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無敵のフルフェイス  作者: みけな
第二章 無敵のコンビ〜始動編〜
55/150

55話 去る者は追えず。

割とポンポン書いているからか、前回の読み返して言葉尻が変なとこ直しました。

気をつけます(_ _)


ブックマーク、感想、評価、誤字報告、読んでくれた皆様!

いつもありがとうございます(*'ω'*)

 気持ちのいい朝。


 部屋の窓に寄り日差しの眩しさに目を細める。


「今日もいい天気だ。今日は何も予定は無いけど、外に散歩にでも行こうかな。」


 部屋を出る準備を整えヘルメットを被る。


「おはようアイさん。いい天気だね。」

『そうですね。気持ちの良い朝です。』


 何気なく言ってみたが、アイさんにもこの景色が見えているのだろうか。気持ちの良いって言っている訳だし、雲一つないこの空が見えているのかな?


 せっかくだから部屋の換気でもと窓を開ける。


 ―ふぁ


 風が吹き込み窓のカーテンが揺れる。ライダースーツにフルフェイスの僕には風は感じないんだが。


 ―カサ。


 何かが目の前に落ちたのが見えた。


「何だろう?手紙…………あ!」

『どうかされましたか?』

「手紙だよ!領主の人に来てって言われてたんだった!」

『そうですね。』

「アイさん覚えてた!?なら教えてよ〜」

『申し訳ありません。至急とも記載はありませんでしたし、忍様の御用より優先されるものでは無いと思いまして。』

「あ、ごめんね。別にアイさんが悪い訳じゃないからね。」


 確かに急ぎではないと書いてあった気がするが、流石に何日も開けることはないよな。散歩にでも行こうと思ってたけど、領主に会いに行こう。歩けば散歩と変わらないだろう。


 そうと分かれば早速行動……の前に朝食にしよう。誰か起きているかな。


「あ。師匠おはようございます!」

「おはようセロー。早いね。」

「はい!今日は調合の薬草を取りに行くので!」

「あー昨日入荷するって言ってたね。」

「はいです。師匠は今日どこに?」

「領主さんに会いに行こうかと。」


 セローはちゃちゃっと朝食を済ますと、足早に出かけていった。


「車に……人にぶつからないようにね。」

「はいです!いってき、きゃふん。」


 言ってるそばからぶつかった。僕の方を向いて走り出すからだよ。ぶつかった相手にペコペコ謝りそのまま走り去っ……また人とぶつかっていた。あれで無事たどり着けるのか?


「さてと。僕らも行こうか。」

『はい。』


 席を立ち宿を出て僕は空を見上げて、陽の光に目を細める。


「…………そう言えばさ。」

『はい。』

「領主さんの家ってどこだろうね。」

『私も知らない個人の家までは……申し訳ありません。』

「だよね〜どこかに行けば分かるかな?」

『兵士のいる駐屯所なら知っているものもいるかと。』

「確かに。よしそこに行こう。」


 街に入ってすぐの兵士達が集まる駐屯所に向かう。朝はあまり出歩かなかったけど、こう見るといろんな人が結構歩いている。皆んな朝早いんだね。


「あの、すいません。」

「はい。どうしまし……た……かぁ!?黒の勇者様!」

「シノブです。申し訳ないありませんが、道を尋ねたくて。」

「は!どちらに行かれますか?」

「領主さんの家に。呼ばれたんですけど、家知らなくて。」

「それならば迎えを呼びますが。」

「え?いいよ。歩きたい気分だし、場所だけ教えてくれますか?」

「畏まりました!地図などはお持ちでしょうか?ここが現在地なので……」


 親切な兵士の人に家を印つけて貰った。去り際に握手を求められた。僕は有名人でも何でもないですけど?


「地図によればもう見えてくるはずなんだけど。」

『忍様。地図の印はあの建物を指しているかと。』

「あれか。でかいし、門番いるし聞いてみよう。」


 欠伸をして暇そうな門番の前まで歩く。


「すいません領主さんは居ますか?」

「んぁ!?なんだ貴様!どこから出てきた!」

「どこって真っ正面ですが?」

「退屈だったとは言え、音も無く近づくとは怪しいヤツめ。」


 手に持った槍を僕に向け明らかに警戒する門番。音も無く近づいたつもりはないんだけどな〜。


「領主さんに呼ばれて来たんですが。何か聞いていませんか?」

「貴様のような全身黒ずくめで魔道士の面会なんぞ……」


 ―ダダダ……。


 どこからとも無く走る足音が聞こえる。なるほどこれくらい音を立てればいいのか。


「馬鹿者!」


 ―スパァァン!


「あいた!」


 走った助走をつけて勢いよく門番の頭が、何かを丸めた紙で叩かれる。


「申し訳ありません黒の勇者様!」

「はへ?黒の勇者様?この怪しい魔道士が?」


 ―スパァン!


「痛いっすよ。」

「当たり前だ!それもこれも連絡帳も確認せんお前が悪い!」

「連絡事項ならここにありますよ。」

「ならば読めよ!」

「近日中来客予定あり。黒一色の兜と服を着ている勇者様が来られます。失礼のないよう伝達せよ……読みました。」

「あー頭がいたい。」

「二日酔いですか?」

「違うわぁぁ!」


 ―スパァン!


 本日3度目のいい音がする。丸めた紙が少し形が変わっていた。


「しまった!領主に渡す報告書が!」

「ははは。ドジだな〜。」

「ぐぬぬ。」


 僕はいつまでこの漫才を、見ていなければならないのか。


「貴方達、家まで聞こえて来ますよ。早朝から何をして……あら、シノブじゃない。」

「どうもジュカさん。領主様に会いに来たのですが、いらしゃいますか?」

「あれ?フージ……領主様なら朝早く貴方の宿に向かったわよ?」


 どこですれ違った?僕が街を眺めながら歩いている時には見かけなかったぞ。


「そうですか。では宿に戻ります。」

「申し訳ないわね。あ。屋敷で待っていてもいいのよ?」

「いえ。近いですし、少し走ればすぐ戻れるので。」


 漫才を止めてくれたジュカさんにお辞儀をして、僕は宿まで大至急戻る事にした。道は混んでたし、屋根伝いに行けばすぐ着くよね。




 屋根伝いに宿まで戻った。思ったより早く帰って来れた。


「あらシノブさん。どこに行っていたの?」

「ちょっと領主さんに呼ばれたの思い出して行って来たんだ。」

「そうなの。あれ?でもさっきまでここに領主が居たわよ?」

「どこ行ったの?」

「さぁ?途中で会わなかった?」

「見てないなぁ……。」


 早く帰ろうとして屋根伝いに帰ったのが完全裏目だな。街中駆け抜けた方が良かったか。


『忍様。今なら転移で領主宅に行けば会えるかも知れませんよ。』

「その手があったか!」

「どの手?」

「あ、ごめん。ちょっと行ってくるねレブル。」

「ええ。いってらっしゃい。」

「テレポート。」


 レブルに手を振られる景色が歪む。一瞬の暗転に浮遊感の後、目の前にはさっき来た領主の家の前。


「ふぁぁ……今日も平和だ。」

「気抜きすぎじゃない?」

「はふ!?って勇者様ですか。驚かさないでくださいよ。てか今、目の前に突然現れませんでした?」

「魔法だよ。で、領主さんは?」

「旦那ならまだ帰って来てませんけど。」

『どうやら少し早過ぎたらしいですね。』


 門の前で門番と話していると……。


 ―ダダダ……。


 また走って誰かが近づいてくる。誰かって分かっているけど、名前が分からない。


 ―ビュン!


 今度は攻撃を回避する門番。


「そう何度も食らいませんよ。」

「ぐぬぬ。」

「はいはい。漫才はいいから。」

「また突っ走って行ったと思ったらシノブじゃない。フージに会えたかしら?」

「それが旦那とはまだ会ってないみたいですよ。」

「そうなの。」

「こら!領主様と呼べと何度言えば分かる!」

「「ごめんなさい。」」

「あ、いえ。ジュカ様の事を言っては……でも人前ではお気をつけ下さい。」

「分かったわ。」


 またしても書類で叩こうと振りかぶったけど、ジュカさんが反応した事でそのまま書類は下げられた。安堵の息を吐く門番。


「それでどうする?フージ……領主様が帰るまで屋敷で待つかしら?」

「ふむ。アイさんどう思う?」

『また入れ違いになるかもしれませんし。追い掛けるより待つ方が得策だと。』

「そうだよね。」

『それに忍様に用があるなら向こうが来ればいいだけの事。忍様が探し回る必要もありません。』


 わぁ〜クール。


「お昼も近いし、昼食でも用意させますよ?」

「行きます。」

「ふふ。男の子は素直で良いわね。」


 領主さんの食事となれば、それだけで何故か期待が出来る。街の食堂では味わえない何かがきっとそこにはあるはず!


 ♦︎


 しばらくしても領主さんは帰って来なかった。


 昼食を頂き、食後にお茶を貰い。そのままおやつまでご馳走になった。


「満足。美味しかった……。」

「ふふ。」

「ははは。そう言ってくれると、作った甲斐があるってもんだよ。」

「仲間にも味わって貰いたいくらいですよ。」

「それなら明日も来たら良いわ。フージにも言っておくから。用があるのはこっちなのに申し訳ないけど。」

「本当ですか?でも今日もご馳走になって、明日もってなんか……。」

「私は構わないさ。それにこれから夕食の買い出し行くから。若い子が遠慮するもんじゃないよ。」


 少しだけ考えた。しかし答えは既に決まっている。


「明日も伺います。」

「そうと決まったら私は買い物に行かなきゃね。今なら露店にまだ食材並んでるからね!」

「それなら僕が送りますよ。」

「坊やがエスコートかい?」

「行き帰り大変ですし、荷物ごと運びますよ。」

「よく分からないけど。それじゃ頼もうかしらね。」

「それではジュカさん。領主さんに言伝お願いします。コック長は僕に掴まって下さい。」

「こうかい?」

「それじゃ行きましょう。トランステレポート!」

「え?えぇぇ…………」


 移動する間際にジュカさんの叫び声がしたような……気の所為か。


 僕と料理長は露店の並ぶ場所まで飛んだ。


「ここは?いつも買い物する所じゃないかい。噂には聞いていたが、勇者様は何でも出来るもんなんだね。」

「そんな事ないですが。では帰りも送りますので。遠慮なく買い物して下さい。」

「そうかい?ついでだし、重たい物も買っちゃうかしら。」


 その後色々買い物に付き合った。今日と明日の美味しい物の為ならば安いものだ。今から明日が楽しみである。

フージ「ただいま。」

ジュカ「おかえりフージ。貴方どこほっつき歩いてたの?勇者様がずっと待っていたのよ?」

フージ「追い掛けてもすれ違い。領民に屋根下屋根へと跳ぶ情報を貰い宿へとひき返しまして。」

ジュカ「彼はそんな事まで。」

フージ「そんな事以外に何かしたのかい?」

ジュカ「聞いて驚きますよ。何と古代魔法も使えるかもしれないわ。いえ、使ったのよ。」

フージ「屋根跳び回るより凄い事なんて……。」

ジュカ「何と転移魔法よ。しかも料理長を連れて。複数人飛べるみたいよ。」

フージ「屋根を跳び、転移魔法まで……そりゃ追いつけない訳ですね。」

ジュカ「そうそう。明日も来るようにお願いしたから。フージは迷子にならないよう家でじっとしてて。」

フージ「迷子って……。」

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