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この中に犯人は居る!

「やるじゃん。」

龍崎がポツリと言った。

「わたしの付け焼刃の豆知識なんてたいして役に立たなかったよ。本物は違うわ。」

「茶化さないで、アンタだって色々アノ娘の力になろうと思って調べてたんでしょ。」

「今日で三度目だけど話を合わすだけじゃあ無理。何もできなかった。」

「ソンなことないじゃん。名前の由来とか喜んでたじゃん。」

「無理、無理。私に出来た事なんて眼帯の紐、引っ張るぐらいだったよ。」

「やっぱりオマエかあ―――!!タイミング良すぎって思ったんだ―!」

「私、あんたが何一つあの子の事否定しなかった事にちょっと感動した。」

「イヤ否定はしたし、邪神龍とか。」


「ほら、あんたは岡部さんの言葉に否定じゃなくて、ドンドン自分の言葉で上書きしていったじゃない。私は変に追随して肯定するか、やんわりと否定するかしかしてこなかったから、だから話はできても心は開いてくれなかった。」

「エー。アンナって素直ないい娘だったじゃん。一学期も目立つ子じゃなかったけどそこまで浮いた感じじゃなかったし。」


「うん、あの娘は良い子だよ。あの家は多分あのお母さんが問題なんだ。」

「それはウチも感じた。ウチ、結構胡散臭い目で見られてたと思うわ。」

「あのお母さん成績にうるさいんだよ。あの娘あんまり成績が良くなかったんだよ。」

「そんなに悪いの?」

「期末がクラスで29番って言ってた。」

「ウチより上じゃん。」

「あんたみたいにお気楽能天気で過ごせる娘ばかりじゃないのよ。」

「ナニそれ。ウチがバカみたいじゃん。」

「そお言ってるのよ!岡部さんは中学校の時はクラスでずっと2~3番をキープしてたらしいの。」


「それってどうよ。ウチだって中学の時はずっとクラスで4・5番だったし。」

「あのお母さんは中学の時と同じ順位が何故取れないってご立腹みたい。」

「訳わかんない。ウチの高校って進学校じゃん。中学時代に学年でトップクラスならまだしもクラスで上位なら同級生みんなそうだよねぇ。」


そうなのだ、ウチの通うポンポコ高校はこの地域の公立高校ではトップなのだ。

だから周辺の公立中学では学年トップクラスが軒並みポン高に入学する。

生徒数の少ない中学から来た生徒は、中学で一番でもポン高に入ると中の上だったりして結構へこむ奴も多い。

ウチなんてどうにか滑り込めた部類だ。

まあ日ごろの言動と行動で中学時代も成績に関係なくバカだと思われていたけど。


「そこの道理が分からないんだろうねえ。それで引き籠ちゃったみたい。」

龍崎はそう思案顔で言うと、上目遣いにウチの顔を見上げる。

「ナニ、メンチ切ってんのよ。アンタ、ナニを考えてるの。」

「あの娘の逃げ場を作ってあげたいなぁって。」

「それがウチ?」

「うん、あんた唯のハンバーグ好きのアホの子でもないようだし。」

「ハンバーグから離れろよ!」

「アホの子は否定しないんだ。」


「アンナの事をウチに押し付けようとしてるでしょう。」

「わるい?私、あんたの事は買ってるんだよ。クラスの女子はあんたが居るからまとまってると思ってる。」

「どの口が言うんだよ。クラス中を仕切ってるくせにさー。」

「あんたが弱い子を掬い上げてくれてるから仕切れてると思ってる。だから岡部の事も見捨てないでしょう。」

「仕方ないじゃん。気に入られたみたいだしさあ。」

ウチはため息をついてそう答えた。


アンナにはキッチリ左眼が輝くところ見られたしなあ。

思い込みも強そうだから、これからもグイグイ来そうな気がする。

けどなぁ、アノお母さんには嫌われてそうだし、これからもあまり良い印象を与えられないと思う。

アンナがウチとアノお母さんの板挟みになったらそれはそれで可愛そうだし。

「龍崎がアンナママの相手してくれるなら、あとノートと宿題な。」

「了解。それじゃあ私は行くところあるから、バイバイ。」

龍崎が手を振って信号を渡って行く。

「それから、画像は拡散しないから安心して(*´з`)。」

「あっそうだ!写メ消せよ!」

「それは約束してない。」

そう言いながら龍崎は走って逃げて行った。

そのうち龍崎はコロス。


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