心には平穏を、脳には糖分を
さあここから物語が一気に動きますが、リオは活躍できません。
何故って?
モチロン試験勉強が最優先だから・・・。
リオが主人公なのに・・・。
朝食後直ぐに朝の勉強会が始まった。
数学と人間生活と物理、ウチの大嫌いな理系教科のオンパレードだ。
早々にウチの脳みそはオーバーヒートを起こす。
「ウウウ、脳に栄養が足りない!糖分を!みたらし団子を!」
「それは私が食べちゃったから無いんだよー(泣)」
「代わりに僕のマカロンをお食べ」
「ウン、モグモグ」
「それから午後ティーもお飲み」
「ウン、ゴクゴク」
「ありがとう、マカロンアンナちゃん」
「脳みそが落ち着いたら続きを始めるよー(泣)」
気弱そうな顔をしてその実カッチンが一番の鬼であった。
結局二時間余りでウチは音をあげた。
仕方がないので休憩を兼ねて早めのランチタイムにすることになった。
ハンバーグももう残り二個になってしまっていた。
「お昼は何を頼もうか?」
「ちか〇餅食堂のお餅おうどんー(泣)」
「エッ。兵頭はさっき、お団子一人で全部食べたよねえ。まだお餅食べるの?」
「うん。お餅おうどんが良いよー(泣)」
「カッチンが食べたいならおうどんで良いけど、アンドリンもアンナもニッチもオッケーかな?」
「まあ兵頭が食べたいって言うのならアーシも良いよ。でもあの店出前してくれるのかなあ」
「出前してくれるよー(泣)。メニューも全部知ってるよー(泣)」
「それじゃあ。カッチンがキツネお餅おうどんとあべかわ餅。後カレーうどんと天ぷらうどん、肉うどん、かつ丼大盛り、お稲荷さんが二人前。以上オッケー?」
「「「オッケー!」」」
「アーシ達は良いけど弟さんはどうすんのさ」
「あいつ、普通は朝ごはん食べないからいらないと思うよ。おなか減ったらカップ麺でも食べてるさ」
「カッチンはお餅が大好きなんだね。僕はあまりお餅食べないから。このお店も知らなかったよ」
「うん、お餅大好きだよー(泣)」
そんな事を言っていると玄関のチャイムが鳴った。
「もう届いたのかな?」
「早過ぎねー。十分経ってないし」
「そうだねえ。誰だろう?」
更にチャイムが鳴った。
インターホンには何も声がしない。
ミクリンが慌てて玄関に向かう間に更にチャイムが連打される。
少し不快だ。
きっと碌な奴じゃないとみんな思ったようで、ミクリンの後に全員が付いて行った。
玄関に複数の人影が立っているのが分かる。
「どなたですかー?」
ミクリンの声に少し驚いたような声の会話が聞こえる。
「おい、あいつ今日一人じゃなかったのかよ」
「知んねえよ。でもあいつ両親ともいないって言ってたの聞いたぜ」
「ちょっと、誰なの?」
「スミマセーン。僕たち御厨君の友達でーす」
ミクリンがドアチェーンをかけたまま扉を開いた。
中学生らしき男子が三人立っている。
「雄太の友達?何の御用?」
「チョット遊びに来ました」
「聞いて無いわねえ。あんた達も試験前でしょ。あの子も試験勉強をするから誰も部屋に入るなって言ってたし、あんた達もかえって試験勉強しなよ」
「あっ、それですそれ。一緒に試験勉強しようと思って。わからない所教えてもらおうと思って。あいつ頭いいし」
「何あんた達。遊びに来たって言ってたじゃないの」
「あの、ちょっとで良いんで御厨君に会わせてくださいよ。話が有るんで」
「仕方ないわねえ。雄太―!あんたの友達だって言ってる奴が来たけど」
「えー。誰だよ―。一体」
そう言いながら弟君が降りてきた。
「オーイ。御厨」
ドアの隙間から手を振る三人の顔を見て弟君は顔をしかめながら言った。
「なんだよ。お前らかよ。何の用だ」
「つれねえなぁ。せっかく来てやったのによう」
「来てくれなんか行ってないぜ」
「まあ少し話を聞いてくれよ。お前に用があるんだ」
「わかったよ」
そう言って弟君は玄関に降りて行く。
「わたしも一緒に居ようか」
「うっせーなあ。姉貴たちは勉強の続きでもしてろよ。俺一人で充分だから」
そう言われてウチらはゾロゾロとリビングに帰って行った。
「ウチ、あのガキども気になるんだけど」
「アンドリンはいらないことは考えずに勉強に集中しなさい。」
「僕がちょっと見てこようか?」
「あんたもよ。ニッチも駄目だからね。あんたたち三人の為の勉強会なんだから」
「ブー、こういうケースはアーシが一番場数踏んでるのに。」
脳に吸収されるための糖分は、主にわき腹と二の腕に収納されます。(経験談)




