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無敵のフルフェイス  作者: みけな
第一章 無敵のコンビ〜仲間編〜
6/150

6話 これが普通な事だよね?

本編より先にあとがきを考えつく。あとがきに引っ張られてると感じるこの頃。


PV増えるとやる気が上がりますよね。読んでくれた方々、ありがとうございます(*'ω'*)

 シノブが言うには町まで1時間かかるらしい。


「さて、1時間あるなら……飯の準備でもしてるか。」

「この人数分作るって結構大変だからな〜。」


 俺達は休憩も兼ねて、食事の準備をする事にする。


「え?俺らの分も作るのか?」

「そりゃー作るだろう。」

「そうそう。俺らだけ目の前でご飯とか食べづらいしな。」

「さっきの彼もそうだが、貴方達も良い人ですね。」

「よせよせ。出るのは飯ぐらいだぞ。ただし準備は手伝ってもらう。」

「それくらいおやすいご用だ!」


 盗賊達も手伝う。魔物は捌いてあったやつを馬車から出す。


「これはボアの素材か。下処理も実に綺麗だ。」

「そうか?こんなの慣れだろう。」

「我々も長年やってきているが、ここまで上手くできる人間は一握りだよ。」

「そうかい。」


 褒められてまんざらでもない俺は、出会った頃と態度が全然違う盗賊達に驚きつつ作業する。


「こいつはどうする?鍋で煮込むか?焼くなら竃を用意するが?」

「鍋はこの前やったからな。焼いてみるか。」

「分かった。お前ら!竃の用意だ。適当な石を拾ってきてくれ。」

「「「了解しました頭。」」」


 統率の取れた盗賊達はそれぞれに動き始める。


「ずいぶん慣れた感じだな。河原が無いから石を集めるのみ大変だろうに。」

「ここは岩場もあるし、なんでも揃うよ。」

「盗賊って言っても、長年この辺を縄張りにしてるだけあって詳しいもんだな。」

「はは。生活の知恵や料理の腕ばかり上がって、戦闘に関してはからっきしだがな。」


 もはや盗賊であったことすら怪しいな。普通に農民でもしていた方が良かったのでは無いか?


 ♦︎


 料理もある程度準備ができた頃。


「ただいま。」

「何か忘れ物か?」

「特にないよ。あ、これお土産。」


 ―ズドーン。


 シノブが出したのは大きな猪。途中で見つけて、昼用にでも持ってきたんだろう。


「ご飯に準備?お疲れ様。」

「おう。」

「「……。」」

「ん?」

「ん?」


 近くで見ていた僕を見て首をかしげる。


「あ。何か手伝う?」

「それはほぼ準備できているから大丈夫だ。」

「そっか。」

「お。シノブ何か忘れ物か?」

「いや。今帰って来たところ。」

「そっか……あれ?町は?」

「もう行ってきたよ。いつでも行けるよ。」

「「え?」」

「え?」


 アマンさんもゾンさんもどうしたんだろう?


「まだ1時間どころか30分くらいしか経ってないぞ?」

「そうなの?それじゃ以外に近かったんだね。」

「そうか……シノブだもんな。」

「そうだな。シノブだし。ご飯用意しちゃうな。」

「ありがとう。」


 そして普通に納得する2人に盗賊の人達が驚く。


「「「いやいやいや。そんな早く行ける距離じゃ無いから!」」」

「いや、でも行って来た訳だし。」

「2人の反応が普通なのか?今の魔導師は凄いんだな……。」

「あ、シノブだからだぞ?他の魔導師がこうじゃ無い。」


 納得する盗賊の方々。その納得もどうかと思うけど。


 ♦︎


 サクッと昼食を取った僕らは、町の門の前に現れる。


「ん?君達いつからそこに?」

「今ですよ?」

「ん?突然現れたように見えたんだが?」

「そうで……むぐ。」

「気のせいだ。門番も大変な仕事だしな。」

「そうそう。きっと疲れてるんですよ。」

「そうか?連勤続きだしな。今日は帰ったらすぐ寝るとしよう。」

「「そうしましょう!」」


 驚く門番に2人が慌てて言い訳をする。そして、馬車に呼ばれる僕。


「いいか。シノブ。緊急っと言えば緊急だが。町から少し離れた所に出るとか出来るよな?」

「出来るね。でも目の前の方が楽じゃ無い?」

「そうなんだが、そうじゃない。転移なんておいそれと人に見せるもんじゃないんだぞ?」

「そうなの?魔導師なら誰でも出来るんじゃ?」


 頭を抱えるアマンさん。


「そっか。突然こんなに大勢のいたら驚くよね。次は気をつけるよ。」

「いや、そうなんだが……。」

「アマン諦めろ。シノブ次は使う時は俺らに相談してくれ。」

「はい。分かりました。」

「結局それが一番か……。」


 多少の問題があった?けど特に問題なく町の中には入る事が出来た。その足でまっすぐギルドへ行く。


「すいません。」

「はい。どうかしまし……。」

「あー話がややこしくなるから。俺らが交渉する。シノブは待っててくれ。」

「はーい。」

「……は。失礼しました。こちらは【ネクタース】ギルドです。どの様なご用件でしょうか?」


 アマンさんが受付の人と話している。僕は暇になりギルドの中を見回す。


「あんまキョロキョロすると、田舎もんだと舐められるぞ?」

「そうですか?僕自身は田舎者ですけど。」

「そうだが、虚勢も大切だぞ?シノブはただでさえ目立つから。」

「誰も僕の事なんか見ませんよ。」


 周りに居た人達を見ると、全力で視線を外される。おや?見られていたかな?


(なんかヤベーの来た!!)


「君が盗賊を捕らえた冒険者かな?ギルドマスターアナだ。」

「こんにちは。僕は忍です。あ、冒険者はまだ登録してないから、ただの旅人ですよ。」

「そうか。盗賊を捕らえる実力があるのだ。冒険者にはならないのかね?」

「町に行ったらギルドには行こうと思ってました。」

「そうか。なら後で手配しよう。所で盗賊って言うのは何処にいるんだ?」

「外にいますよ。」


 そしてギルドの外に出る。


「ん?何処にも捕らえた者は居ないみたいだが?」

「ここにいる人達皆んなそうですよ。」

「ん?誰一人縛ったりしていないんだが?」

「皆んな着いてきてくれたんで、別に縛ってませんよ?」

「ん?での盗賊なのだよな?」

「そうですけど?」


 ギルマスのアナさんが首を傾げる。僕もつられて首を傾げる。


「ギルマスさん。本当にこいつらが盗賊です。」

「そうなのか?」

「「「はい。俺らは盗賊です。」」」

「そ、そうか。」


 皆んなで盗賊と名乗る事が不思議なのか、少し困惑した感じのアナさん。


「俺らはシノブさんに恩義がある。」

「だからしっかりと罪を償って、いつか旦那の助けになりたいんです!」

「そ、そうか……ここまで素直な盗賊は初めてだな。捕らえていいのか?良いんだよな……。」

「「ギルマスさんの気持ちは俺らには分かる。」」


 アマンさんとゾンさんがアナさんの肩を叩く。


「では旦那!しばしの別れです。」

「「「ありがとうございました!」」」

「うん。皆んな元気で。」

「「「はい!」」」

「本当にお前ら盗賊か?」


 最後まで不思議な感じなアナさんだったが、ギルドの職員さん達が連れて行った。


「……で、君はギルドに加入するで良いんだよな?」

「はい。」

「盗賊捕まえたとあれば、実力は十分だと思うのだが。こちらも規定で誰かと戦わなければいけない。何、勝つ必要はない。戦えるか見るだけだ。」

「はい。」

「誰に試験官をやって貰うか……。」

「俺が見ても良いですか?本当に盗賊を捕らえたかいまいち疑問なんで。」


 盗賊を捕まえてきた事を信じられない、ギルド役員が手をあげる。


「そっちの魔導師のお兄さん。下に闘技スペースがあるから俺とやろう。後ろの2人もかい?」

「俺らは商人だ。でも一応同伴しても良いか?」

「ああ、構わない。」


 ♦︎


 部屋を移動して広い部屋に出る。


「君は魔導師だろう?」

「一応そうなのかな?2人にはそう言われてたけど。」

「よく分からんが、魔法が得意なんだよな?」

「まぁ使えますけど。」

「ここは多重結界を施してあるから、どんな魔法も大丈夫だ。でかい一撃でも見せてくれていいぞ。」

「ギルマス。またサボってまた怒られますよ?」

「俺も判定をすればいいのだ。これはれっきとした仕事だよ。」

「まぁギルマスが言うなら。」


 多重結界の壁か。壁を触ってするする指を滑らせる。何ともない壁みたいだけど。


「ゾン。俺は嫌な予感しかしないんだが。」

「奇遇だなアマン。俺もだ。」

「さー試験といこうか。君は魔導師だろう?どんな魔法を使うんだい?」

「どうしようかな。何がすればいいんだろう?」

「使える魔法で壁に当てればいいよ。」

「そんなんでいいの?」


 そしたら火でいいか。簡単だし。


「じゃ、ファイヤーショット。」


 ―ゴォォ、ズガァァァ……。


「……。」


 あれどこまで行った?


 ―ダンダンダン……。


「コラー!ギルマス!何してくれてんの!」

「え?俺?」

「……。」


 ギルマスと僕を交互に見る女の人。


「君かぁ!?ダメでしょう!魔法はちゃんとコントロールしないと。どうせギルマスに壁に撃てばって言われたんでしょう?」

「うっ。」

「こんなボロいギルドの結界なんて信じるものじゃないよ。あーこんな大穴開けて……雨降ったらどうすんのさ。」

「ごめんなさい。」

「あなたは良いのよ。これからギルドで依頼こなしてくれれば。あ、コントロールは意識して覚えて下さいね。」


 ギルマスが女の人に引っ張られ連れて行かれる。出口で振り向いた。


「貴方も着いて来て。上でギルドカード発行しちゃうから。」

「いや、合否を出すのは俺の仕事……。」

「え?彼不合格にするの?ギルマスってそんな無能だったの?」

「酷い言われようだ……合格だけどさ。」

「じゃ、何も問題ないわね。」


 そしてそのまま引きづられるギルマス。


「試験官は俺なんじゃ……。」

「「……。」」


 アマンさんとゾンさんが試験官の肩を叩く。


 ん?僕はただ普通な事をしただけなんだけどな〜。


 ♦︎


「はい。ではギルドカードの説明をします。」

「お願いします。」

「まずこのギルドカードは金の貯金から引き出しまで管理をしている。あ。手持ちは最小限にして、取られたら終わりよ。念の為言っておくけどギルドカードは取られても、お金の出し入れは出来なくなっているわ。」


 ふーん。簡単に言えば銀行のキャッシュカードか。それは便利だな。まぁ収納しちゃえば一緒の事だろうけど。


「それとランクで受けるクエストの難易度が決まるわ。」

「ランク?」

「貴方はGランクスタートでF→E→D→C→B→A→Sって順番で上がっていくの。飛び級なんかもあるけど、それは大型遠征とか緊急依頼があればだけど。」


 僕はGランクスタートか。高ランクにはあまり興味がないから、この辺は聞き流した。


「簡単な説明は以上よ。あとは都度聞いてちょうだい。」

「分かりました。」

「無事試験も終わった事だし。俺らは商人ギルドに行ったり、道具の手入れとかで少し時間がある。シノブは依頼をこなしてても良いぞ?」

「あんまり興味はないんだけど、上がると何かいいことある?」

「さぁ?それは受付の人にでも聞いてくれ。」

「ん〜情報収集でもして、適当に何か受けてみるか。」

「じゃ、夕方またここに顔出すから、それまで自由行動しよう。」

「んじゃ、俺らは商人ギルドに行ってくる。」

「いってらっしゃい。」


 早速ギルドボードを眺める。しかし困った事態が。


「文字が分からない……アイさんこれ読める?」

『はい。討伐依頼でその横が採取系のようです。分かりやすいよう翻訳します。トランスレーション。』

「お、見えた。何々……これは採取か時間掛かりそう。サクッと何か討伐したいな……。」

『今見ているものはランクがDとなっています。忍様はGランクなので、Fまでの依頼しか受けられません。』


 ランクって面倒だな。GかFだと……キラーラビット3羽。討伐証明に素材の一部を提出。


「これにしよう。」


 ボードから依頼書を破り受付に持って行く。


「シノブ様。依頼ですか?依頼についての説明はしますか?」

「あ、よろしくお願いします。」

「依頼達成には魔物の部位が必要です。キラーラビットに関しては、耳を2つで1セットとして討伐と見なします。

 時間制限に関しては3日です。それを超えた場合依頼は失敗となるのでご注意ください。

 Gランクではペナルティが無いですが、あまりにも多いと査定に響き、ランクが上がりづらくなるくらいです。

 高ランクになれば違約金もあるので、その際は前もってご説明します。」


 耳が討伐部位か……って事は切り落とすの?どうしよう。ナイフ無いな。


「これって丸ごと納品でも良いの?」

「構いませんが。小さいと言えど魔物ですし。3羽持ってくるのも大変なのでは?」

「一応聞いてみただけです。」

「まぁキラーラビットなら、運べない大きさでは無いですからね。」


 僕の場合は収納魔法あるし、そこは何とでもなる。ナイフを必要となるとお金がいるし。なんて言ったって、今の僕は無一文な訳で。


「そしたら夕方までには戻ります。」

「あ。キラーラビットなんだけど……ってもういない。生息地は結構遠かったけど大丈夫かしら。」


 僕は忠告も聞かず、すぐさま外に飛び出した。

忍「ランクGだと面白そうなの無いな。」

アイさん『面白くない……これは早急にSランクを目指す必要がありますね。』

忍「どうかしたアイさん。」

アイさん『いえ。お任せください。ランクはすぐ上がります。』

忍「アイさんが言うならそうかもね。とりあえずよろしくね。」

アイさん『畏まりました。最短ルートでご案内します。』

忍「妙に気合が入ってるね。僕も頑張らなきゃ。」

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