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もうすぐソチラに行き…たくないです!

またも勢いで書いてみました。

空耳殿下の需要があるかどうか分かりませんが宜しくお願い致します。

まったり更新です。

[2020.10.1追記]

フリデミングとハラシュリアの出会いの年を3才→2才に変更しています。ご指摘ありがとうございます


仕事一筋だった。


若い時に亡くなられた第四王子殿下に、死に際恋人騒動に巻き込まれて…その勢いでおひとり様で生きてしまった。


亡くなられた王子殿下に純潔を捧げているのね…と未だに言われたりするが、おひとり様は只の偶然だ。本当の本当に…行き遅れのおばさんなだけだ。自分で言ってて虚しくなるね。


そんなおひとり様を満喫していた私に病魔が襲って来た。次に発作が起きたら危険です、と言われた。前世のクリシュエラ=バンティラードの時も肺の病気だったし…つくづく内臓系の病に侵される運命らしい。


次は無いという事実上の余命宣告を受けた私の心臓は、まだ何とか動いている。仕事も体力に限界を感じて…という都合の良い言い訳をして、早期退職をしてきた。


自分の前世や今世をじっくりと考えられる時間が出来た。現世の子爵の父母も健在なので早く田舎に帰って来いと言ってくれてるのも有難い。


明日、王都を出て田舎に帰る。その前に…ジョフィアード=ナイム=スクリウペクト第四王子殿下の墓参りに来ている。


王族管轄の墓地は流石ね…手入れが行き届いているし、墓守が常駐している。私は一年に一度、命日の日では無い、ごく普通の日に墓参りに訪れている。歴代の王族方の眠る共同墓石の前に立つ。


悲しいわね…亡くなられた時は皆が挙って泣いてくれて死を悼んでくれたのに、あれから30年経って誰にも見向きもされなくなってしまった第四王子殿下。


「ジョフィアード殿下…私もそろそろソチラに行くことになりそうですよ?」


殿下の好きな花なんて分からないから、ライゼウバークが好きだった赤い花を墓前に手向ける。ライゼウバークはこんな花の似合う派手な外見をしてチャラチャラしてたものね。


それにしてもあんなにチャラチャラしていたのに、死に掛けの私を見て号泣するなんて…案外単純な男だったわよね。


今世の直接の面識は無かったけれど、ライゼウバークの生まれ変わりのジョフィアード殿下も結構整った顔立ちをしていた。(参照:死に顔)


やっぱり勿体なかったと思うわよ?折角、美形王子に生まれてきたのに、あんな根暗な手紙をしたためている暇があるなら、令嬢方と遊び回って今世をウェーイに満喫すればよかったのにね?


ホント馬鹿みたいね。


あの呪い?の手紙を死ぬ前にドヤッって書いていた時、ライゼウバークはどんな気持ちだったのかな?その時はまだ死ぬことも分からなかっただろうし…実際、魔獣の毒で倒れた時はどう思ったんだろう


やっと復讐の瞬間が来た!かな?


あの手紙を貰った時は私も若かったし、ジョフィアード殿下は私に恨みを籠めてあの手紙を書いて、私に枕元でざまぁを繰り出して喜んで亡くなった、と勝手に思っていたけれど…今、自分の目の前に死がチラついていることで違う見方が生まれている。


ジョフィアード殿下も死ぬ瞬間は怖かったんじゃないかな…ざまぁしてたって息は苦しいし、体だって毒に蝕まれていて相当、痛かったんじゃないかな?


私だったら手紙書いたりお金あげたり、無駄なことしたって、死ぬ直前に後悔しそうだもん。


「あなたの狙った方向のざまぁは、残念ながら成功しなかったわよ?」


そう…私に第四王子殿下の恋人役を死ぬまでさせて、幸せを奪ったつもりだっただろうけど…結局、私は昔からおひとり様でいるつもりだったし、結婚して子供が出来ていないと不幸だ!…なんて思っていないから、これもざまぁをされた私がざまぁだと思っていないから、成立していないのよね。


女の幸せ=結婚、出産。自分も結婚出来なくて不幸だったのだっお前も結婚出来なくて不幸になれっ!


あの手紙にはこういう感情も籠められていた…と思う。本当につくづく馬鹿だね、ライゼウバークは。人の幸せって結婚しているから子供がいるから、だけじゃ決められないのよ?


前世の私も結婚出来ないのは病弱な体のせいだ、子供の作れない病弱な体で惨めだ…そればかりを考えていて、近衛騎士だったライゼウバークを我儘で振り回していた。


我儘姫だったなぁ…それに比べてライゼウバークは無駄に生命力があったし、ちょーーっとイケてる顔でチャラチャラしているからって、若いメイドや貴族のご令嬢にもモテてモテて女をとっかえひっかえ…あら?何だか腹が立ってきましたよ?


風邪を引いて肺炎を併発して、胸が苦しくて目が霞んで…枕元でそんなチャラチャラしたライゼウバークが号泣しているのも無性に腹が立って…最後の負け惜しみで


「ライゼウバークもやっと面倒から解放されるね」


そう言って笑ったつもりだった。死ぬのが怖くて、でも素直に怖いと言えなくて…最後の意地だった。しかし本当に余計なことを言った。意地を張ってあの言葉を言わなければ、ライゼウバークの馬鹿が空耳をしないで済んだし、生まれ変わってまで斜め上の勘違いを起さないでいただろうし。


「本当に…馬鹿よ」


ライゼウバークもジョフィアード殿下も私も…本当に馬鹿だよね。


私は墓石を一撫でしてから、ゆっくりと墓地の中を移動した。


「良い天気…日傘持って来ればよかったな」


日が体に当り、結構暑い…ゆっくり歩いているのに汗ばんできた…


「ハァハァ…」


何だか息が辛い…やだ、貧血?墓地の入口の墓守のおじ様に会釈をしてから墓地を出て、耐え切れずに墓地の外壁に手を付いた。


呼吸が荒くなる。


「どうされましたか?」


墓守のおじ様が走ってくるのが見えた。こんなところでご迷惑をかける訳にはいかない…と何とか振り返って笑顔を見せた。


「大丈夫です、少し気分が悪いだけで…」


「ルベリナ=クレガレン子爵令嬢…こちらに」


驚いた…私の名前をご存じなのか。それはそうか、歴代王族の眠る墓地に毎年現れる不審な女の身元なんて、調べているに決まっているものね。


墓守に支えられて、墓地の入口の小さな小屋に入った。


「女史がジョフィアード王子殿下と生前思いを交わされた方だと存じております」


出た~!と思ったけれど、最近じゃあまり言われなくなったことでもある。


「大昔にそんな噂もありましたね…」


「噂…ですか?」


「そう…噂」


墓守のおじ様は明らかに残念そうな顔をした。


「王子殿下と秘密の恋人の物語は舞台にもなったし、本にもなりましたよね…本当に違うんですか?」


このおじ様強面顔なのに、案外若いお嬢さんみたいな感覚なのね。


「ご期待に沿えず…ですが」


おじ様は残念そうな顔を見せて頭を掻いた。


「どなたかと勘違いされて噂が流布してしまったようなのです」


そんな話は今だからこそ出来ることだ。当時は国王陛下から息子の為に言わないでやってくれないか?と頼まれたし、まあおひとり様への体の良い言い訳にもなるから、悲劇の恋人というのを満喫させて頂いた。


あら?これも悲劇の恋人役に酔いしれてるってことになるのかな?


そろそろ気分が悪いのも落ち着いてきたので、墓守のおじ様に介抱のお礼を言ってから墓地を出た。え~と、この近くの転移陣は…この王都には至る所に『簡易転移陣』がある。


転移陣にも行き先が色々あるので、使い間違えないように気を付けてさえいれば、非常に便利な移動方法になる。


田舎にはまだ普及していないんだけどね。魔法陣の設置って費用かかるからな~やっぱりグダグダ言ってないでジョフィアード殿下の個人資産をガッポリ頂いていれば良かったかな。


子爵領の公共施設も、もっと充実していたかもしれないわね…


街角の一角に簡易転移陣発着場を見付けて、陣の行く先を確認する。良かった…王都の公所前に行く陣だわ。


乗合場の職員の男性に、料金を渡して行き先を告げて魔法陣の発動を待つ間、陣の横に立てかけている転移陣を使用する際の注意事項の看板を読んでいた。


体調不良の方はご利用をお控え下さい。


あ…私、大丈夫かしら?と思っていたけど「準備出来ましたよー」の声にうっかりと転移陣に乗ってしまったのがいけなかったみたいだ。


私の記憶はそこで終わっている。


次に目覚めたのは見知らぬ部屋の見知らぬベッドの上だった。


ここはどこだ?


喋りかけてくるのは見知らぬ女性と聞いたことの無い言語…目に入る物を一つ一つ記憶と照らし合わせていく。


暫く観察と聴取をした結果…


ここは私の国では無くてどうやら私はまた、生まれ変わりを体験しているようだ、ということだった。


あの転移陣を使った時に心臓発作を起こしてしまったみたいだぁ。公共の発着場で、何てはた迷惑な…内務省の施設担当官の禿げオヤジ…迷惑かけたね。心労で禿げが進んでいないことを祈るよ。


しかも転生したのは良いんだけど~赤ん坊の私に前世の記憶がガッチリバッチリ残っているみたいだ。


はぁ…まあ記憶持ちなのはいいか。世間の荒波を乗り越えていくには、大人の知識は有用であるしね。


しかしだね?ちょっと気にかかることがあるのよね。私、ライゼウバークとかジョフィアード殿下とか、これっぽっちも恨んでいないんだけど?寧ろ、逢いたくないんだけど?でもこれって例の…かどうかは分からないが、あの生まれ変わりの現象じゃないかと怪しんでいるのだけどどうなんだろう?


恨んでないのに転生するの?いえ、勿論転生の原理が分からないから確認のしようがないけれど…


それにいやだ…もしかしてジョフィアード殿下も転生していたら、どこからか殿下が私を見ているのかしら?正直キモい…


そう言えば前世でもっとよく調べておいたら良かったわ。ジョフィアード殿下が生まれ変わっている私をどうやって発見したのか、とか。殿下が個人の特定魔法でも開発していたのかしら、失敗したなぁ。


赤ん坊ながら、周りを気にしてピリピリしている間にも時間は経つもので…私は御年2才になっていた。


そして私の今世の生家である、コーヒルラント公爵家のお母様に連れられてお母様の大親友という王女殿下に会いに行った時に、王女殿下の腕に抱かれていた同い年くらいの赤ん坊を見て気が付いた。


あいつ!?ライゼウバークじゃねぇか!


魔法なんて必要なかった、女の第六感で充分だった。


赤ん坊…は一応王族らしい。そりゃそうか、母親は王女殿下だもんね。私とライゼウバーク…の成れの果ての赤ん坊はお互いに子供らしからぬ、凝視をして見詰め合っていた。


間違いない…あいつも前世の記憶持ちだ。


「フリデミング~ハラシュリアと仲良く遊んでね」


ハラシュリアとは今の私の名前だ。ライゼウバークことジョフィアード殿下は今、フリデミング殿下という名前らしかった。


あ、因みにフリデミングの母親の王女殿下は一人っ子なので、王配を迎えていらしてこの成れの果ての小僧は、まーーーた第四王子殿下らしい。


ぷぷぷ、また第四王子殿下だって!これは呪われてるね⁉ぷぷぷ…


私とフリデミング殿下は柵つきの赤ちゃん用のベッドに一緒に入れられた。


私は、画用紙と色鉛筆を手に取ると、文字を書き殴った。多分コレが分かればこの赤ん坊が、彼らの生まれ変わりだと確定されるはずだ。


私は書き殴った文字をフリデミング殿下に見える様に広げた。


『私は記憶を所持しています。あなたはライゼウバークとジョフィアード殿下で間違いないですね?』


記憶にある前世の王女殿下の国の言葉は前過ぎて、文法を間違えそうだったのでスクリウペクト王国の言語のスクリウ語で書いてみた。


フリデミング殿下は目を見開いて私の見せた画用紙を暫く凝視した後


『ああまちがいない』


と、舌足らずの声だがしっかりとしたスクリウ語で返してくれた。


ああ、ヤダなぁ~逢いたくないのに逢っちゃったじゃないのぉ。


空耳殿下のくせに、前世を跨いで身体的にも魔力的にもスペックの高い方なんです……一応。本気を出せば凄いのに恨み言は便箋にしたためてしまう、ヘタレですが暫くお付き合い下さい。

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[良い点] 空耳からの誤解がとけて前世のやらかしを謝罪した上で新しい関係を構築していけている所。 [気になる点] 異世界だからかもしれませんが、生まれ変わった主人公たちの再会時の年齢設定が現実の幼児の…
[良い点] また第四王子ってとこに爆笑。ww [一言] 前回、空耳殿下にざまぁは不発でしたと知って欲しかったので、続編があり嬉しいです!ww
[一言] 短編もですが、連載版もすでに期待度高し です!そして初っぱなから笑いが。 ギャグですよねー!空耳殿下の勘違いは 是正されるのか、主人公がゲンナリ したまま成長するのか、楽しみです!
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