イワケンの憂鬱
可哀そうなイワケン君の登場です。
「で、何の話してたの? アンナちゃん」
「うん、まあ担任の先生の事とかいろいろな話」
「ああそうなんだ。たいへんだねえ」
「ねえイワケン、アンナのその説明で納得できるの?」
「うん、アンナちゃんが親切に話してくれたから」
「アーシは安奈にも結構ぞんざいに扱われてると思うよ」
「アンナちゃんも栗ぞんざいが好きなんだ」
「ちょっとベタ過ぎるよー(泣)」
「カッチン、イワケンの場合はマジだから」
「うそー。いくら何でもそれは…」
「御厨、マジだって。マジ、マジ。こいつ半端じゃないんだ」
「おいおい、新田。持ち上げても奢らないぜ」
「ねっ、ミクリン。マジでしょ」
「イワケン君が痛々しいよー(泣)」
「ヤバいね。まあ害がなさそうだから良いけど」
「何の話してたか分からないけどさー。ヤバいって言えば最近、俺ちょっとヤバい奴に絡まれてんだけど相談に乗ってよ」
「なんでウチに相談するかなー。ウチ、タダのJKなんすけど」
「そんなの俺の知り合いで一番ヤバい奴だからに決まってるじゃん」
「誰が一番ヤバい奴だ!」
「そりゃそうだ。岩崎君大正解」
「なんでよー。ウチは普通のJKだし」
「普通のJKはヤクザを壊滅させないよー(泣)」
「リオは僕の師匠で正義の聖龍の転生体の普通の女子高生だよ。リオは僕が守る」
「いやもうアンナが言ってる事全て普通じゃないよね」
「片手で男子高校生を放り投げる安奈の師匠って時点で普通じゃないんじゃねぇ」
「だ・か・ら、その普通にヤバイJKに相談なんだよ」
「ハイハイ、言ってみ。聞いてやるからさっさと言ってみ」
「ほら、俺ってさあ最近色々と目立ってるじゃん。表彰とか表彰とか」
「そうだねえ。停学とか追試とか」
「警察から表彰されたから±ゼロだかんな」
「僕は絶対マイナスだと思うよ」
「全然話が進まないよー(泣)。呼吸止めさせてあげよーかウジ虫さん野郎ー(泣)」
「イエッス、マム! 同級生が絡んでくるのであります! 偽物の戦士だと言うんであります」
「なんで、イワケンが戦士なんだよ。ただのヘタレじゃんか」
「ヘタレって言うな、新田! 警察に表彰されて妬まれたんだよー、きっと。前から痛い奴だったんだけど、”お前なんて偽物だ”とか言って絡んでくるんだぜ」
「岩崎君って警察に収監されたんだ」
「ミクリンさん。収監じゃ無くて表彰だからね。新田とアンナちゃんを助けた時とこの間の元ヤンの笹なんとかの時と二回も」
「でもそれが何で戦士なのさ。イワケン、自分でそんなこと言ってんの? ウチらにはそんなこと言った事無かったけど」
「言ってねえよ、そんな事。俺は戦士じゃ無くてヒーローだからな」
「ソレってほぼ同じじゃねーの。それにそいつの言ってる事当たってるじゃん。アーシを助けてくれたのは安奈と莉凰で、イワケンじゃねえからな」
「わかってるよー。別に俺もそんなこと人前で言ってるわけじゃねえから。それなのに俺こそ本物の戦士だとか前世は戦士だったとかさー」
「へー、ナンか聞いた事が有る様な…」
「ぼっ僕は聖龍の眷属で正義の龍の弟子だからね。そんな変な奴とは違うからね」
「わかってるよー、アンナの事は。ウチだって素でその手の話したら只の痛い奴だもん。で、そいつなんて奴なの」
「うん、柳瀬って言うんだけどね。前まで闇のネクロマンサーとか名乗ってたけど、最近は聖戦士ダンブルグって名乗ってる」
「「あっ!」」
「アンドリン、アンナ。二人して何か知ってるの?」
「たしかアンナのブログに…」
「うん、闇のネクロマンサーさんって僕に堕天の聖印とか教えてくれた親切な人だよ」
「いや、全然親切じゃねえし。あんなのデタラメだし。ただのバカだし。そいつ只の痛い奴だよ。放っとけばそのうち諦めるよ」
「僕もSNSでやめるように言ってあげるから」
「アンナちゃん、アリガトウ。安藤なんかよりもずっと優しいよ」
「安藤なんかって、なに? なんかって? アーン」
この時ウチはあんな厄介な事になるなんて思ってもみなかった。




