友達のじいちゃん家の犬を撫でたら爺が嬉ションした
よろしくお願いします。
教頭「遅刻の罰は鳩小屋掃除なんだけど枠埋まっちゃってるから君達は何する?」
糸井「いつの日かあなたにクッキー焼いてきます」
卒業式が終わり皆がどこに寄って行くか何時集まるかと騒めいてる中、私達は教頭に呼ばれた。
教頭「クッキー焼いてきた?」
そこから私達の人生は壊れた。
決まっていた合格通知は取り消され面接結果はすべてお祈りされ、無職18歳4人クッキーは焼けていない。
糸井「ここまでするか普通?」
大崎「お前を殺して棺桶にジャンプを入れるよ」
松浦「収骨の時に燃えカス拾ってこれはワンピースの4コマ目ですねって言う」
柿沼「エンディングソングはBLUE ENCOUNTのSurvivorで」
糸井「どうにかしてくれよ」
大崎「どうにかなりそうだよ」
なぜこうなったかは、私達にも、誰にも教頭にしか恐らく分らない。
当面の生活費を稼ぐ為に至急募集と書かれた近所のコンビニに面接を頼むも電話口での返答はクッキーを焼いてください。
短期のリゾートバイトで県外の募集に応募しても返答は同じ「クッキーを焼いてください」
だが、私達も現状に手をこまねいただけではない。
私達の応募を断った恐らく70歳は超えているであろうコンビニのオーナー、断った1時間後に入店した私達におくびれることなく一切表情を変えず出てきた言葉は「クッキーを焼いてください」
私達は、一番安いクッキーを選び会計を済ませ、痴呆老人がコンビニに立て籠っていると匿名で通報し店を出た。
糸井「クッキーを持ってきました」
教頭「今はまだその時ではないよ、それに目に見えるものだけで判断できる程君達は若くない、なんならそうだ、そう君は遣隋使の夢を見たか?」
話にならない。私達はクッキーを分け合いながら近所の河川敷で頭を悩ませた。
大崎「お前の家の爺ちゃん腹撫でると嬉ションするんだって?」
鈴木「犬です」
糸井「いっぱい出してたよ」
鈴木「犬です」
松浦「しかも鈴木お前餌やってこいって言われて缶詰のまま置いといたら朝まで缶嚙んでたらしいじゃん」
柿沼「総入れ歯ってプルトップの缶詰開けれないんだな」
鈴木「犬です、相談があるっていったから来たのにクッキー1つでなんで爺ちゃんうち馬鹿にされてるんすか?」
私達はこの一か月クッキー(及びその原材料)しか食べれていない、痴呆老人が立て籠っているコンビニも含めクッキー(及びその原材料)以外を買おうとすると老若男女問わず店員に拳でグーで私達を、女子高生の、いや元女子高生現在無職の頭を殴るのだ。
警察に相談しても暇を見つけては痴呆老人のコンビニに通報をかけていたせいか返ってくる言葉は「クッキーを焼いてきてください」
こういった際の唯一の頼みの綱は家族だが私達は皆、放任主義の家庭に生まれ落ちたせいで金銭的な問題ないが高校に入学して以降一切連絡もつかない状況だ。
大崎「少なくとも現状私達に分かるのはお前以外の奴に話しかけてもクッキーを焼かせてくること以外何一つ会話にならない」
鈴木「クッキーを焼いてきてください」
私達は靴下に小麦粉を詰めた即席のブラックジャックで鈴木の後頭部を殴った。
鈴木「痛くないっすよガソリンの味知ってます?奢りますよ、というか焼いて教頭に渡せばいいんじゃないんすか?」
大崎「何回も試したけどラッパーが遣隋使に転生したけどこの世の中はヒトデを投げるお婆さんで溢れてる事しか返ってこない」
鈴木「未来改変?転生?そのブラックジャック貸してくださいよ、あの爺の頭をまともにしてやりますよ」
松浦「バットでやっても車で轢いても無傷」
糸井「家に火をつけてみたけど40人くらいの教員に殴られて無給で消火活動させられた」
SNSに投稿や街頭での叫び等、全て私達の思いつく限りの打開策は無駄に終わった。
鈴木「だからわざわざうちが買ってきた弁当食ってんすか」
こんな頭のおかしい奴の頭を殴ってまで食事にありつかないといけないなんて私達が一体なにをしたというのか。