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無敵のフルフェイス  作者: みけな
第一章 無敵のコンビ〜仲間編〜
4/150

4話 前途多難な楽しい旅。

2日更新継続中。どこまで出来るか……。


GWの連勤も終わったし、少しは余裕が出来るはず(*'ω'*)

 何かを悟り始めた2人はお昼には早いと、魔物の捌くのを一つ一つ丁寧に教えてくれた。


「先に言っておくが、解体の魔法があっても使うなよ。」

「人は楽をしすぎると堕落するからな。」

「そうですね。あるか聞いてませんが、やめておきます。」

「あそこの鱗剥がすの硬いからナイフを入れて、くいってあげるんだ。」

「ナイフをくいですね。」

『お手伝いします。よろしいでしょうか?』

「ありがとう。お願いするよアイさん。」

『では、パワーコントロール・ハーフ。』

「いきます!」


 ―バキン。


「……隙間に入れて、くいっと。」

「はは。こいつはダメだな。ナイフは使えん。」

「すいません。ナイフを駄目にして。」

「シノブが悪いわけじゃない。別の道具使うか。」

「いっそ指でも入れます?」

「そうだな。シノブにはそれが良いかもな。なんて冗談だ。」

『は!パワーコントロール・ジャストワン!』

「くいっと。」

『ふぅ。』


 ―べキョン。


「取れました。」

「マジかー。あぁ、うん。ナイフは折れるのに素手で出来るのか?」

「アドバイスが良かったんですよ。ほら、簡単に鱗は剥がせますよ。」


 ―べキョン。べキョン。べキョン。


 なんか聞いた事もない音がするけど、鱗は綺麗に剥がれているから問題はないはず。


「シノブには簡単に見えるがな。俺じゃ剥がせんなきっと。」

「そうですか?」

「そのままやってくれ、違う道具を持ってくる。」

「はい。」


 そのまま黙々と鱗を剥がす。隙間に指を入れて、くい!


 ―べキョン。


 僕みたいな素人に、簡単に出来る様に教えるのは凄い。アマンさんは学校の先生だったら天才児ばかり育つだろうな。


「アマンに道具をって……もう終わっちゃったか。」

「ゾンさん。はい、ここに重ねています。」

「無駄に積み上げるなよ。倒れて傷ついちゃうだろ。こんなに綺麗に剥がせてるのに。」

「え?綺麗ですか?」

「普通はナイフをテコに、生え際の鱗を折って剥がすんだよ。でもこれは根元から綺麗に剥がれている。どうやったんだ?」

「アマンさんに教わった通りに、鱗の隙間に指を挟み……くい!です。」

「アマンが驚いてたのはそれか。見れば分かるって言ってたが、あれ同じ事出来るか?」


 ゾンさんが指をさしたのは、鱗付きの魔物でした。さっきと同じ要領でいいかな?


 ―べキョン。


「なんだ、この音。折れたって言うか、抜けた?」

「この音はわかりませんが。」


 ―べキョン。べキョン。


「そんな簡単に出来るか?」


 ゾンさんが鱗の隙間に指を入れ……動かない。


「くいって無理じゃんかよ!シノブは魔導師なのに力もあるんだな。」

「簡単だと思うけどな。もしかしたらアイさんが手伝ってくれてるからかも。」

「よく分かった、アマンを手伝ってくるから。シノブはその鱗剥がしを頼む。」

「分かりました!」


 2人は僕が鱗をバラした魔物を捌き始めた。大きな作業だし、向こうは2人で大変そうだな。僕だけこんな楽で良いのかな?剥がしながら2人の作業を見る。汗をかきながら、いろんな道具で解体していく。


「そうか、流れ作業で手を動かしつつ見ろって事か。そう言えば、父さんも兄さん達も技術は見て盗めって言ってたよな。」

「「(なんか凄く見られている……。)」」


 なんかバイクをバラすのと似ている。それぞれの構造は似ていて、それにあった工具を使う所なんてそっくりだ。いやー職人って感じだわ。2人とも凄いな。


 ♦︎


 作業もひと段落し休憩する。僕の魔法についての話をされる。


「それと転移はもしもの時で、普段は馬や馬車で移動する。」

「うんうん。馬が鈍るし、旅をしてる感じもなくなるからな〜」


 2人がアドバイスをしてくれる。これは凄くありがたい。


「いろいろ勉強になります!」

「「何いいって事よ。(俺らがシノブに常識を教えねば!)」」


 2人が何かの決意に目覚めた事は、この時の僕に知る由はない。


「それとだが、相談役さんと話す魔法は隠した方がいい。」

「え?そうなんですか?」

「俺らはもう慣れたが、突然独り言を話すみたいで不気味だぞ。」

「そうでしたか。気をつけます。」

「それにその兜も……魔導師って言えば納得されるだろうが……。」

「カッコよくないですか?」

「「まぁ……。」」


 何か濁された感じがするけど、このフルフェイスかっこいいよね?父さんの店にあって一目惚れしたくらいだし。


「それより何で魔導師で納得されるの?」

「魔導師は変わり者だから。」

「商人で顔を隠してるやつはいるが、闇の市場のやつくらいだ。」

「変わり者ね……僕って変わってるの?」

「「自覚なし!?」」

『……っふ。』


 そんな会話をしながらお昼を食べる。猪の鍋って食べたことなかったけど、あんなに美味しいなら元の世界でも食べておけばよかった。


 これから森に行くのもアレだし。今日は一日解体の訓練で終わった。


 ♦︎


 次の日の朝食を食べていると、2人が真剣な顔つきで話しかけて来た。


「今日の予定だが、シノブの意見も欲しいのだがいいか?」

「ふぁい……ごくん。はい。」

「まだ森に来たばかりだが、移動をしないかって事なんだが。」

「あ、はい。いいですよ。」

「あーわかっている。森で冒険したいシノブの気持ちも。」

「……。」

「実はな……。」


 ん?いいよって言ったんだけど。これは聞こえていない?あ、でもゾンさんは聞こえていたみたい。びっくりした顔で僕を見ている。


「この前の30体の解体でナイフや道具の方が限界なんだ。出来れば鍛冶屋か買い直したい。」

「いや、アマン。シノブは……。」

「あぁ。分かっている。言うなゾン。」

「「……。」」


 この噛み合っていない会話。


「俺達の目的も素材は十分回収も出来た。むしろシノブの収納のお陰で捨てずに回収も出来た。」

「そうですね。」

「そこで考えたのだが、このままじゃシノブにおんぶに抱っこになってしまう。」

「僕は別にそう思ったないですけど。」

「シノブはいい奴だからな。俺はもともとある程度稼げたら、やりたい事があったんだ。」

「どんな事ですか?」

「世界を周り、困っている人を助けられる商人になりたいんだ。」

「立派ですね。」

「ただシノブは、森を探索したいと言っていたよな。」

「はい。」


 熱く語るアマンさんは、飲み物を飲み一呼吸おく。


「正直、会って数日だが。俺はシノブと世界を旅したいと思ったんだ。」

「……。」

「しかし冒険者であるシノブを、縛るのもどうかと考えた。」


 僕は冒険者じゃないんだけど。話の腰を折りそうだから、とりあえず最後まで聞こう。


「もし良ければ……俺らと一緒に来てはくれないか?」

「はい。良いですよ。」

「あー、分かっている。そんなすぐ決められないのは。だからな……。」


 おや?また話を聞かれていない。ゾンさんに限っては2度目のスルーで吹き出した。


「すまんな、シノブ。アマンは話し始めると周りが見えなくなる時があるんだ。」

「はは。そうみたいですね。」

「なんだ、2人だけで分かってるような顔して。」


 少し拗ねたアマンさん。そろそろ話もおわったみたいだし、僕から切り出すか。


「では、これからもよろしくお願いしますね。」

「おう。頼むぞシノブ。」

「は?え?良いのか?」

「はい。僕はずっと良いですよ。って言っていたんですが。」

「そ、そうなのか?そうか……ありがとな、いや。よろしく頼む。」


 僕らは2人と握手を交わす。森だって転移すればいつでも来れるわけだし。こんな出会いはいつでもある訳じゃ無い。


「こりゃ酒が欲しいな。」

「え?でも僕は未成年。」

「未成年?そう言えばシノブは幾つなんだ?」

「16歳です。」

「なんだもう成人してるじゃないか。」

「朝から酒盛りだな!準備しよう。ツマミは腐るくらいある。」

「お酒って初めてだな……。」


 ♦︎


「シノブ……もう寝よう。」

「いつのまにかくらいですね。」

「ゾンさんは寝ちゃってますか。ここで寝たら風邪ひきますよ。」

「少し酔いを覚ましてから寝ますので、お先にどうぞ。」

「すまんな、流石にこれ以上は……酒の常識も今度……。」


 アマンさんが倒れた。しょうがないからテントまで運んだ後、草原に寝っ転がる。

「ただ朝からお酒を飲んで、いろんなもの食べて。何もしない1日ってこんなに楽しいんだな。向こうでは学校で勉強したり、バイクの勉強して、整備の手伝いや教えてもらったりと忙しかったな。」


 こんな事ならもっと人と関わっていけば良かったな。向こうじゃ目的に一直線だったし。


「ふぅ……アイさん。星が綺麗だよ。」

『そうですね。』

「アイさんには何が見えてる?」

『忍様が見るものは見えています。」


 そうなんだ。僕が見えているものか。


「神様にお願いされたとは言え、僕と一緒にいるわけだし。アイさんも一緒に楽しもうね。」

『……そんな気遣いは。』

「僕がアイさんと楽しみたいと思ったんだよ。だから、付き合ってもらうよ。いやかな?」

『いやではありませんよ。決して。』

「ならよかった…………。」


 失せる意識の中、おやすみなさいと優しい声が耳に響く。


 ♦︎


 朝起きて準備を済ませて、すぐさま出発する。


「あぁ……頭いてぇ。」

「アマンは飲みすぎなんだよ。」

「シノブはが逆に何ともないんだな。」

「そうだね。初めてだったけど、飲み過ぎないようにしたから。」


 父さんが飲みすぎで、しょっちゅう苦しんでいるのは見てきた訳だし。バイクの整備の音が頭に響くとか大変そうだったな。


「どうした?」

「いえ、お酒で失敗した父さんを思い出しまして。」

「そうか。親父さんは元気なのか?」

「はい。」

「そうか。シノブの親父さんか……きっととんでもないんだろうな。」

「別にとんでもなくないですよ。」


 きっと元気でやっているはず。ちょっと気になるけど、僕が出来るのは自分の人生を楽しむ事。いつか死んじゃって会う時にいっぱい話せる為に。


「そう言えば、僕らはどこに向かってるんですか?」

「始めは【ネクタース】って町に行く予定だ。」

「それって遠いんですか?」

「そうだな。このペースだと3日くらいか。」

「け、結構遠いんだね。」

「それでも森に一番近い町として、危険な場所ではあるんだがな。」


 馬車で3日だもんな。速い魔物なら1日で行けそうだし。でもあの森の弱い魔物だからそこまで危なくない気もするけど。


「ん?誰か倒れているな。」

「本当だ。どうしてこんな何にも無いところに?」

「アマンあれは……。」

「盗賊ってか?こんな危険地帯に居るなんて聞いた事ないぞ?」


 盗賊!?そんな危なそうな人がいるのか。確か商人とかの馬車を狙って、有り金全部出せって言うあの!


「何でシノブはワクワクしてるんだ?」

「別にそんな事はないよ!ほら、早く助けてあげないと!」

「お、おう。」


 倒れている人の元へ行く。もしかしたら魔物に襲われた可能性もあるし。


「大丈夫ですか?」

「うぅ……大丈……!」


 ―チャキ。


「はは。今時こんな罠にかかるとはな。」

「「シノブ!!」」

「剣なんか向けて危ないですよ?」

「は。変な格好しやがって。お前魔導師だろ?ここまで近づかれたら魔法も使えないだろう。下手な真似はするなよ。馬車の奴が大変な目にあうぜ。」


 ご丁寧に忠告してくる人がそう話し始めると、草むらに隠れていた人達がわらわらと出て来る。


『忍様。周囲12名の族がいます。2名は前方の気に隠れていますが。』

「へー12人か。結構いるんだね。」

「!!お前、やはり魔導師か。動くんじゃないぞ!」

「シノブ!大丈夫か!」

「あ、はい。丁寧に忠告してくれているので、何も問題ないです。」


 自分達も危ないはずなのに、僕を気遣うアマンさん。ゾンさんも今のところ何もされていない。


「アイさん。馬車まですぐ移動出来るように、補助はお願い。」

『畏まりました。マッスルレインフォース。パワーコントロール・ジャストワン。』

「くそ!余裕こきやがって。腕の一本でも斬り落とすぞ!」


 この人は何で怒っているんだろう。言う通り一歩も動いていないのに。


「おい、お前ら!とっとと馬車の荷物を回収しろ。」

「くそ!」

「あ、荷物を奪うとかいけないんだよ?父さんに習わなかったの?」

「うるせ!」

「「シノブ!!」」


 ―ビュン!


 振り落とされる剣。しかしそこには何もいない。


 ―ガツン。


 剣は空を切り地面へと突き刺さる。


「は?」

「ぐえーーーー!?」

「がはーーーー!?」

「っどほーーー!?」

「2人とも大丈夫?」

「「「え?」」」


 キョトンとした顔をする、アマンさんとゾンさんと盗賊の人。


「僕の仲間に手を出す事は、許さないよ。」

「「……あいつら死んだな。」」

「あれ?そんな逃げなくても。オーバーだなぁ。」

「……は!やりやがったな!」

「そっちが先に手を出したんじゃん。僕は軽く押しただけだよ。」

「うるせー!お前らその変な魔導師をやっちまえ!」

「さっきから変とか、初対面の人に失礼だよ。」


 馬車に近い3人は飛んでいって動かない。馬車から僕にターゲットを絞ってくれるのは有難い。


「悪いけど、旅の邪魔するなら相手になるよ。」

「シノブ!」


 馬車からアマンさんが叫ぶ。


「手加減しろよ!ちょっと力入れたら殺しちまうぞ!」

「はは。それは相手に失礼だよ。やるからには全力だよ!」

「くそっ。お前らやっちまえ!」

「「あいつら死んだな……。」」


 一斉に向かってくる盗賊達に僕はウキウキが止まらなかった。

アイさん『咄嗟に1%まで抑えてあの結果……。』

忍「鱗剥がしも案外簡単だね。どんどんいくよ。」

アイさん『1%……1%……。』

忍「何か言いました?」

アイさん『制御はお任せ下さい。』

忍「ん?よろしく?」

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