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生まれ変わっても逢いた…くないから困ります!  作者: 浦 かすみ


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漆黒のワンコ

誤字修正しています

久々に腹黒陛下のサイフェリング陛下とご対面だ。隣にはケールミング殿下がいる。その他にはうちのハ……の父、コーヒルラント公爵とハイリットお兄様。そして私がお願いして来て頂いた軍部の事務総長と事務官の方々。内務省のお偉方と事務官……物凄い人数の方が朝議室に集まっている。


よっサイフェリングお義兄様!…と気安く挨拶出来ない雰囲気ではある。


「帰国早々に登城してもらって済まないな」


全然済まないと思ってないんですよね?サイフェリング陛下の口は動いているけど、他の顔の部位がピクリとも動いてないもの。


「学舎建設予定地に隣接する商業施設の建設案だが、近隣住民から治安悪化の懸念と地元商店街の客足低下の危険性を指摘されて現状、中断されている」


あ…なるほど、フリデミングの作る田舎の施設と違って学舎と寮は王都の中だものね~そりゃ転移陣で簡単に行ける場所にある商店街の人たちは客が取られると反対する訳だ。


「父に素案を見せてもらったのですが、根本的なことが抜け落ちていると思いました」


「何?」


ちょっとヌラッ(この表現は不敬か?)とした嫌な魔質を漂わせて、イラっとした表情を見せたサイフェリング陛下。


私は徹夜して書き上げた資料を読みながら、お歴々の方々をぐるりと見回した。


「まずは商業施設の販売店の業種ですが、これでは商店街と同じ系統の業種が参入してしまい、商店街と客の取り合いになってしまいます。とすれば…商店街は普段使う物を買いに行く店だとし、逆に商業施設の方は別の客層を取り入れるような施設にすればよいと思われます」


ザワザワ……朝議室がおじさんの感嘆の声と非難めいた声と…色々混ざっている。少し声が落ち着いた所でサイフェリング陛下が


「具体的な案はあるのか?」


と聞いてきた。


「学舎に隣接している…という特異性を生かして、若者向けの業種を主軸にして出店してはいかがでしょうか?」


「っ!」


「若者向け?」


「そうか、それに特化したほうが客層が絞れるという訳か!」


ケールミング殿下が必死に書き付けている。もうケールミング殿下が閃いているんじゃないかな?まあでも一応続きを話しておこうかな…


「可愛い雑貨や菓子店、若者向けの衣服店、靴…特化しようと思えばいくらでも広げられます。それに地方の物産店も追加すれば、若者以外にも客足が望めます。商店街には無いもの…あそこへ行けば可愛いもの格好いいものが見つかる…若者に向けての…もしくはそんな若者の為にお金を使う祖父母を客層とした商業施設作りを提案致します」


「…!」


朝議場は静まり返っている、ケールミング殿下の文字を書き付ける音が響いている。


「分かった…中々の妙案だな。で治安問題だが…」


サイフェリング陛下に頷いてから、資料に目を落とした。


「王都にある軍部にある警邏詰所を本部として、最低で東西南北4つの地域に別けて、支部を設置するのはいかがでしょうか?」


軍部の事務総長が立ち上がった。そう、警邏の支部推進は事務総長が推している法案だ。


ただ今更何故だ…今までと一緒でいいではないか、と言われて実現していない。今回の商業施設建設の治安問題に乗っかってしまえば、支部創設の大義名分になる。


「支部を作れば商業施設の付近を重点的見廻りしても、他の地区が疎かになることはありません。そして付近住民の懸念事項の犯罪増加への抑止力にもなります」


事務総長の目が輝いた。


「そっその通りです!見廻り強化と支部を作ることにより、軍人の雇用も増えます」


まあ、軍人方は自分達の軍備予算が増えることの方に喜んでいるんだろうけど、治安維持も大事、うん。


「ふむ……確かにそれなら商業施設付近の治安問題も解決しそうだな。大将閣下方とも協議したいな、事務総長予定を決めておいてくれ」


サイフェリング陛下の言葉に事務総長は大きく頷いている。


別に軍人さん達の肩を持った訳じゃないけど、軍部のおじさん達が熱い視線を私に送ってくる。おじさんに見詰められても嬉しくない。せめてルベル卿ぐらいの美形を連れて来て見てくれたら、ときめいてあげても宜しくてよ?


「シュリツピーア王国でも商業施設の建設で懸念事項が出ているそうだな?そちらは上手くいきそうなのか?」


サイフェリング陛下がニヤニヤしながら聞いてきたが私はシラッと返しておいた。


「フリデミング殿下にお聞き下さい」


フリデミングの手柄を横取りするつもりは無い。私はもうシュリツピーア王国の人間だし、フリデミングの嫁のつもりだ。あくまで彼の補佐だ。


さて、この後の話は父と兄とケールミング殿下が纏めるだろうから…と早々に屋敷に戻って、メイド達との面談に臨んだ。


しかし時間が無いから6人とまとめて話をしよう…と思ったのがそもそもいけなかったのだと思う。


面接は紛糾した。


「私の方がお嬢様のお世話を確実に完璧にこなしてみせます!」


「私だって!お嬢様のお傍にどこでも付いて行きます!」


「…私も!」


「私の方が…!」


「お嬢様っ私を選んで下さい!」


私はメイド達が好き勝手話し出した後、唖然としていた。しかし驚いてばかりいられない。私は同じ席に着いてくれたリーネとマエリアさんに頷いて見せてから、面接を受けるメイド達を見た。彼女達はお互いに睨み合っている。


ここまでしてシュリツピーア王国に行きたいことの答えは一つのような気がするわね…


私はメイド達を見ながらゆっくりと説明した。


「コホン…シュリツピーア王国での私付きのメイドの主な仕事は私の部屋を整えて、私の室内での世話をお願いします。外へ出る際は護衛とリーネかマエリアにお願いする予定です。原則、城内を自由に動き回る必要はありません。それでも良いのなら先ずは試験期間として適性を見ます」


大嘘だが、部屋から原則出れないとなったら、どういう顔をするか…様子を見ることにした。案の定一番古参のマエリアさんと年の近いメイドのタニアが声を上げた。


「どっどうしてリーネやマエリアは外に出て自由に動けるのに私達は部屋の中の仕事なのですかっ!」


「私付きのメイドだからです」


「…そ…っで…でもっ!私だって自由に動きたいです!」


「自由の意味を履き違えてませんか?リーネもマエリアも私と随行して外へ出る用事は私の用事での外出です。勿論仕事中は…です。ですが試験期間とはいえ、お休みの日も設けてますしその日はゆっくりして頂いて結構です」


私がそう言うと、タニアも他のメイドも明らかにホッとしたような顔をした。そこで私は間髪を入れずに言った。


「但し、コーヒルラント公爵家の爵位に泥を塗るような行いをした場合、即刻解雇となります。現にそこにいるアレニカがフリデミング殿下の近衛の方を追い回し、フリデミング殿下から私が叱責を受けています」


空耳から叱責は受けてないけど受けたことにしてやろう……ん?私も某殿下達と同じ腹黒病がうつったのか?


すると今の今まで黙っていたアレニカが急に立ち上がった。この子は本当に躾がなっていない…


「追い回しなんてしていませんっ!ルベル様から怒られたこともないしっ私から声をかけても微笑まれていて、私ととても良い感じでっ…」


何でそれを今言うんだっ!と内心驚いてアレニカを見上げていたら、タニアと他のメイド達がいきり立った。そりゃあいきり立つわ…


「ちょっとあんたどういうことよ!?まさかルベル様に近付いたんじゃないわよねぇ!?」


「どういうことよっ!ルベル様と…!?」


いやいや今はそこが論点じゃないよ…あなた達が行く行かないの問題で…漆黒の獣の出番じゃなくてだね…


アレニカの襟首をタニアが掴んだ!?ひえぇぇここで喧嘩?私はね、これでも元王女殿下だしおまけに元子爵子女だし…生粋の、という言い方もおかしいが…荒事を目の前で見たりとかほぼ無い令嬢な訳よ!


止めに入るにはどうしたらいいの!?


「私はルベル様と良い雰囲気なの…いっ!痛いじゃないっ!?」


パンッ…!とタニアがアレニカの頬を叩いた。あわわっ!?


「あんたみたいなドブスがルベル様とどうにかなる訳ないじゃない!」


「そうだよっ!厚かましいっ!追い回しして嫌われてるくせに!」


「何ですってっ!?」


メイド3人が掴み合いを始めたぁぁ!?


公爵令嬢の私(戦力外)リーナ(庶民だが内気)マエリアさん(実は伯爵令嬢)で私達は完全なる非戦闘員だ。そんな戦力外の私達がオロオロしていた時に、扉がバーンと開いた。


「いい加減にしろっ!」


フ…フ…フリデミングだったぁぁぁ!助かったぁ…


「フリ…フリデミング助けてぇ…」


フリデミングは室内に素早く入って来ると、私を抱き締めながらメイド達をジロリと見た。


「お前達は全員シュリツピーア王国に来るな!そうだろう?ルベル?」


室内に居た女子全員がハッとして廊下を見ると……ヌオー――と漆黒の獣が居たぁぁぁぁ…しかもいつもにもまして、目付きが鋭いぃぃ!怒ってますね?怒ってますよね?


かなりの怒気を漂わせて室内に滑り込むように入って来ると、私に礼をしてから取っ組み合いの途中のメイド6人を見た。


「俺にだって…相手を選ぶ権利がある。お前達の好みの男は俺じゃない…他を当たれ」


ひょええええ…地を這うような低音…怖い!これぞ手負いの獣ぉぉ!


するとマエリアさんがサッと立ち上がると淑女の礼をして、ルベル卿の前で腰を落とした。


「ルベル卿、お初にお目にかかります。コーヒルラント公爵家メイド長補佐をしております、マエリア=アビランデと申します。この度は当家のメイドが大変にご迷惑をお掛け致しましたことを深くお詫び申し上げます」


腰を落としたマエリアさんにルベル卿は近づかれると


「どうぞお顔をお上げ下さい。私も女性に対して声を荒げてしまって申し訳ない」


と、声をかけたが、マエリアさんは更に腰を落とした。


「恐らくこれまでも度々ご不快な思いをされていたとお察し致します。当家のメイド長補佐として、当家使用人の指導を怠ったことも事実で御座います。どんなご叱責もお受け致します」


そうだった…ルベル卿は歴とした伯爵家の子息。本来なら普通のメイドが気安く声をかけたり、ましてや恋人に~とか夢見ることのない…いや出来ない貴族位の方だ。


叱責どころか、剣で斬られていたって悪いのはメイドだ…と言われたらそれで不問になるくらいの立場の方だ。マエリアさんの手は震えていた。そりゃ怖いよね…まだ怒気を滲ませて漆黒の獣ぉぉぉ~のままだものね。


すると漆黒の獣は腰を落としたマエリアさんの前に膝を落とし、マエリアさんの顔を覗き込むようにして見ると


「もう大丈夫です。マエリア嬢が気に病まれることではありません。ここからは公爵家の主が判断なさることです」


そう言ってマエリアさんの手を取って、立たせてあげた。


ふあああああっ!?


こんなピリピリした場面なんだけど、これはどうした、一枚の絵画のような美しさではないでしょうか?漆黒の獣とエロ可愛いメイド…絵面の色気が堪らない。


「はい…」


小さい声で返事をしたマエリアさんは漆黒の獣に見詰められて……あれ?真っ青になっていた。


体がカタカタと震えている、エロ可愛くブルブル震えているマエリアさんは色っぽいうえに、庇護欲をバッチリ誘っていたが……何だか様子がおかしい。


ああ、アレかな?漆黒の獣が獣臭を出し過ぎて、怖かったのかな?いやでもルベル卿は今は、驚いたようなキョトン顔でマエリアさんを見ているし、怖い怒気は治まっているけど…


マエリアさんがぶっ倒れそうなほど顔色を失くしている中、ルベル卿は気になったのかマエリアさんに声をかけた。


「マエリ…」


「すみません……少し離れて頂けますか…」


小さい声だけどマエリアさんから拒絶の声が出た。恐らくだがルベル卿にとっては人生初の異性からの拒絶だと思われる。よもや女性から離れろ…なんて言われたこと無い…よね?無いよね…だってルベル卿が獣から耳の下がったワンコになっているものね。


「あ……その…すみません」


ルベル卿も小さい声で謝罪した…


き、気まずい!何だどうした!?こんな時はどうしたらいいの!?



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