

犯罪行為であることをちらつかせて、脅しをかけながら売り子にしてゆくのだ。


 ハングレ集団のトップとは繋がりが薄い一般学生が売り子なら警察の手も届きにくい。

売ってる本人が知らないのだから、なかなか捕まらないだろう。

そうやって売り子を増やして上納金まがいの金を搔き集める計画だったようだ。


 どこの誰かは知らないがそのハングレ集団許すまじ!

「そんな悪の組織があったなんて僕は気付かなかったよ」

「うん、ウチらの身近にこんな犯罪組織が居たなんて」

「いや、多分アーシらのとっても身近にいたと思うよ。それも最近」


「師匠! 僕たちの手でその犯罪組織をせん滅しよう!」

「うん、やろう!ヤカラ殺すべし!」

「リオちゃん、アンナちゃん、そんなことしたら焼き土下座だよー(泣)」

「本当にアンドリンはすぐ調子に乗るんだから。もう警察に連絡したよ。これは犯罪行為だよ。後は警察に任せればいいんだから」


 三人組は弟君を売人に引き込むため大麻を隠し持っていたらしい。

ミクリンが警察に事情を連絡し、私服警官を呼んでいた。

蕭然とした様子で三人組は私服警官に引き取られていった。

一人残った刑事にミクリンと弟君が事情を説明し、連絡を受けて急いだ帰ってきたミクリンママも合流した。

ミクリンパパも急遽、今晩には出張先から一時帰宅するらしい。

明日は御厨家が久しぶりに全員揃うと言う事で勉強会は今日で切り上げになった。


「リオちゃーーん、アンナちゃーーん(泣)。明日はリオちゃんのおうちに行くよー(泣)」

「エッ、師匠のおうちに?」

「今日できなかった分も含めて私が指導するよー(泣)」

「アハハハ、莉凰。ご愁傷様」

「チエちゃんもだよー(泣)」

「エッ!? アーシも」

「みんなで二十番以内目指すんだよー(泣)」

「「「エ―――――!!」」」

「ごめんねアンドリン。明日はわたしパスする。久しぶりに家族みんなで居たいから。カッチン、後はお願いね」

「ウン、任されたよー(泣)」


 説明が下手なカッチンの指導は、出来るまで何度でもやらされるという過酷なもので地獄のブートキャンプであった。

ウチら三人は意識を飛ばしながらも焼き土下座の恐怖にかられ、関数や物理法則を肉体で習得していった。

ちなみに我が家の家族たちは、ホットプレートを弄びつつウチらを叱咤するカッチンの異様なオーラに飲まれて部屋に近寄る事すらできなかった。


最後の一人。

ニッチのフルネーム出ました。

新田千絵、チエちゃんです。



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― 新着の感想 ―
[一言] カッチン、ホットプレートは持ちにくくないかい? ホットパンくらいにしときなよ。殴りやすそうだし……。
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