小説の中からこんにちは
サブタイが相変わらず寒っタイトル……オヤジギャグも滑っています。
宜しくお願い致します
ミルトマイデラ公と王太后ミーナヴェラ様は本当に離縁した。
シュリツピーア国王陛下がミルトマイデラ公を自国へ連れて帰るとのことだった。
ミルトマイデラ君を私に強打されて、痛みで悶絶している間にミルトマイデラ公を客間に連れて行ったのだが、出せ!私が王だ!と言って暴れるので、見張りを置いて軟禁状態にしているらしい。
「ベネディクルは兄弟達や甥や姪…そしてハラシュリアにまで危害を加えようとしていたのだし、一生監視付きの軟禁生活になる。それで何とか怒りを収めて欲しい」
シュリツピーア国王陛下がそう言っているけど、陛下もあのガガリアに何かされたから体を悪くして…お世継ぎが出来なくされちゃったんだよね?そう疑っているんだよね?
私の頭を優しく撫でるシュリツピーア国王陛下を見ながら聞いてみた。
「それでいいのですか?悔しくないですか?」
「…っ」
一瞬、シュリツピーア国王陛下は息を飲んだが何とか微笑んでみせてくれた。
「妃に…ワスミリーザに自分の子を抱かせてやることが出来なかったのが辛い…かな。何故そんなことをするのかなぁ…と腹が立つのを通り越してアレが哀れに見えた。それほど周りを不幸にしても自分が幸せになる訳じゃないのにな…」
私は間違って伝わらないように、しっかりとシュリツピーア国王陛下の目を見ながら言葉を伝えた。
「私とフリデミングだって子が授からないかもしれません。それは生まれつきの持病が原因かもしれないし、精神的な原因かもしれません。それでもシュリツピーアに嫁いだからには最後までフリデミングと共に国民の為に頑張るつもりです」
シュリツピーア国王陛下は、静かに泣いておられた。またオジサマを泣かせてしまった…
フリデミングは兄弟達と王太后様とも話し合って、最終的にシュリツピーア王国の王族に養子に入ることになった。
私もフリデミングに絶対に付いて行く!と宣言していたからお父様は心労でハ……が少し進んでしまったかもしれない。お父様の貴重な資源を脅かす宣言をしてごめんね。
私とフリデミングがシュリツピーア王国に行くことが本決まりになった後、ナナヴェラ殿下もリアンデロ=ミノア侯爵子息との婚姻を正式に…という話になったようだ。
「私一人ぼっちなら淋しいな…と思っていたけれど、フリィもハラシュリアもいるんだもの~怖くなくなったわ」
という訳で、ナナヴェラ殿下もシュリツピーア王国に嫁ぐ日は近そうだ。そしてフリデミングは一足先に手続きを済ませて、シュリツピーア王国に移住して行った。
「早く来いよ!絶対来いよ!待ってるからな!」
移住の当日、転移陣まで見送りに来た私を抱き締めながら叫ぶフリデミング殿下。
皆に生温かい目で見られるのが恥ずかしい!あんたは転移していなくなるからいいけど、残った私がずっと生温かい目で見られるんだよ?分かってるのか!?
フリデミングはそう叫んでシュリツピーア王国に旅立って行った。
それから数ヶ月……
「ハラシュリア様…お手紙です」
そして侍従のバルト君が今日も私に呪いの手紙を届けてくれる。
うざぁ……シュリツピーア王国に行ってからフリデミングからの呪いの手紙…まあそれに近い感じの早く会いたいぃぃという類義語で埋め尽くされた手紙が五日に一回は届けられるようになった。
「暖炉にくべてしまえ!」
と、思って丸めて暖炉に投げようかと思ったけど、愛が重いのもお互い様だと思い直し…くちゃくちゃに丸めた手紙の皺を伸ばし、文箱に仕舞った。
「会いたいのは同じなんだよ、分かってんの?ライゼウバーク…」
もうすぐ一年が終わろうとしている。私の誕生日も近い。
そして私の11才の誕生日の当日
「ハラシュリアの…誕生日を祝える最後の年になりました…」
ハ……なお父様の輝かしい頭皮とは裏腹にお父様の表情は朝から暗い。
私は朝から誕生日会の為にドレスに着替え、髪を整えて貰っている。その横でハ……煩い。
「何も一生の別れじゃないでしょう?時間があれば転移陣でバーンと帰って来るからぁ」
「でもっでもっジュリアーナも年明けには嫁いでしまうし!お前まで嫁いでしまったら…」
「もう…お父様泣かない!」
メイドと共に着付けを手伝ってくれていたジュリアーナお姉様に一喝されている父様は、ハ……が少し進行しているのが肉眼でも分かる。誕生日会の準備をしていた私の傍から離れないお父様は結局、お母様に連れて行かれてしまった。
「大丈夫よ~そのうちにお兄様も婚姻なさるだろうし、お嫁さんが来ればまたお父様の元気が戻るわ…多分」
ジュリアーナお姉様はそう言ってメイド達と一緒に私の髪を整えてくれる。
「本当にシュリツピーア王国に行ってしまうのね…」
鏡越しに私の女神を見詰める。鏡の中のお姉様は神秘的な美しさを湛えていた。
「でもね…お姉様、別の楽しみが出来たのよ。私もゆくゆくは国王妃でしょう?お姉様も国王妃じゃない?表敬訪問した時に国王妃同士、お茶でも楽しみましょうよ!」
「あら!そうね…フフ、ハラシュリアは楽しいことを思いつく天才ね」
ジュリアーナお姉様に後ろから抱き締められた。
「あらあらお嬢様、ハラシュリア様の髪が乱れてしまいますよ?」
「あらやだ…フフ。今日はハラシュリアを一番美しく輝かせなきゃいけないのに~急いで直すわね」
いえいえ、一番美しいのはジュリアーナお姉様に間違いないので、私など適当でお願いします。
そして、何とかそこそこの美しさに整えられて私の11才の誕生日会が始まった。
ララナナ両王女殿下と私の親戚の皆、お友達の伯爵令嬢と侯爵令嬢…そんなに大きな会じゃないけど、皆大好きな人達ばかりだ。
ただ一番来て欲しいフリデミングがいないけど…。
誕生日会に戻って来れない?と聞いたけど、無理だと思う…と返事がきて、気落ちしているのを悟られてはいけないと思い、昨日から目一杯の空元気を発動中だ。
淋しくな~い!淋しくな~い!
お父様から始めの挨拶があり…続けて私が主催の挨拶をした。
そしてあちらこちらで歓声と笑い声が起こる中、ジュリアーナお姉様がナナヴェラ殿下と話している私の横に来て
「ハラシュリア、私から贈り物があるの」
と、嬉しそうに言って手を引っ張った。
「さあ受け取って!」
そう言って笑顔のお姉様が指し示した部屋の庭先に…フリデミングが立っていた。
フリデミングはキチンと正装をしていて、王子様の貫禄が漂っていた。美しい…
「ハラシュリアお誕生日おめでとう」
フリデミングは優雅に室内に入って来ると花束を差し出してきた…これ、私の好きな花に似ている。
フリデミングを見上げると
「似てるだろう?コレ」
と満足げな顔で伝えてきた。クリシュエラの時に好きだった花…知ってたんだ。そりゃ知っているか、初めてライゼウバークがくれた花束だもの。確か理由が…『メイドの女の子に花束送ろうとしたら突っ返された…殿下が代わりにもらってやってくれませんか』だった。
私は嬉しくてフリデミングに飛びついた。あれ…フリデミング、背が伸びている?
「この花束…ライゼウバークが貰って下さいって言って、くれた花に似てるね」
「あれは本当は殿下の為に買った花束ですから…私の愛がぎっしり詰まってますからね」
………ぎっしりは重いわぁぁ。まあ、でもいいか。私を想って贈ってくれた花だもんね。
「今日来れないって言ってたけど驚かそうと思って黙って来たの?」
フリデミングはしっかりと私を抱き締めながら耳元に唇を寄せた。
「うん、ジュリアーナ様に協力して貰った」
「うん…ありがとう、やっぱり会えて嬉しい」
そう言うとフリデミングが触れるだけの口づけをしてきた。私の後方でお父様の悲鳴が聞こえる。
「お父様をあまり刺激しないであげて、朝から元気無いのよ」
「まああまり刺激するのもハ……良くないよな、気を付けるよ」
私は手を差し出してきたフリデミングの手を取ると、エスコートされながら友人達の中を挨拶をして回った。
それにしても…久しぶりにフリデミング会えたことで嬉しくてにやけが止まらない。遅れてお祝いに来てくれたケールミング殿下とライトミング殿下とサイフェリング陛下が揃って半眼で私を見ると
「顔がキモイ」
と言ってきた。何だとーー!?そりゃ我が家の女神に比べたら私なんて地面に転がっている石みたいなものだけど、今日だけはそこそこ可愛くなっていると思うんだけどな!
未来の義兄だからいいか…と、おいぃお前らぁ〇〇〇一生縮んでしまえ!という趣旨の言葉を柔らかく表現した言葉に変えて義兄様達に伝えておいた。
腹黒陛下からガガリアを見るような目で見られたけど、怖くはないよ?今は愛され女だからね!愛は勝つっっ!
怒りを鎮めようと、蒸し菓子を口に放り込んでいるとフリデミングが私にべったりとくっつきながら褒めてくれた。うん…褒めてくれている?のだろう…歪んでるけど。
「うんうん、ハラシュリアは世界一可愛い」
「……」
「ハラシュリアは体が痺れるほど美しい」
「……あのね、流石にフリデミングの目が腐ってるんじゃないかと疑っちゃうわよ?あなた拗らせすぎて視野がこーーーんなに狭くなってるのよ。ほら見なさいよ。本当の美の結晶はあちらにいらっしゃるわよ?」
私は我が家の至宝、ジュリアーナお姉様とこの国の至宝、サイフェリング陛下を指し示した。
フリデミングはサイフェリング陛下達をチラリと見てから私に視線を戻してきた。
「それでも俺にはハラシュリアが世界一綺麗だ」
はあぁぁ…こいつ本当に重症だわ。でも……
「……ぁりがとぅ」
俯いてお礼を言った私の唇に、フリデミングがブチューと口付けをしてきた。口の中に蒸し菓子入ってますから~口から飛び出しちゃうよ!
「でもさ、時間が無くて無理をしたのは事実なんだ、もう帰らないと」
フリデミングはもう一度私に口付けをしてから、そう言って苦笑いをした。
「えぇ~そうなの?残念ね…でも少し会えただけでも良かったわ」
フリデミングを見送ろうと、一緒に廊下に出ると顔見知りの近衛のラプリーさん達以外に、見たことの無い近衛の団服?の黒髪の……めちゃくちゃ格好いいお兄様がいることに気が付いた。
あの方、誰?あれでもあの容姿…どこかで…。黒髪にしなやかな体躯、覗く瞳は湖面の水のような蒼…?あれれ?嘘…まさか…
「あ、紹介しておくよ。シュリツピーア王国で俺についてくれている近衛所属のルベル=ビジュリア卿だ」
「お初にお目にかかります、ルベル=ビジュリアと申します。ハラシュリア様とも今後お顔を合わせる機会も多くなりますが、何卒宜しくお願い致します」
声すらも格好いい…でもこの爽やかな中にチラリと見える色気のある眼差しは…
「漆黒の獣ぉぉぉぉ!?」
私が叫んだ声を聞いて『攫って騎士様シリーズ』のジェニーの2人が血相を変えて廊下に飛び出して来た。サラジェのジュリアーナお姉様とララヴェラ殿下は共に
「騎士様!?」
と叫んで、キョトンとした顔のルベル=ビジュリア卿の姿を見付けると絶叫した。
「グーテレオンド様ぁぁ!」
私、ジュリアーナお姉様が叫んでいるのを初めて見ましたよ…




