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無敵のフルフェイス  作者: みけな
第二章 無敵のコンビ〜始動編〜
77/150

77話 体裁と建前。

風邪は治ったはずだが、喉が調子がよくはない( ^ω^ )ん〃!

うがいしよう。


ブックマーク、感想、評価、誤字報告、読んでくれた皆様!

いつもありがとうございます(*'ω'*)


 始めは勘違いからの戦闘だったけど、なんとか終わりが見えてきた。


「くっそ。全員撤退だ!これ以上は何も得られない。」

「このままでは人族に舐められますよ!」

「これ以上は我々も逃げられなくなる。ここで全滅する訳にはいかないのだ……」


 潔い判断である。一見優勢に見えるが、僕らが戦った地帯から綻び始めている。


「黒騎士様……あ、こっちじゃない。どこいった?」

「あそこにいますよ。」

「そうか。すまない。」

「いえいえ。」


 よく見れば全然違うのに、なんでこうも……あ、マントは仕舞おう。後皆んなに声を掛けて、戻って来るように伝えた。


「あら?似合っていたのに、しまっちゃうの?」

「お帰りレブル。ここだと勘違いされるから。」

「黒……違うな。」

「あっちにいます。ね?」

「すまない。」

「どこをどう間違えるか私には分からないけど。」


 また1人間違えかけているけど、この後声を掛けられることはなくなった。


「師匠!戻りました!」

「お帰りセロー。それじゃ、皆んな揃ったし帰ろうか。」

「え?いいの?魔族はまだ居るわよ?」

「さっき魔族側が撤退するって言っていたし。深追いするような指示はヴァイツァーも出さないでしょう。」

「そうなの。ならいいかしら。でも一応声は掛けていきたいわね。」


 そうエストが言うから、僕らはヴァイツァーの所まで歩いて行く。


 ♦︎


 近づいて行くと、何か兵士の間で言い合いをしている。


「どうかしましたか?」

「シノブか。いやな、追撃するべきと言うやつがいてな。」

「この機を逃せば、また戦争は激化しますよ!叩ける内に叩く方が良いかと。」

「だから、それは……」


 まぁそう考えるのも分からなくはない。だけどこの人は根本的な事を間違っている。


「僕が少し話しても?」

「いや、そこは俺がしっかりしないといけないから。気にさせて悪かったな。シノブ達は帰ってくれて構わん。」

「そう?じゃ、先に失礼するよ。」

「ちょっと!?貴方達が帰ったら、この後の追撃を誰が!」

「……ゴホン。全軍撤退だ!怪我人を回収し、救える命は救え!魔族への深追いは許さん!仲間あっての部隊と言う事を忘れるな!」

「「「は!」」」

「「「……は!」」」


 納得する人と、少し疑問に思う兵士もいるようだ。僕らが街へと歩いて行くと、他の兵士も負傷した兵士を連れて歩き出す。

 先頭きって歩き始めるが、一応魔族達の動向は見る。不意打ち等はしてこないと思うけど……。


 後ろを振り返ると魔族が引き返し、殿(しんがり)をヴァイツァーがしている。相手も不意打ちをしてくるような事はなかった。


 ♦︎


 王都に入るところで、暫くして戻ってきたヴァイツァーが僕らを見つけて向かってくる。


「すまない。お陰で負傷者も少なく抑えられた。」

「そうね。シノブさんにもっと感謝して欲しいわ。」

「ですです。逃げなければもっと楽でした。」

「貴女達、結構言うわね……。」

「いや、いいんだ。返す言葉もない。」


 レブルとセローがヴァイツァーを責める。話を聞けば逃げたって事だけど、何か理由はあるんだろう。結果としては、ちゃんと戦場に出て戦ったんだし。僕としてはこれ以上言う事はない。


「シノブさんも言っていいのよ?」

「僕は別に。今回はレブル達が表立って戦えたし。良い経験になったよ。」

「師匠は優しいです。」

「実際はシノブさんの始めの魔法で、相手の魔族はほぼ半壊していたけど。」

「そんな事ないでしょう。」

「いや、実際シノブの大規模魔法がなければ、今の王都の部隊では厳しいとしか言えない。」


 今までこの戦況を抑えてきたヴァイツァーがいれば、いくらでもやり方はあると思う。今日みたいな戦術なんて、意表を突いたに過ぎない。


「だけど一つだけ気になる事があるの。」

「どうしたのエスト?」

「魔族が攻めて来る。こんな事態にしては兵力が少ないのよ。」

「確かに今回は特に少ないな。だから俺も少しサボった訳で……」

「それはどうかと思うけど。今回はたまたまシノブさんがいたから、最悪な事態にはなってないけど。」

「最悪な事態って?」

「言いづらいけど、部隊の全滅……よ。」

「……。」


 まぁそれも考えられるか。


「でもそんな危機じゃなかったとか?」

「危機は危機だ。もしも俺達の部隊がいなくなっても魔族は王都まで攻めてこない。って自信があったんじゃないかって思う。」

「なんで攻めて来ないの?特殊な結界でもしているとか?でも僕が見るに、うっすいのしかないよね?」

「うっすいって……これでも国家魔導師が防衛をしているんだが。」

「そうなんだ。」


 僕らが王都に入る際に感じた結界は、僕だけじゃなくレブルやセローだって壊せる気がする。


「一応聞くけど。私とセローなら出来そうとか思ってる?」

「え。よく分かったねレブル。」

「私はそもそも結界がどうとか気づかなかったわよ。多分セローは感じていたかもしれないけど。」

「私も何となくです。壊せるかどうかはやってみないと。」

「頼むから試したりしないでくれよ?特にシノブ。」

「エストの実家だし、そんな喧嘩を売るような事しないって。」

「そうだよな。悪い、一応言っておこうか…………と?」


 ヴァイツァーの言葉が途切れる。何か変な事言ったっけ?


「エストさんの実家がここにあるのか。」

「実家と言っても、滅多に行かないわよ。」

「王都に実家があるって、貴族でもない限りないはずなんだが。」

「貴族って言われ方は好きじゃないけど。あるからには貴族になるのかしら?」

「そうなのかな。貴族って言うより、王族って方があってる気がするけど。僕はそこら辺よくわからないや。」

「…………王族?」


 話している途中からヴァイツァーが変である。


「ちょっと待ってくれ!すると何か?俺は王族に戦わせた事になるのか?シノブも、もしかして?」

「王族ならエストだけだよ。あれ気づかなかった?兵士長なら知っているもんかと……」

「私もてっきり。言わなくて良かったやつ?ごめんなさい忘れてちょうだい。」

「いやいや!そんな訳にはいきませんって!エストさん……エストさん……」


 記憶を探すヴァイツァーが頭を捻る。


「エストって本当に王族?」

「別に私はどっちでもいいわ。変にペコペコされるからような訳でもないし。あくまでも偉いのはお父様だし。」

「あ!エストレア姫様?」

「姫様なんて柄じゃないわよ。」

「失礼しました!お前らも首を切られたくなければ頭を下げろ!」


 地面に頭が着くくらい下げるヴァイツァー。それを見た近くにいた兵士達が同じ行動をする。


「別にそんなのいらないって。知名度の低さは私がよく知っているもの。」


 そう言ってても、口元が少し膨れているエスト。その両肩にレブルとセローが手を置く。


「「どんまい!」」

「レブルとセローはもう少し優しくしてもいいのよ?」

「エストはエスト。今更どうにも変わらないわ。」

「ですね。始めの派手派手な服でいれば気づいてもらえたかもです。」

「ごめんなさい。あの頃の私は忘れて!」


 それほど時間は経ってないけど、過去が恥ずかしくなる時期ってあるよね。僕も頭に手を乗せて言っておこうか。


「どんまい。」

「シノブさんのそれは悪意を感じるんだけど。」

「ここはやっておかないとかなって。空気読んでみた。」

「そんな空気は読まなくていいわ。」

「まぁ結果的に怪我もないからいいんじゃない?」

「それをシノブさんが言うのね。もういいんだけど。」


 僕らが手を乗せているのを見て、兵士もそうだけどヴァイツァーも驚いている。

 そしてこんな状況が人を呼び寄せる。囲まれる前に帰りたいんだけど……まぁエストなら囲まれたりしないか。そんな事を考えていると。


「おーい。やっぱりこの人集りのところ、シノブありだな。宿が取れたから行こうって、なんで全員跪いているんだ?」

「シノブさん……何やったっすか?」

「僕は何もやってないって。」

「大方の予想はつく。エストは姫だからな、王都に来ればこう言う事もあるだろう。」


 アマンとラストラの2人は、どうせ僕だろうと目が合う。違うと否定して説明をする前に、ゾンが汲んでくれた。


「その姫と言っておいて、頭に手を乗せるのは何なのかしら?」

「あーついな。いやか?」


 エストがそう言っても手を退けず、優しく撫でるゾン。


「ゾンはずるいわ。」

「はは。よく無事に戻ったおつかれ。」

「ええ。」

「「「………………。」」」


 何とも言えないこの空気。僕達と全然反応が違うけど、もう突っ込むことすらしない。逆にゾンの対応はとてもスマートでカッコいい。


「ん。仲間と合流も出来て、宿も決まったみたいだから行こうか。」

「っは!?全員敬礼!」


 ―ッバ!


 そう言うと全員立ち上がり、敬礼で送り出してくれる。こんな街中でそんな事すれば目立ってしょうがない。近くの宿に入るところで、静まり返った街が一気にざわざわ話し声が聞こえる。


 王都に来てお酒を奢ってくれたヴァイツァーも、これからはあんな畏まった関係になるのか。兄弟って少し憧れていたのに残念だ。




 その後もう一度穴場の食堂に行くと、そこには全身黒い鎧を着た兵士がいた。

ヴァイツァー「おう、シノブ!」

忍「ヴァイツァー?」

ヴァイツァー「今日はありがとな。今日は俺が奢るから、好きに食ってくれ。」


レブル「デザートとりあえず全部持ってきてちょうだい。」

セロー「私もそれで!」

エスト「そんな食べたら……これとこれください。」


忍「皆んな容赦ないね。」

ヴァイツァー「ははは。足りなきゃツケといてもらうさ。ほら、シノブも何か食べろよ。」

忍「ああ。ありがとう。僕の思っていた不安は憂鬱だったみたいだな……」


ヴァイツァー「何か言ったか?」

忍「何でもないよ、兄弟。」

ヴァイツァー「はは。さぁ飲め兄弟!」


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