爆乳に埋もれる王子
王位継承もふわっとした知識で書いています。ファンタジー寄りのギャグ三昧作品なので、笑いのみを追求しているぬるい異世界ものだと…優しく見て頂ければ幸いです
誤字修正しています。台風の接近に伴い、誤字感知レーダが乱れているようです(言い訳)
[2020.10.1追記]
フリデミングとハラシュリアの出会いの年の年齢を3才→2才に変更しています。
ご指摘ありがとうございます。
お互いにまだ2才児だが中身は大人だ…よく考えればライゼウバークの時代からの空耳事件の訂正と誤解を解く絶好の機会が訪れたことに気が付いた。
よし、ここは一つ…私は口を開いた。
「ライゼウバアーギュのききまちゅがいだりきゃ…」
…しまった。自分が2才児なのを忘れていた。まだ大人のように流暢に話せないのだった。
私は再び画用紙を手に取ると、スクリウ語を書き殴った。
『ライゼウバーグは聞き間違いをしていました。私は死に際で、ライゼウバーグも面倒な事から解放されるね…と伝えました』
私が書いた画用紙を見せると、2才児のフリデミング殿下は驚愕の表情を浮かべた。
私は更に書き殴って殿下に見せた。
『勝手に聞き間違えておいて、こっちはいい迷惑でした。ジョフィアード殿下の個人資産は国に返還しておきました』
またも真っ青になる2才児。すると、顔色を悪くしているフリデミング殿下に乳母が気が付いて
「まあ、殿下!?どうされましたか?」
と、言いながら私達に近づいてきたので、さりげなく言葉を書き殴った画用紙を証拠隠滅の為に、千切る遊びをしている風を装って引き千切った。
「フィ…キャッキャッ!」
2才児の無邪気演技を装いつつ…フリデミング殿下の乳母の顔を笑顔で見詰める。
すると乳母も私を見て笑顔になり、顔色の優れない空耳殿下を抱き上げると、あやし始めた。
あやしても無駄だと思う…多分自分の勘違いに衝撃受けているだけだから。
その日は空耳フリデミング馬鹿殿下は乳母に抱き付いてずっと顔色を悪くしていた。
ちょっと待てよ?若いお嬢さん(乳母推定20代)の爆乳に顔を摺り寄せてんじゃないわよっ⁉このエロ変態近衛めっ!
「モーッブーッ!」
と私がジロリとフリデミング空耳殿下を睨むと、一瞬こっちを見た元?今も殿下は(ややこしいな)ぷいっと顔を背けた。
顔を背けたいのはこっちじゃーーーっ!馬鹿ライゼウバーク!
最悪の再会になったのだが、それからというもの母親同士の仲が良いから、事あるごとにフリデミング殿下と一緒に遊ばされることになった。
『何度も言うようだけど、私はライゼウバークもジョフィアード殿下も恨んでないからね?気まずいのはあんただけで、私は外見はあんなにチャラチャラしていたのに根暗な奴だな~という感想しかないの、分かる?』
私は会う度に、いじけているのか…私の顔を見ようとしない空耳フリデミング殿下にスクリウ語で私の心の叫びを書いた画用紙をコソッと見せていた。
嬉しいやら悲しいやら、最低でも月に一回は仲良しな母親達は茶会を催してくれるので、フリデミング殿下と会う機会にも恵まれている。空耳殿下は私と遊び始めると視線を逸らして口を尖らせて俯いてしまう。
ちっ…相変わらず根暗ね、元チャラチャラ近衛のくせにっ!
そしてお互いに出会って三ヶ月過ぎる頃に突然、フリデミング殿下が口を開いた。
『すみませんでした…クリシュエラ殿下』
何と…!完璧なバンティラード国の言葉、ラード語だった。
フリデミング殿下は私の方へにじり寄って来て、顔を寄せてきた。
『私の言葉で謝罪したかった…ラード語で殿下に謝罪出来るようになるまで…練習しました』
確かに言葉大事!自分の言葉での謝罪はすごく大事だけど…頑張り方が斜め上だよっ!
「そんにゃのなから、そらみゅみいになるんでじゅ!」
イタタ…舌が回らなくて噛んでしまった。まだこの国の言葉はもうすぐ3才児には難しかったわ。
まあ一応謝罪のようなものも受け取ったし、これで手打ちにしましょうよ。
「わたしも…ライゼウバークをこまらせて、ごめんにぇ」
と何とか舌足らずな言葉で、前前世での枕元で空耳を引き起こしてしまったことを謝罪すると、現フリデミング殿下は顔を真っ赤にさせた。どうしたの?
「まあ!?殿下、御熱でもありますか?」
と、またも乳母に抱っこされたフリデミング殿下は、顔を赤くしたまま乳母の爆乳に顔をうずめてぐりぐりしていた。
男って嫌ね…いくつになっても、いやらしいんだからっ!
そして初謝罪から数日後、そういえばフリデミング殿下に伝え忘れていたなぁ…と思って一緒に遊んでいたフリデミング殿下に
『前に言い忘れていたけど、殿下の恨み辛みの籠った遺言書は公開して国王陛下以下…御歴々の方々に全部まるっと読んでもらったから!私が殿下の恋人だという誤解はすぐに世間に正されました〜あしからず』
とスクリウ語を書き殴った画用紙を見せると、ベビーベッドの上でフリデミング殿下は顔を真っ赤にして仰け反った。ちょっと殿下?そんなに顔を赤くしたら、乳母に誤解されて…
「殿下?あらあら?大きい方が出ますか?オムツ替えましょうね!」
そう言われて乳母にコロンと倒されて、大慌てのフリデミング殿下は更に乳母に押さえ付けられてしまって、パカーンとお股を開かれてしまった……
私…同じベビーベッドにいましたので、小さい殿下の殿下を見てしまいました。不可抗力です、念の為。
ホラァ!空耳は馬鹿だな〜顔を赤くしてると、力んでると勘違いされるに決まってるじゃない!
益々真っ赤になって抵抗している2才児。爆乳乳母推定20代に優しく下半身を触られてしまっている、空耳殿下。
もう無駄な抵抗は止めて、大人しく尻穴まで触られとけ…
「おみゃえ!こによ〜〜ひじょめえ〜〜れのみりな〜〜!」
オムツを強引に替えられた後、いきなりフリデミング殿下が私に、赤ちゃんパンチを繰り出してきた。
「りょっりょ!?にゃにしゅんにょ〜〜〜?」
私も赤ちゃんパンチで反撃した。ライゼウバーグの空耳馬鹿のくせに何するんだよ!
赤ん坊の掴み合い。迫力は無いけど、本人達は真剣だ!私の顔に殿下のパンチが入った時に、空耳のお母様である王女殿下がフリデミング殿下の体を吊り上げた。
「こらーっ!女の子に手を上げるお馬鹿さんは誰だー!」
下半身は露出されるし、怒られるし今日は散々だね、空耳。
さてそういう訳で、三度目の人生を機嫌よく始めた訳だけれど、フリデミング殿下が4才になってすぐに国王陛下(空耳の祖父ね)が年齢を理由に国王を退位して隠居したいと言い出したみたい。
そこでフリデミング殿下の母上が女王として即位するのかな~と思ったんだけど、国王陛下が12才になる第一王子殿下のサイフェリング殿下を次期国王に指名したらしいの。
それで慌てて第一王子殿下の立太子の儀を執り行って…譲位を整えて、僅か12才の国王陛下の誕生となった訳なのだ。
久しぶりに会うなり、フリデミング殿下と私は4才児なったばかりとは思えない会話を繰り広げていた。(注:傍目には内緒話をしているちびっ子同士に見える)
「父上の心境は複雑だと思うよ」
「だよね~他国から婿入りされてきた王族の方でしょう?実質フリデミング殿下のお母様…次期女王の片腕として働くつもりだったけど息子の補佐でしょう?そりゃあ…ね」
「兄上は切れ者なんだよ。父上の思い通りには動かないと思うし…」
ちょっと待て?一応実父じゃないのか?何だか言い方に含みがない?
「王配…今違うか、え~とミルトマイデラ公って穏やかで…人当たりも良い方よね?そんな息子に口出しする方なの?」
私が首を捻りながら聞くと、フリデミング殿下は4才児とは思えぬ愁いを帯びた溜め息をついた。4才児が色気を出すな!
「結構気難しい人だよ、一応今の実父だけど…はっきり言ってしまうと俺は気が合わない」
「はっきり言い過ぎ!」
「本当の事だ、長い人生の経験上、血族でも反りの合わない人間がいることは分かっている」
「うん…それはそうね」
前前世の王女殿下時代の実姉を思い出した。何故だか私を毛嫌いしていて随分苛められたっけ…
「いつも庇ってくれてありがと…ライゼウバーク…」
フリデミング殿下は少し目を見開いた。
「殿下の姉上のことか?礼には及ばない。あの厚化粧女は心もドス黒くて吐きそうなくらい心底、嫌いだった」
な…何なの?すんごく辛辣な言葉を浴びせているけど、ライゼウバークはお姉様と何かあったのかしら?
「ライゼウバークはマベリュカナお姉様となにかあ…」
「うわぁ⁉その名前は言うな!虫唾が走る!」
ひえぇ⁉本当にどうしたの⁉
「こらっ⁉あなた達また喧嘩しているの?」
絶叫したフリデミング殿下の声を聞きつけて、フリデミング殿下のお母様の王太后殿下のマティアーラ様が私達の前にやって来た。
「仲良く喋っているかと思ったらっすぐに仲悪くなるんだからぁ!今日はどっちなの!?」
どっち…と言われても殴りあいの喧嘩はまだ、数回だけだと思うけど?…ええ、数回は殴りあってますよ、それが何か?
「だいじょーぶです、母上。大嫌いな虫の話をしちゃってびっくりしちゃっただけです」
しれっと答えたフリデミング殿下の横顔を見ながら、しょっぱい気持ちになる。マベリュカナお姉様は大嫌いな虫扱いか…本当に昔、何があったんだろう。
納得したのか、離れていった王太后殿下の後ろ姿を見送りながら、フリデミング殿下はまた溜め息をついた。
「母上は自分でも息子でも、ちゃんと治世を敷く者なら誰でも構わない…という気持ちなんだと思う」
「やけに言い切るわね?」
フリデミング殿下は、困ったような表情で私を見た。
「深夜、父上と母上が話していた。でも父上は納得していなかった、兄上じゃ不安だ…母上が女王として即位して、自分が取り仕切らなければこの国は危うい…と言っていた。母上はサイフェリングは聡い子供だ。頭も良いし広い視野を持っている。あの子の力及ばない所を私達が埋めてあげればいい…と言って返していたが、どうかな?父上と母上の意見は割れていると思う」
私はフリデミング殿下の肩を掴んだ。
「な、何か?」
私はフリデミング殿下のキョトン顔にグイッと自分の顔を近付けた。
「あんたっ!ちびっこのくせに夜中まで起きて盗み聞きなんかして⁉寝る子は育つよ!寝不足が祟って将来、チビハゲになっても知らないからね!?」
フリデミング空耳馬鹿殿下は、体を震わせると私を指差した。
「うっうちは親戚にハゲはいないっ!そういうお前こそ公爵がポッチャリハゲだろ!?お前の方がハゲになる確率高いだろっ!」
「女子は禿げないんですぅーー!」
「お前なんか女子枠に入ってないだろ!?」
「何ですって!?」
また掴み合いの喧嘩になった。
どうも精神年齢が体年齢に引っ張られてしまうようだ。空耳殿下も前世ほど根暗ではなさそうだし、ライゼウバーグのような陽気な性格が全面に出てきている気がする。陽気過ぎて私と喧嘩ばかりしているけれどね。
「こらーっ!また喧嘩して!」
今度は私も王太后殿下に怒られた…
いきなり下ネタばかりですみません