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ドンジャラ放浪記-2

もちろんアンナはアニオタです。

カッチンは・・・・、ぬるりと来るのはあの男のあの牌です。

『ポン』

だからあんたなんで順子を崩すの。

そのままで一盃口付いてたじゃん。

『ポン』

アッ、そうかアンナはドンジャラしか知らないから順子もチーも良く解ってないんだ。

カッチン、ちゃんと指示出せよー。


『カン』

『も一個カン』

『ロン。嶺上開花』

ロンしたら嶺上開花じゃあねえわ!

カッチンも止めろよ!


『姉ちゃん、チョンボじゃねえの。嶺上開花付かないぜ』

『でも通るんだよーこいつー(泣)。混老頭が付いてるからー(泣)』

一盃口崩してどうやったら混老頭・トイトイが付くんだよー!

どんだけ引きが良いんだよー!

『なんだよーそれ。ゼッテー不合理だ―!!』

『不合理こそ博打だよー(泣)。不合理に身をゆだねてこそギャンブルだよー(泣)』

『麻雀って楽しいよね。今日もいろんな人と打ててとっても楽しいよ』

『『『うるせー! 全然楽しくねえわー!!』』』


『くっそー。おめえら、やるぞ』

『あの女、出来るだけ鳴かすな。場が乱れるからな』

『チー』

『ポン』

『カン』

『チー』

『カン』

『チー』

あいつら鳴きまくってアンナを止めやがっった。

『エッ? エッ! アレー?』

あいつら裏で牌を回してやがるな。


『えーと僕、今日これ和了がって良いんですよねえ。自摸。その役の名前の意味は、海に映る月を掬い取る…海底撈月』

『『『嶺上開花じゃないんかーい』』』

ナイス突っ込み。

『アンナちゃーん(泣)。海底撈月じゃないよー(泣)。ただの自摸和了だよー(泣)』

『アー驚いた。ビビらせるなよ』

『でも平和、タンヤオ、一盃口に三色も付いてるよー(泣)。おまけにドラがカンドラとカン裏で三枚乗ってるよー(泣)』

『てめー。ぶっ殺されてーのか』

『圧力を背景にした取引は通じないよー(泣)。いい加減、悟った方が良いよー(泣)』

そう言うとカッチンがどこからともなくホットプレートを出してきた。


『こいつ本気で焼き土下座させるつもりだ』

『便利なんだよー(泣)。悪ぶりたい子の仮面を剝がすのにー(泣)』

『どうすんだよこれ』

『クッソー。ラス親だ。もうなりふり構ってられねえぜ』

いや、だいぶ前からなりふり構ってねえぞお前ら。


 あいつら親に字牌ばかり送ってやがる。

あれ、あいつ自摸牌二枚持っていきやがった。

アンナもカッチンも気付けよ!

アッこいつもだ。

何だこれ。

白か西待ちでこいつテンパってる。

切った牌がどちらでも行ける様に白・西一枚ずつ右手に隠してる。

リーチかけた。

隣の奴山牌入れ替えやがった。

字一色、四暗刻、小三元、リーチ、一発、負けちゃうよー。

ダメだよ、アンナ!

それ自摸っちゃダメ、その自摸牌捨てたら大三元に成っちゃう!

『来たちゃたよー(泣)。ぬるりと―(泣)』


『ロンだぜ!』

牌を倒そうとする親の右腕を素早くアンナが掴んだ。

『いてー! 何すんだ!』

握りしめようとする右手を見ながら、更にアンナが力を入れる。


『ぐっ、ああああ』

痛みに耐えかねて右手が開くと中から牌が滑り落ちる。

『一枚多いよねえ。イカサマ?チョンボだよねえ』

『親チョンボだよー(泣)。多牌は満貫罰符だよー(泣)』

『負けたら困るんだよー。許してくれよー』

『死ねば助かるよー(泣)』


 そう言いつつカッチンはホットプレートのコンセントを入れた。

『お餅おうどんは命より重いんだよー(泣)』

カッチンは本当に鬼だと思う。

『『『ゴメンナサイ。許してください』』』

『クズの決心をいつまでも待てないんだよー(泣)』

『『『何でもしますから許してください』』』


 ミクリンが真っ青な顔で二階から降りてきた。

「アンドリン!!! テキスト出来た!?」

「気になって進んでない」

「急いでやろう!じゃないとわたしたちカッチンに焼き土下座させられるよ」

「コクコク」

もう二階にかかわっていられない。

ウチの焼き土下座がかかってる。


 しばらくするとニッチが疲労困憊で降りてきた。

どうにかカッチンを宥めたようだ。

結局、中坊三人は伸びきったうどんと冷めたカツどんを食べさせられた上、ウチらの昼ご飯を弟君のも一緒に再注文させられた。

勿論支払いはすべて三人組である。


「ウチ、なんであの娘のあだ名がカッチンなのかわかった気がする」

「うん、わたしも。きっとカチンときて切れたら手が付けられないからだよ」

「兵頭は自己紹介の時、あだ名はカッチンですとしか言わなかったもんね」


ピンポーン。

「ち〇ら餅食堂です。追加お持ちしました。天婦羅うどんにカレーうどん。肉うどんとキツネかっちんうどん。それから大盛りカツ丼二つに稲荷寿司二人前。それと安倍川餅」

「えっ?!キツネ何うどん?」

「キツネかっちんうどんですけど」

「「「えー、そっちなの」」」


「麻雀って楽しいよね。」このセリフ聞いた時思わずテレビに突っ込んだ私でした。

池田が可哀そうだろうが、天江衣は怒って良いと思うぞ!!


なんでカッチンの名字が兵頭かって!?

そんなの決まってるじゃん。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「麻雀って楽しいよね。」 精神攻撃は基本ですよね。 力うどんをカッチンうどんという地域もありますよね。
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