聖…戦士
「ここから急に聖戦士に変わってるよー(泣)」
闇のネクロマンサーは九月の新学期に入ってすぐからジョブチェンジして聖戦士になっていた。
”前世の記憶がよみがえり、俺が聖戦士だったと知った! 前世からの女神の刑事が来たのだ”
刑事が来たって、女神から職質受けたのかお前。
「これは誤字だよねえ。啓示と刑事をまちがえたんだよねえ」
「アーシは絶対、事件起こしてポリにしょっ引かれたと思うね。だから警察に表彰されたイワケンに絡んでんじゃねぇ」
「いいじゃんもう。前世で悪事を働いて女神警察が補導に来たってことで。聖犯罪かなんかでさぁ」
その二日後の書き込みを開く。
”おれは伝説の勇者の仲間だったのだ。今記おくがよみがえった。聖力がたぎる”
「ねえリオ。聖力って何なんだろう?」
「性欲のタイプミスじゃないの。厨二だから滾ってるんでしょ」
「ウヒァヒァヒァ、ヤッパ前世は聖欲たぎらせてた聖犯罪者なんだって。でも記憶くらい漢字変換しろって言いたいね、わたしは」
「御厨ゲスいって。まあこいつのSNSも厨二過多でえぐいけど」
「僕に聖紋のアドバイスをくれた直ぐ後くらいかなあ。聖属性に目覚めたのは」
「この辺りから徐々に聖の目覚めがあったみたいね」
「御厨、あんたそこから離れなよ」
「まあまあニッチちょっとSNSに集中しよう。”俺は人間の王国のいなかの村で生まれた。村で一番強いので王さまのお城に行って聖戦士になった”って何この文章。ボギャ貧杉。なんで村一番で即お城なんだよ。聖戦士ってなんだよ。ウチらの事舐めてんの」
「なんでその結論に至るかねえ。アンドリンも短絡思考だよ。出来の悪いRPGか? 勇者と賢者に誘われて魔導士とシーフを仲間にしたって、なんでシーフだけ英語?」
「多分シーフの訳が判らなかったんだよー、きっとー(泣)」
「だろうね。”俺は強くてカッコいい戦士なので女にモテモテだった”ってこの頭の悪い文章は何だー!」
怒るなミクリン。ウチだって腹が立ってるんだが我慢してるんだ。
「”お姫様がきれいだったので嫁になれと言ったら、泣いて邪神龍を退治してくれたらと言われてので退治する事にした”…ってこれ絶対嫌われてるよねえ。モテたんじゃ無くてみんな怯えてたんだよねえ」
「安奈、そんなに真剣に心配しなくても厨二男の妄想だから」
「でも、邪神龍退治ってなんか腹立たしいんですけど。そもそも邪神龍なんていないし。ウチは邪神龍じゃないし」
「アンドリンも何、激昂してんの。落ち着きなよ」
「リオは、邪神龍って言葉が大嫌いなんだよ。僕も叱られたことが有るから。それをこのダンブルグさんは連呼するからイラっとするんだよね」
「なにか毎日更新で少しづつ記憶が蘇ってきた…的な構成になってるんだよね。ここ見てみ”今日、授業中にすべての記憶がよみがえった。俺の名は聖戦士ダンブルグだ”だって。それで龍退治に行って返り討ちにあって、龍を封印したけど魔力封じでイノシシに突かれて死んじゃったって、くだらないストーリーだね。もっと意外性を持たせなけりゃあ。折り紙でヤクザを殺すくらいのインパクトが無けりゃダメだよ」
「おバカの妄想に駄目だししても辛いだけだよー(泣)」
カッチンの言う通りなんだけど、何か引っかかるんだよね。
邪神龍だとか、封印したとかのワードがさあ。
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