63話 同志との出会い。
早いもので9月も終わりますね。次の投稿は10月3日予定です。
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無事地面へ降り立つ僕たち。
「やっと地上に……。」
「生きてます。」
「私は楽しかったです。」
「まぁ刺激的ではあったわね。」
「本当です。こんな事ってあるのですね。」
ジャイアントワームを一応回収して……ん?
「誰!?」
「うわ!びっくりしました。こんにちは。」
「あ、こんにちは。」
当たり前の様に横に居て、普通に会話に参加してたから気づかなかった。とりあえず挨拶されたので、挨拶で返す。
「気がつけばあちこち痛くて、暗い道を歩いていたのですが。気がついたら外に出られていました。」
「へー貴方も地下にいたんですか。コレクト。」
「地下ですか?それであんなに暗かったんですね。あれ?今ここにブヨブヨしたものが……?」
あ、知らない人の前でコレクト使っちゃった。まぁいいか。
「巨大な魔物でしたし、倒されたら消えるのかもしれません。」
「そうなんですか。不思議ですね。」
「ええ。この世界は不思議な事ばかりです。」
「確かに。目が覚めたら暗い地下に居て、揺れたと思ったら天井が吹き飛んで、空に居たと思えば地面まで下がったり。」
「ははは。」
本当に不思議な事だらけだな〜誰がそんな事したんだろうね〜なんて話を逸らす。ところで、この人はどうして地下に居たんだ?僕らと同じく探索でもしていたのだろうか。
「貴方はなんで地下に居たんですか?」
「私ですか?ん〜気がついたら居たので。よく覚えていません。」
「森の麓に大きな穴があって、そこから入ったのでは?」
「森の麓の大きな穴ですか?そう言われるとそうだった気がしてきます。」
この違和感はなんだろう。この人と初めて会った気がしない。顔は少し険しいけど、言葉遣いも柔らかく何より魔力もかなり多い。レブルやセロー程ではないけど、エストやラストラよりは戦闘向き。
「1つ疑問なんだけど。僕とどこかで会ってます?」
「ん?そうですね…………なんか私も会ったような気がします。しかし、記憶が曖昧で思い出せません。」
「そうか。」
『忍様。1つよろしいでしょうか?』
「ん?どうしたのアイさん。」
「アイさん?」
「あ、ごめん。ちょっと別の所に居る人に話しかけられて。」
言葉を遮って声をかけてくる事が珍しく、つい反応してしまった。仲間は慣れているからか、そのまま流してくれるけど。目の前に居る人は僕の事を何も知らない。知らないはず……多分。
『言葉を遮って申し訳ありません。ですが、目の前の男について話しておきたく。』
「え?アイさんこの人知っているの?」
『知っているとなると少し違う気もしますが。忍様が見た事があると言いますか。』
え?見た事ある?でも知らない人?
『目の前の男は洞窟で会った魔族です。魔力の性質が多少変わっていますが、恐らく記憶を失くして人が違うからでしょう。』
「へーあの洞窟に居た魔族なんだ。それで記憶を失くして……え?」
「「「「え?」」」」
「おや?」
皆んなが一斉に目の前の男に目がいく。暗闇で顔までよく見えなかったから本人かどうか分からない。
「てか、貴方は魔族なんですか?」
「魔族?それは何でしょう?」
「何でしょうって……何?」
見た目は普通の男の人。魔力は多く持っているようだけど。
「言われてみれば何だろう。角が生えて……ないわね。」
「むむむ……普通に男の人に見えます。」
エストとセローがジーっと見つめる。
「そんな女性にまじまじ見られると恥ずかしいですね。」
「照れてる……シノブさんより見た目は人に見えますね。」
「ふはっ。むぐ。」
「ラストラも中々言うね。それとレブルそんな必至に隠さなくても。」
「ごめんなさい。笑うつもりはないから。」
「僕、別に悪いとは言ってないですよ。良い意味で人間ぽいって事で。」
フォローになっていない。まぁ僕もこの格好と比べたらって事で……違う服を用意しようかな。
「よく分かりませんが。記憶が失くなっても私は私です。」
うんうんっと1人で頷く謎の魔族?
「あおうそう、記憶ないって本当に?」
「そうですね。目が覚めて、ここにいる前の記憶は思い出せそう気もないです。」
「自分の名前とかも?」
「名前ですか?名前……うーん。」
指を眉間に押し付けて思い出そうとするポーズをとる。
「分かりませんね。まぁいいでしょう。そのうち思い出しますよ。はっはっは。」
妙に前向きと言うか、楽観的と言うか。
「それで貴方はこれからどうするんですか?家に帰る?」
「家ですか……どこ気あるんでしょうか。」
「魔族なら魔界かしら?」
「魔界ですか。それはどこにあるんでしょうか?」
「魔界ってどっち?そもそもあるの?」
『魔界と呼ばれる土地ならあります。人族の大陸の北側全土がそうです。』
魔界あるんだ。しかも王都の北の全土って。
「魔界って人族の北側全土って本当に?」
「そうよ。シノブさん知らなかったの?」
「知らない。これ常識なの?」
「割と有名だと思うけど。違うのかしら?」
レブルがそう答えてくれると、皆んなも同じ感じだった。
「それじゃ、ここから北に真っ直ぐ行けば魔界に行けるの?」
「それは出来ないわ。」
「どうして?」
「人族と魔族の領土の真ん中に大きな山脈があるのは……知らないのね。」
「うん。」
皆んなが驚く。え?そんなに驚く事?
「えっと、とにかく雲より標高が高く、生物は消して登る事が許されないのよ。」
「許されないって、登ったら死ぬの?」
「そうね。その山の頂上にはそれぞれ守護神と呼ばれる龍がいるそうよ。」
「龍!」
なんと!ファンタジーで言う王道の龍がそこに行けば見られるのか!
「そう。だから山は登れないのよ。」
「なんで?最悪龍に会っても問題なく無い?邪魔されたら倒せばいいんでしょう?」
「あるわよ!」
エストが身を乗り出してくる。びっくりしたー
「龍は神聖な生き物とされていて、神の使いとも言われているの。」
「神の使いねぇ……。」
神の使いって事は、もしかしたら神様に合わせてくれるのかな?それなら一度行ってみたい気もするな。
「いい?絶対言っちゃダメだからね!下手に刺激して地上を消される。なんて書籍もあるのよ。」
「僕もその本は読んだ事ある。今の大陸はもともとが平坦だった。神々の怒りにより、地表を今の形に変えたと言われてるっす。」
「私も聞いた事ある〜パパが読んでくれた絵本でもそんなのあった。」
書籍に絵本か。子供に読み聞かせるものにまであるって、どんだけ恐れられてるんだろう。龍って聞いたら修行して挑むものじゃん。何か意図的に……
「ほう。まるで意図的に行かせないようにしている節がありますね。」
「奇遇ですね。僕もそう思ってました。」
「貴方もですか?龍と聞けば挑むもの。武を極めた者の終着点だと思うのですが。」
「ですよね!自分を鍛え上げて、更なる高みを目指すのに必須ですよね。」
―ガシ!
よく分からないけど、通じ合ったところで熱い握手を交わす。
「貴方とは話が合いそうだ。」
「はは。記憶はありませんが、男として思うところは一緒ですね。」
「「はっはっはっは。」」
ジト目で見る女子達。やっぱり男の子はこうでなければ。あとでアマンとゾンにも聞いてみよう。
♦︎
僕らは領主さんの家に戻ってきた。そして事の経緯を話す。
「バカか?そんな恨みをわざわざ買いに行って、地上滅ばされてたまるか。」
「えー大丈夫じゃない?」
っと早速アマンに聞いてみたら怒られた。
「シノブ単独なら万が一があり得るけど。倒した事で戦争とか、俺も遠慮したい。」
「ほら見なさい。」
「そんな、やられる前にやるよ?」
「倒す事が前提みたいに言っているが、本気でやめてくれよ。」
「そんなに?せっかくそこに龍がいるのに。」
「残念ですね。」
同志と共に落ち込む。仲間に止められたら、後でこっそり行きづらい。
「てか、隣の男は何だ?」
「ん?僕の同志。」
「よろしくお願いします。」
「お、おう。俺はアマンだ。」
「俺はゾン。シノブの同志って響だけ聞くと恐ろしいな。」
アマンとゾンが交渉をしている間の事を説明し、記憶がないからとりあえず僕と一緒に行動しようと誘った人と説明した。アイさんが言うに本当は魔族なんでけど、今は町長のフージさんも居る。後で2人にはこっそり説明して起こう。
「魔族がそんなところに……念の為ですが調査範囲を広げますか。」
「まぁ穴を掘っていた魔物は倒しましたし。穴自体は崩れて無くなってますから、問題は特にないと思いますが。」
「シノブ様が言うのであれば問題はないと思いますが、一応領主なので調査は依頼しないと。もしかしたらまた凄い事になってそうですが……。」
「「「「…………。」」」」
「その無言がなお心配になります。」
「何もないと思うけど。少しだけ窪んでる以外は。」
そして話し合いの後、一緒に見た現場の光景を見て膝をつく領主さん。
ごめんなさい。ちゃんと更地にするから、またかみたいな顔はやめて下さい。
フージ「何がどうなってこうなるんですか。」
忍「穴が全体的に崩落。その後魔法でせり上げて、土を砂に変えただけですよ?」
フージ「だけって……山の前にこんな砂漠があってたまりませんよ。」
忍「直すからそんな落ち込まないで下さい。」
フージ「直すってこんな広大な土地をどうやって?」
忍「アイさんも手伝って。土はそうだな……今踏んでいるここと同じにしようか。」
アイさん『畏まりました。』
忍・アイさん「『アースオペレーション。』」
フージ「……もうなんでもありですね。」
忍「僕にだって出来ない事はありますよ?」
フージ「はは。今はですよね?その内に何でも出来てしまいそうです。」
忍「まぁそうなるよう努力はしますよ。」
フージ「程々にお願いしますね。」




