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146.囚われの姫

「!!…マオ!?」

タクラの驚きの声が上がる。ポーカーフェイスのタクラのこんな顔レアだわ、驚くタクラの顔を見つめどうでもいいことをぼんやり考えた。

こんなところに、というか、ここが何処なのかわからないが、助けに来てくれたのがタクラでホッとした。ということは、ここは山神の使いの村に近いのだろうか?ナルテシアと関係があるのだろうか?

「…お前、なんでここにいるんだ?」

イザの戸惑う声に、なんででしょう?と返した。

真緒自身、何が起こっているのかわからない。説明のしょうがない。

「いなくなったと思ったら、こんな所に隠れてたのか!ふざけるのもいい加減にしろよ」

いや、ふざけてないから!

反論しようとして、イザの背後に駆け寄った女性に視線が移った。

「━━━ふざけてるのは、エイドルでしょう?」

駆け寄った女性が顔をあげれば、エイドルの女装姿。私は女装の理由が知りたい、

そう言うと、エイドルか本気で叫んだ。

「お前、バカか!」

エイドルはマオめがけて突っかかってきたが、案の定、透明な檻に弾かれ飛ばされていた。

「何すんだよ!」

私に言われても困る。私の意思じゃない。私も外に出れないのだ。

「私だってわかんないの!出れないんだもん!」


ライルを助けたい一心で渡りの樹へいったこと。

そこからの出来事を、真緒は丁寧に話した。

時折タクラが質問するくらいで、イザとエイドルは黙って話の最後まで付き合ってくれた。

「━━━で、透明な檻に囚われてるってこと?」

檻、というよりシェルターみたいなもんだよね。

真緒は頷いて、出る方法がないのかタクラに尋ねた。

タクラは終始難しい顔をしていた。

「ナルテシア様の意思なのだと思うが…。私も石版に囚われている者をみたこたがない。だから、どうしてこの状況なのか、どうすれば出られるのかわからない」

長に使いを出すから待っていてくれ、とりあえず身は守られるだろう。タクラがそっと透明な壁に触れば、あの空間と同じ虹色の光が、手を中心に波状を描いた。

「やはり悪意あるものにだけ反応するようだな」

タクラの言葉を聞いて、真緒がエイドルをみるとバツの悪そうな顔をしていた。

女装でその顔って…、思わず笑ってしまう真緒をイザが窘めた。

「エイドルも好きでこの姿なんじゃない。お前の身代わり役だったんだよ」

本物がいるなら、もう必要ないけどな。似合ってたのに残念。余計なひと言を付け加えてイザが女装の真相を教えてくれた。

いや、遠目で見たエイドルは美人だった。ルーシェの弟だもんね、綺麗で当たり前か。女装に負けるのは女としては大変残念な事だ。真緒の気持ちが少しやさぐれたのは内緒だ。

「この石版は一体何なんだ?」

イザも透明の壁に触れ、パントマイムをしながら疑問を口にした。

「山神の使いはなぜこんなにも険しい山岳地帯の国境線を護れると思う?━━━ この石版に秘密があるんだ」

そういうと、短い詠唱と共に両手を石版についた。

眩い光の柱が何本も天をめざして伸びてゆく。それは向かいの山やはるか遠くの峰からも立ち上っていた。

「これは始祖が国を護るために敷いた防御壁だ。石版がいくつか国境に置かれていてそれらが中継してシールドを敷いているんだ。石版はその基点の役目を果たしている」

タクラが手を離すとその光の柱は薄れて消えた。

イヴァンが国境を越えたことでシールドが破られ、更に真緒を襲ったことで、地震のような事象を起こしたのだろう、タクラは説明しながらシールドをノックした。空気が震えるような地面の振動が伝わり、イザは納得できた。

「このままでは済まないだろう。山神の使いが相手とわかった以上、向こう(イヴァン)も何かしら講じてくるだろう」

「そうだな、村ではなくここが戦いの場になりそうだ。場所が変わっても問題ない。逆に国境を越えてくるんだ。それなりの報いは受けて当然だろう」

()る正当な理由が増えただけだ。タクラは何も問題は無い、そういって口の端を歪めた。









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