クリスマスも葬儀屋は念仏を聞くし馬の尻尾は結ぶと解けない
大崎「禁煙をしてみろ世界が変わるぞといった先輩、こないだ音が光に、光が音に聞こえて小さな妖精が庭で踊ってたらしい」
糸井「人間やめると世界が変わるんだな」
柿沼「粉始めて草、私達も粉こねて草混ぜたクッキーでも食うか?」
松浦「sふぁjlsんgpうぇrんgぱいんr@いあ」
人間を辞めた松浦がレジに弁当を置き頭を殴られる。
相も変わらずクッキー以外を売らない資本主義の理から外れた痴呆老人が管理しているコンビニで私達は現状を変える為に今日も頭を回す。
松浦「こないだ道の真ん中に未開封の鬼殺しの紙パックが置かれてたんだけど伝説の剣みたいでわくわくしたな」
柿沼「拾って飲んで暴れてデーモンスレイヤーよ」
糸井「まじめな話なんだけど葬儀屋ってクリスマスも念仏聞くの?」
鈴木「先輩方、過去の遅刻罰則者のその後纏めてきましたよ」
鈴木がコンビニの床に紙を並べる
直近では1年前さかのぼれば20年間に及ぶ300人ほどの罰則者のその後が書かれている
大崎「会社員に家業引継ぎに進学、凡そ平凡にその後を歩んでるな」
糸井「誰か連絡先残ってる人いないの?」
鈴木「一人まだ県内に残っている人がいたんでその後を人づてに聞いてみたんですけど、どうやらそこの痴呆老人みたいなんですよね」
すかさず柿沼が小麦粉で拵えたジャックナイフを振り回し痴老に詰め寄る
柿沼「ね~ぇ先輩ぃ???どうやってこの地獄から抜け出したんですかぁ??」
一瞬、ほんの瞬き程度の瞬間だが私達の目を見て哀れんだ顔をした
何をしても無表情だった痴呆老人が?と考えるのも束の間
次の瞬間防犯ボールを握り空いた手で通報ボタンを握りしめた。
全力疾走し河原に逃げ去った私達は息を整える。
大崎「あいつ何か知ってるな」
鈴木「そもそもこの過疎で病んだ地方都市とはいえど罰則者でその後が掴めて尚且つ県内に一人っていうのが怪しいんですよね」
柿沼「まだコンビニに火をつける実験はしてなかったよな」
松浦「店内に練った小麦粉置いとけばクッキー焼くため反応にならんか?」
糸井「怪しいと言えば鈴木お前だけはなんで私達と普通に接することができる?」
そもそもでそうなのだ、他県から駅でやってきた奴らも他県ナンバーの車も皆、私達に対する反応はクッキーを焼いてきてください、それ以外なにをしても無表情、会話中ならその瞬間だけ無表情になりその後は私達がまるでその場にいないように存在を認識しなくなる。
鈴木「先輩たちといた時間の長さとかじゃないっすか?少なくとも私はクッキー焼いてる先輩とてもじゃないけど気持ち悪いっすけどね」
松浦「お前以外の友達も試したけど同じ反応やぞ」
鈴木「多分それ先輩が友達と思ってるだけです、友達と思っていればいきなり小麦粉渡して弁当買いに行かせません」
糸井「学生の時は消しカスと交換できたぞ友情が存在するから弁当との天秤が釣り合ったぞ」
鈴木「先輩方顔だけはいいから何してても許されてただけです、普通は学校の鉢植えの花を全部秋刀魚と入れ替える奴と友達になりたくないです」
大崎「何がしたいかじゃなくて何もない所から何かを生み出せよ、常識ってなんだ?可能性の対義語か?」
柿沼「見えてるものだけで判断をするな本質を見抜くことが何よりも大事だしたとえ見抜けなくてもその行為を行ってる時だけが唯一お前がお前であることの証明だよ」
鈴木「頼むから黙って私が買ってきたお弁当味わってください」
糸井「お前これ弁当マヨネーズくっついたままチンしただろ」
鈴木「サラダパスタはチンしねぇしマヨネーズもついてねぇっすよ」
何も変わらない変えられないまま1ヵ月が経過した
無職は時の流れが早かったり遅かったりするがすくなくとも私達は1日1日を噛み締めている