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詩諸の記憶書庫  作者: 詩緒(暫定的に)
1/3

努力と悩み

他作品のようなほのぼのやゆるい百合を目的の方の閲覧はおすすめしません。

努力もせずに天才にはなれない。


そんなことは誰もがわかることだし、私自身頭では理解している。

当たり前のことだと思うし、そもそも私は努力家ではない。

それに、天才になろうというつもりもさらさらない。


幼い頃、私は天才と言われた。幼稚園の時点で中学生に近いレベルの頭を持っていた。

何もせずとも褒めてくれる。私はそんなぬるま湯に浸った。浸ってしまった。


年を重ねていく。重ねていくにつれ、かつての天才は秀才となり、凡人となる。

そしてそのうち私はその凡人であり続けることすらできなかった。

ただ、それだけのこと。それだけのことである。


過去、現在、多くの素晴らしい人たちがいる。

いつか自分もあんな人たちの輪に混ざれるのだ、と。

夢を見ていた。何の努力もせずに。


そもそも努力って何だろうか?

残念ながら私の頭では努力の意味を即答できる知恵はない。

ただ漠然と、努力はしてこなかったな、という確信はあるし、断言できる。


辞書を見る。目的のために力を尽くすこと、的なことが書かれている。

私は目的のために力を尽くしてこなかったのだろうか?

当然だろう。私に目的はないのだから。


ただ、自分に自信がないと言いながらも。

自分はもっとやれるはず、などという驕りを持ってしまっている。

さらにネガティブなことに関しては断言できるのだ。


私はよく自分自身を『よくできた出来損ないだ』と揶揄する。

実際そう思っているし、これに関しては自信を持てる。

ネガティブに自信を持てるというのは、逆に凄いのではないだろうか?


いや、それもまた驕りだろう。


人間というものは、誰しもが悩み、苦しみ、日々を何とかごまかしながら生きている。

だとすれば。

私は生きる努力をしてこなかったのだろうか?

それならば、とうの昔に常世の人間となっているはずである。


何かを思い、考え、生きる努力を。

果たして私はやってきただろうか?

恐らく答えは出ないだろう。

『生きる』という事に関しては、大昔から哲学という分野で考えられてきただろう。

残念ながら哲学は齧った程度の知識しかないのでここでは割愛する。


ただ言えるのは、私は『生きない努力』ということはしたかもしれない。

『死ぬ努力』ではない。『生きない努力』だ。

自発的なものはポジティブな感情だ。ネガティブではない。



同様に『人を殺めない努力』はしてきたのか?

なにを突然、と思われたかもしれない。しかしこれも自発的なものだ。

ここまで極端でなくてもいい。『人に暴力を振るわない努力』でもいい。

少なくとも『私』の記憶のなかではそのようなことはしなかった。

となると、『人に暴力を振るわない努力』はできていたのだ。

自覚していないだけで、知らず知らずのうちに私は努力をしていた。

ただ、努力していることに気づいていないだけなのだ。


何てくだらないことを考えているのだろう、とここまで書いて冷静になる。

ただ、悩んでいる。それを文字に書き起こしただけだ。

しかし悩みなど誰も抱えている。私だけではないし、

もっと重い悩みを抱えている人は大勢いるだろう。

表面上に出るか、水面下で見えるか。あるいは、隠し通すか、爆発させるか。

単にそれだけの違いなのだ。



……さて、こんなところでいいだろう。詩緒に提出しよう。

あくまでも彼女の自論です。私は正しいかどうかの判断はしませんし、できません。――詩緒

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