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無敵のフルフェイス  作者: みけな
第二章 無敵のコンビ〜始動編〜
47/150

47話 任された者の戦い①

♦︎で忍とレブルの視点が交代で入ります。ころころ変わってごめんなさい!


ブックマーク、感想、評価、誤字報告、読んでくれた皆様!

いつもありがとうございます(*'ω'*)

 テントに荒っぽく入口を作った僕は、急いで馬車を出した。流れるような手際で馬を繋げるアマンとゾン。


「じゃ、頼んだよ。」

「皆んなの事は任せて。シノブさんも気をつけてね。」

「分かった。」


 レブル達と分かれて、僕は魔族を探す。仲間を逃がす間に何もして来なくて、意外にも空気の読める魔族なのかも知れない。


「…………何処にいるんだろう?」

『テント周囲に生物反応はありません。』

「あれ?居なくなったかな?」


 さっきまで戦ってた訳だし。突然いなくなったりしないよね?一応さっき戦って飛んでいった魔物があそこにあるから、場所もここで合っていると思うんだけど。


 ―ヒュン。


 地面に横たわる魔物をそっと回収しておく。魔族が連れてきたような感じだったし、きっと魔界にしかいない貴重な魔物かも知れないからね。3体とも回収が終わると辺りの音の異常さに気がついた。


「何の声も音もしないね。」

『何かあったのでしょうか。それとも忍様同様に転移系の魔法の可能性も。』

「魔族だもんね。それくらい使えてもおかしくはないか。」


 居ないもんはしょうがない!僕も街に行くとしようかな。


 皆んなどっちに行ったっけか……。


 ♦︎


 馬車と馬で走る事数分。魔物達の足音は聞こえて来ない。


「さすがにすぐは追いつけないかしら。」

「そうだな。向こうは荷物とか無いだろうし、もしかしたら街に着く頃に合流するかもな。」

「私一人で先行しようかしら。」

「それは良くないわ。一人で行くレブルもだけど、こっちの戦力的に狙われたら厳しそう。」

「そうです!一人では危ないかも知れませんよ。このまま何も無いと決まってもいないし。」

「その発言が既に何かある流れよね。」


 ―ガタン。


「ぐえ。」

「何か踏んだな。」


 馬車を止めてその何かを確認する。何となく無視して行くと背後を狙われる形になる。


「っくそ。全くなんだって言うんだ……。」

「大丈夫かしら?」


 馬車に踏まれて普通は大丈夫ではないけど。何事も無かったように立ち上がったので、一応人として聞いてみる。


「ん?あぁ。これくらいどおって事ない。」

「それは良かった。では私達は急ぐので……。」

「いや、待て。」


 ですよね。引かれたその人は、黒い甲冑の隙間から赤黒い肌。そして人にはない尻尾が見えた。


「もしかして魔族の人?」

「そう言うお前らは人間だな。あの黒い奴の仲間か?」

「師匠を知って……むぐ。」

「セロー!し!」

「師匠?ったら事はお前は奴の弟子か?」

「もごもご。もご!」


 セローの口を塞いだけど遅かったか。このまま行かせては来れなさそう。


「ちょうどいい。黒いアイツを見失ってな……せっかくだし俺と遊ぼうぜ。」

「はぁ……結局こうなるのね。皆んなは下がっていて。」

「赤い姉ちゃん1人か?皆んなで来てくれて構わないんだぞ?」

「あら、優しいのね。後悔しないかしら?」

「はん。このヴィクトリカ様が、女子供が多数で卑怯とか言わねえよ。そして女子供だからと、手加減する気もないからな。そのつもりでかかってきな。」


 随分と自信家みたいね。見た感じ前衛型だけど、魔族だし油断は禁物ね。


「セローは魔法で遠距離支援。エストは隙をみて攻撃。メインは私が行くわ。」

「お任せ下さい!」

「私もやるのね……ふぅ。」

「ん?その剣……。」


 エストの剣を見て首をかしげる魔族。


「その黒い剣……烏か?」

「え?」

「連絡がねぇっと思ったが……やられてたか。情けない奴だ。」


 ―ズシン。


 黒い斧を肩に背負い今にも襲って来そうな殺気を放つ。


「エスト!」


 ―ギン!


「ほぅ。俺の一撃を受け止めるか。」

「凄いパワーね。その割に動きも速くてびっくりよ。」

「それを見切るお前も中々だぞ?」

「褒めて貰って光栄……ね!」


 ―ボォウ。


「魔剣か。人間も少しはやるんだな。」

「構えなさいエスト!」

「え……あ。」


 エストはその場を動けず立ち竦む。さっきの殺気を受けて動けなくなったのかしら。こうなると実質戦えるのは私だけ……。


「水玉です!てい!」


 ―ザザザザ!


「うぉ!あぶね!」

「まだまだ行きますよ〜」


 ―ザザザザ!


「遅いな。フン!」


 ―ブゥン!ザバァ!


「わわ。水玉斬り落とされた〜」

「コイツただの自信家じゃない。」

「自信家ってひでぇ言われようだな。」


 ―ギン!


「いい太刀筋だが……少しばかし軽いな。」

「随分余裕そうね。」

「実際余裕だからな。人間の中じゃ強くても、俺様に届く強さじゃねぇ。」


 ―ザブン。ブクブクブク……。


 さっきの水玉が効かなかったセローだけど、諦めたりはしてないようね。同じ魔法に見えるけど、何かがさっきと違う。


「レブル!離れて下さい!」

「ん?またさっきの水か?俺には……。」

「効かなくないです!時間はかかりますが、師匠の魔法をイメージしたものです!食らうです水玉……バースト!」


 ―ザバァァァ!!


「また!!」


 さっきよりも強力な水魔法が魔族を押し込んでいく。


「やったか?」


 アマン。その言葉は今言っちゃいけないやつよ。


「そう何度も同じ魔法が通じるかよ。2度目となれば対策も思いつくってもんだ。」

「2度目?私は初めて試したんですが?」

「はぁ?あの変な山をぶち抜いた魔法と同じじゃねーか。」

「同じ?やったー師匠と同じ魔法だって思われたー!」

「セロー。今はそこを喜んでいる場合じゃ……。」

「そうだね。師匠を超える魔法を考えないとですね。」

「ん〜ちょっと違うんだけど。前向きだからいいかしら。」


 私は剣を握り直し、セローの杖を握る手が少し頼もしく見える。


 ♦︎


 森を走る事数分。僕はおそらくだけど迷子になった。


「こっちに来たと思ったのになぁ……。」

『……。』

「街から最短距離だとこの道だから、もうそろそろ追いついても良いのに。」

『……忍様。』

「何?アイさん。」

『走り出してしまって今更お伝えするのも迷ったのですが……。』


 真剣な声だったので、一度止まって話を聞く事にした。


『レブル達は追い抜いてしまいましたよ。』

「…………。」


 進行方向と逆を向く。


「そうか……アイさんならレブル達が何処にいるか分かるんだね。」

『……はい。』

「うわぁ……盲点だった。」


 追いつこうと必死であれこれ忘れていたよ。さてそうなるとここでレブル達を待つ方がいいのかな。


「ちなみにだけど。レブル達は何処にいるの?」

『今忍様の向いている方角に真っ直ぐ……忍様!高い木まで跳んで下さい!』

「はい!」


 突然の声かけに反射的に言われた事をする。でも一体何が?するとそこに大きな音が聞こえた。


「木を薙ぎ倒すような音がだんだんと近づいてくる?」


 ―ザバァァァ!


 さっきまで居たところを、凄い勢いの水に木が押し流されている。


「あれはセローの魔法だね。」

『例の魔族と交戦中みたいです。』

「え!あの魔族レブル達の方に行っていたのか。そうなると魔物達は今も街に向かっているのか。アイさん。」

『ワイドレンジサーチ、クリアアイズ、イーグルアイ。』


 魔物達は…………あそこか。ギリギリ魔法の範囲内か。レブル達が魔族を足止めしてくれている間に、あの魔物達も少し数を減らして足止めしておこう。


「雷魔法を使うね。保持とお手伝いよろしく。」

『畏まりました。』


 これを撃ったらすぐに行くから。少しだけ時間を稼いで……。


 ♦︎


 何度目かの打ち合い。遊ばれている感じは相変わらずだけど、致命的な傷は今の所ない。


「ふにゅ……もう魔力がありません。」

「ここまで助かったわ。少し休んでて。」

「ごめんなさい。」


 さてと、セローの援護は無くなった。これで距離を稼いで呼吸を整える時間が減った訳だ。結構ピンチね。


「後ろの青い嬢ちゃんはダウンか。人間なのにとんでもねぇ魔力量だったな。」

「師匠が優秀ですからね。」

「その師匠どんだけだよ。もう弟子に超えられてんだろう。」

「ふふ。そんな事はないわよ。」

「そうか。んじゃ、そろそろやろうか。もう息も落ち着いたろ?」


 戦力が減ったからって、コイツはまた余裕を出して……ムカつくわね。なるべく会話をして時間を伸ばしたいんだけど、楽はさせて貰えないようね。


「すぅ……はぁ!!」

「ふはは!そう来なくちゃな!!」


 速さもパワーもこの前戦った魔族と大違い。武器にだけ頼らないで、手や足など全身を使って攻撃してくる。一挙一挙は粗いけど、戦い方は参考になるわ。


「……。」

「……っふ!」


 斧での攻撃に、その隙を埋める蹴り。剣で足ごと薙ぎ払うと、足を下げまた別の角度から攻撃をする。地面に体を投げて無理やり交わす。背中の炎の翼が羽ばたき、体制を無理やり起こす。


「なんつー戦い方だ。その羽根も手足のように動かせるんだな。」

「貴方の尻尾程じゃないわ。」

「これは体の一部だからな。後で生やした羽根には負けねぇよ。」


 そう相手には尻尾がある。私の翼もそれなりに自由に動かせるけど、今までずっと尻尾をつけて生活していたであろう魔族。その動きは敵ながら見事としか言えない。あ、そろそろ息を……でも、そんな隙はくれなそうね。


「ふは!」

「どうした?限界か?中々面白いかった……。」


 ―ズガァァァァァン!!!ブワァ!!!


「なんだ!?この揺れは!」

「はぁ……。」


 動揺した相手から距離を取る。隙もあったけど、攻撃している余裕なんてない。


「はぁ、はぁ……。」

「あれは?あそこだけ空が真っ黒になっている?」

「あれは師匠の魔法ですね……魔族の足止めをしてから…………今こっちに向かってくるはずです。」


 狙ったかのようなタイミング。これは私に運が向いているのかしら。シノブさんが来るのが先か。私がやられるのが先か……さすがにしんどいわ。


 ―ッザ。


「ん?次はグレーの姉ちゃんか?さっきへたり込んでたが、戦えんのか?」

「ふぅ……大丈夫よ。」

「エスト……。勝たなくていいわ。負けないように守りなさい。」

「守る……分かった。」


 エストの場合は相手との殺し合いに向いていない。どうしても遠慮が出てしまう。なのでシノブさんが来るまでの時間が稼げればって意味で、守る事のみを意識させた。


「ラストラ。回復してくれる?危ない時は私が出るから。」

「はいっす!全力で頑張ります!」


 対象って傷はないけど、魔力も体力もさすがに限界。魔力が無い分はどうしようも出来ないけど、この剣に振り回されるだけ……どうなるか分からないから、そんなリスクは負いたくないけど。


「エストレア・ライドステア参ります……。」

「コイツは丁寧に。俺の名はヴィクトリカ。行くぞぉ!!」


 ―ギギン!


「ビビってた割に、ちゃんと動くじゃねぇーか。」

「何も出来ないのは……嫌だから。」

「その剣……烏に恥じない戦いをしてみろ!」

「言われなくても!」


 ―ギギン!ギン!


 正直エストに任せて少し不安だった。一通りの戦いは教えたつもりだけど、回避や捌く事を主体に戦うやり方は合わないかと思ったけど。


「なんだ。戦えるじゃない。」

「え?何か言いましたか?と言うかレブルさん大丈夫ですか?」

「何でもないわ……少しだけ……疲れただけよ。」


 安心したら意識が……私が皆んなを守らないと。シノブさんに頼まれたんだから……。


「ちょっとレブルさん!口から血が出てますよ!?あー患者ダメっす!」


 もう少しだけ……。


 ♦︎


 何かと何かが当たり、金属の乾いた音がする。近いぞ……。


「ふん!ふん!」

「っく!やぁ!」

「あそこだ!エスト!」


 さっき見た魔族と戦っていたのはエスト1人だった。レブルとセローは?


『セローは魔力切れのようです。レブルも魔力が極端に少なく、精神疲労が強く見えます。』

「無事ならそれでいい!エスト下がって!」

「全くどこで何をしてたんだか。後は任せるわよ。」

「任されたぁぁ!!」


 ―ブゥン!


「おっと!?なんださっきの黒いのか?」


 割って入るのもあれだけど、今はそう言ってられない。それでもさっきの一撃を避けるだけの力量はあるんだね。


「へへ。やっと親玉の登場か。待ちくたびれたぞ。」

「勝手に居なくなったのはそっちでしょ?」

「んな!?あんな不意打ちで魔法ぶっ放した奴のセリフか?おい。」


 魔法をぶっ放した?コイツは何を言っているんだろう。


「よく分からないけど。ここからは僕が相手をさせて貰うよ。覚悟はいいかい?」

「ふん。偉そうに。貴様こそ覚悟はできてんだろうなぁ?」


 さてと、コイツはこの前の魔族と違うみたい。レブル達がここまで疲弊するくらいだから、気を引き締めていかないとね。

忍「何でアイツはあんなに起こってるんだろう?」

アイさん『魔法をぶっ放してと言ってましたね。先程の雷魔法の事でしょうか?』

忍「あぁ。結構大きい音だったから、びっくりさせちゃったかな?」


ヴィクトリカ「ちげーよ!石の山で水魔法の事だよ!」

忍「石の山の水魔法?……あぁ、あれか。もしかして巻き込まれた?ごめんね。」

ヴィクトリカ「くそ!舐めた小僧だ!あの礼はきっちりしてやるからな!」

忍「勝手に巻き込まれたのに僕の所為なの?」

ヴィクトリカ「ぜってぇ殺す!!」

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