4話 前途多難な楽しい旅。
2日更新継続中。どこまで出来るか……。
GWの連勤も終わったし、少しは余裕が出来るはず(*'ω'*)
何かを悟り始めた2人はお昼には早いと、魔物の捌くのを一つ一つ丁寧に教えてくれた。
「先に言っておくが、解体の魔法があっても使うなよ。」
「人は楽をしすぎると堕落するからな。」
「そうですね。あるか聞いてませんが、やめておきます。」
「あそこの鱗剥がすの硬いからナイフを入れて、くいってあげるんだ。」
「ナイフをくいですね。」
『お手伝いします。よろしいでしょうか?』
「ありがとう。お願いするよアイさん。」
『では、パワーコントロール・ハーフ。』
「いきます!」
―バキン。
「……隙間に入れて、くいっと。」
「はは。こいつはダメだな。ナイフは使えん。」
「すいません。ナイフを駄目にして。」
「シノブが悪いわけじゃない。別の道具使うか。」
「いっそ指でも入れます?」
「そうだな。シノブにはそれが良いかもな。なんて冗談だ。」
『は!パワーコントロール・ジャストワン!』
「くいっと。」
『ふぅ。』
―べキョン。
「取れました。」
「マジかー。あぁ、うん。ナイフは折れるのに素手で出来るのか?」
「アドバイスが良かったんですよ。ほら、簡単に鱗は剥がせますよ。」
―べキョン。べキョン。べキョン。
なんか聞いた事もない音がするけど、鱗は綺麗に剥がれているから問題はないはず。
「シノブには簡単に見えるがな。俺じゃ剥がせんなきっと。」
「そうですか?」
「そのままやってくれ、違う道具を持ってくる。」
「はい。」
そのまま黙々と鱗を剥がす。隙間に指を入れて、くい!
―べキョン。
僕みたいな素人に、簡単に出来る様に教えるのは凄い。アマンさんは学校の先生だったら天才児ばかり育つだろうな。
「アマンに道具をって……もう終わっちゃったか。」
「ゾンさん。はい、ここに重ねています。」
「無駄に積み上げるなよ。倒れて傷ついちゃうだろ。こんなに綺麗に剥がせてるのに。」
「え?綺麗ですか?」
「普通はナイフをテコに、生え際の鱗を折って剥がすんだよ。でもこれは根元から綺麗に剥がれている。どうやったんだ?」
「アマンさんに教わった通りに、鱗の隙間に指を挟み……くい!です。」
「アマンが驚いてたのはそれか。見れば分かるって言ってたが、あれ同じ事出来るか?」
ゾンさんが指をさしたのは、鱗付きの魔物でした。さっきと同じ要領でいいかな?
―べキョン。
「なんだ、この音。折れたって言うか、抜けた?」
「この音はわかりませんが。」
―べキョン。べキョン。
「そんな簡単に出来るか?」
ゾンさんが鱗の隙間に指を入れ……動かない。
「くいって無理じゃんかよ!シノブは魔導師なのに力もあるんだな。」
「簡単だと思うけどな。もしかしたらアイさんが手伝ってくれてるからかも。」
「よく分かった、アマンを手伝ってくるから。シノブはその鱗剥がしを頼む。」
「分かりました!」
2人は僕が鱗をバラした魔物を捌き始めた。大きな作業だし、向こうは2人で大変そうだな。僕だけこんな楽で良いのかな?剥がしながら2人の作業を見る。汗をかきながら、いろんな道具で解体していく。
「そうか、流れ作業で手を動かしつつ見ろって事か。そう言えば、父さんも兄さん達も技術は見て盗めって言ってたよな。」
「「(なんか凄く見られている……。)」」
なんかバイクをバラすのと似ている。それぞれの構造は似ていて、それにあった工具を使う所なんてそっくりだ。いやー職人って感じだわ。2人とも凄いな。
♦︎
作業もひと段落し休憩する。僕の魔法についての話をされる。
「それと転移はもしもの時で、普段は馬や馬車で移動する。」
「うんうん。馬が鈍るし、旅をしてる感じもなくなるからな〜」
2人がアドバイスをしてくれる。これは凄くありがたい。
「いろいろ勉強になります!」
「「何いいって事よ。(俺らがシノブに常識を教えねば!)」」
2人が何かの決意に目覚めた事は、この時の僕に知る由はない。
「それとだが、相談役さんと話す魔法は隠した方がいい。」
「え?そうなんですか?」
「俺らはもう慣れたが、突然独り言を話すみたいで不気味だぞ。」
「そうでしたか。気をつけます。」
「それにその兜も……魔導師って言えば納得されるだろうが……。」
「カッコよくないですか?」
「「まぁ……。」」
何か濁された感じがするけど、このフルフェイスかっこいいよね?父さんの店にあって一目惚れしたくらいだし。
「それより何で魔導師で納得されるの?」
「魔導師は変わり者だから。」
「商人で顔を隠してるやつはいるが、闇の市場のやつくらいだ。」
「変わり者ね……僕って変わってるの?」
「「自覚なし!?」」
『……っふ。』
そんな会話をしながらお昼を食べる。猪の鍋って食べたことなかったけど、あんなに美味しいなら元の世界でも食べておけばよかった。
これから森に行くのもアレだし。今日は一日解体の訓練で終わった。
♦︎
次の日の朝食を食べていると、2人が真剣な顔つきで話しかけて来た。
「今日の予定だが、シノブの意見も欲しいのだがいいか?」
「ふぁい……ごくん。はい。」
「まだ森に来たばかりだが、移動をしないかって事なんだが。」
「あ、はい。いいですよ。」
「あーわかっている。森で冒険したいシノブの気持ちも。」
「……。」
「実はな……。」
ん?いいよって言ったんだけど。これは聞こえていない?あ、でもゾンさんは聞こえていたみたい。びっくりした顔で僕を見ている。
「この前の30体の解体でナイフや道具の方が限界なんだ。出来れば鍛冶屋か買い直したい。」
「いや、アマン。シノブは……。」
「あぁ。分かっている。言うなゾン。」
「「……。」」
この噛み合っていない会話。
「俺達の目的も素材は十分回収も出来た。むしろシノブの収納のお陰で捨てずに回収も出来た。」
「そうですね。」
「そこで考えたのだが、このままじゃシノブにおんぶに抱っこになってしまう。」
「僕は別にそう思ったないですけど。」
「シノブはいい奴だからな。俺はもともとある程度稼げたら、やりたい事があったんだ。」
「どんな事ですか?」
「世界を周り、困っている人を助けられる商人になりたいんだ。」
「立派ですね。」
「ただシノブは、森を探索したいと言っていたよな。」
「はい。」
熱く語るアマンさんは、飲み物を飲み一呼吸おく。
「正直、会って数日だが。俺はシノブと世界を旅したいと思ったんだ。」
「……。」
「しかし冒険者であるシノブを、縛るのもどうかと考えた。」
僕は冒険者じゃないんだけど。話の腰を折りそうだから、とりあえず最後まで聞こう。
「もし良ければ……俺らと一緒に来てはくれないか?」
「はい。良いですよ。」
「あー、分かっている。そんなすぐ決められないのは。だからな……。」
おや?また話を聞かれていない。ゾンさんに限っては2度目のスルーで吹き出した。
「すまんな、シノブ。アマンは話し始めると周りが見えなくなる時があるんだ。」
「はは。そうみたいですね。」
「なんだ、2人だけで分かってるような顔して。」
少し拗ねたアマンさん。そろそろ話もおわったみたいだし、僕から切り出すか。
「では、これからもよろしくお願いしますね。」
「おう。頼むぞシノブ。」
「は?え?良いのか?」
「はい。僕はずっと良いですよ。って言っていたんですが。」
「そ、そうなのか?そうか……ありがとな、いや。よろしく頼む。」
僕らは2人と握手を交わす。森だって転移すればいつでも来れるわけだし。こんな出会いはいつでもある訳じゃ無い。
「こりゃ酒が欲しいな。」
「え?でも僕は未成年。」
「未成年?そう言えばシノブは幾つなんだ?」
「16歳です。」
「なんだもう成人してるじゃないか。」
「朝から酒盛りだな!準備しよう。ツマミは腐るくらいある。」
「お酒って初めてだな……。」
♦︎
「シノブ……もう寝よう。」
「いつのまにかくらいですね。」
「ゾンさんは寝ちゃってますか。ここで寝たら風邪ひきますよ。」
「少し酔いを覚ましてから寝ますので、お先にどうぞ。」
「すまんな、流石にこれ以上は……酒の常識も今度……。」
アマンさんが倒れた。しょうがないからテントまで運んだ後、草原に寝っ転がる。
「ただ朝からお酒を飲んで、いろんなもの食べて。何もしない1日ってこんなに楽しいんだな。向こうでは学校で勉強したり、バイクの勉強して、整備の手伝いや教えてもらったりと忙しかったな。」
こんな事ならもっと人と関わっていけば良かったな。向こうじゃ目的に一直線だったし。
「ふぅ……アイさん。星が綺麗だよ。」
『そうですね。』
「アイさんには何が見えてる?」
『忍様が見るものは見えています。」
そうなんだ。僕が見えているものか。
「神様にお願いされたとは言え、僕と一緒にいるわけだし。アイさんも一緒に楽しもうね。」
『……そんな気遣いは。』
「僕がアイさんと楽しみたいと思ったんだよ。だから、付き合ってもらうよ。いやかな?」
『いやではありませんよ。決して。』
「ならよかった…………。」
失せる意識の中、おやすみなさいと優しい声が耳に響く。
♦︎
朝起きて準備を済ませて、すぐさま出発する。
「あぁ……頭いてぇ。」
「アマンは飲みすぎなんだよ。」
「シノブはが逆に何ともないんだな。」
「そうだね。初めてだったけど、飲み過ぎないようにしたから。」
父さんが飲みすぎで、しょっちゅう苦しんでいるのは見てきた訳だし。バイクの整備の音が頭に響くとか大変そうだったな。
「どうした?」
「いえ、お酒で失敗した父さんを思い出しまして。」
「そうか。親父さんは元気なのか?」
「はい。」
「そうか。シノブの親父さんか……きっととんでもないんだろうな。」
「別にとんでもなくないですよ。」
きっと元気でやっているはず。ちょっと気になるけど、僕が出来るのは自分の人生を楽しむ事。いつか死んじゃって会う時にいっぱい話せる為に。
「そう言えば、僕らはどこに向かってるんですか?」
「始めは【ネクタース】って町に行く予定だ。」
「それって遠いんですか?」
「そうだな。このペースだと3日くらいか。」
「け、結構遠いんだね。」
「それでも森に一番近い町として、危険な場所ではあるんだがな。」
馬車で3日だもんな。速い魔物なら1日で行けそうだし。でもあの森の弱い魔物だからそこまで危なくない気もするけど。
「ん?誰か倒れているな。」
「本当だ。どうしてこんな何にも無いところに?」
「アマンあれは……。」
「盗賊ってか?こんな危険地帯に居るなんて聞いた事ないぞ?」
盗賊!?そんな危なそうな人がいるのか。確か商人とかの馬車を狙って、有り金全部出せって言うあの!
「何でシノブはワクワクしてるんだ?」
「別にそんな事はないよ!ほら、早く助けてあげないと!」
「お、おう。」
倒れている人の元へ行く。もしかしたら魔物に襲われた可能性もあるし。
「大丈夫ですか?」
「うぅ……大丈……!」
―チャキ。
「はは。今時こんな罠にかかるとはな。」
「「シノブ!!」」
「剣なんか向けて危ないですよ?」
「は。変な格好しやがって。お前魔導師だろ?ここまで近づかれたら魔法も使えないだろう。下手な真似はするなよ。馬車の奴が大変な目にあうぜ。」
ご丁寧に忠告してくる人がそう話し始めると、草むらに隠れていた人達がわらわらと出て来る。
『忍様。周囲12名の族がいます。2名は前方の気に隠れていますが。』
「へー12人か。結構いるんだね。」
「!!お前、やはり魔導師か。動くんじゃないぞ!」
「シノブ!大丈夫か!」
「あ、はい。丁寧に忠告してくれているので、何も問題ないです。」
自分達も危ないはずなのに、僕を気遣うアマンさん。ゾンさんも今のところ何もされていない。
「アイさん。馬車まですぐ移動出来るように、補助はお願い。」
『畏まりました。マッスルレインフォース。パワーコントロール・ジャストワン。』
「くそ!余裕こきやがって。腕の一本でも斬り落とすぞ!」
この人は何で怒っているんだろう。言う通り一歩も動いていないのに。
「おい、お前ら!とっとと馬車の荷物を回収しろ。」
「くそ!」
「あ、荷物を奪うとかいけないんだよ?父さんに習わなかったの?」
「うるせ!」
「「シノブ!!」」
―ビュン!
振り落とされる剣。しかしそこには何もいない。
―ガツン。
剣は空を切り地面へと突き刺さる。
「は?」
「ぐえーーーー!?」
「がはーーーー!?」
「っどほーーー!?」
「2人とも大丈夫?」
「「「え?」」」
キョトンとした顔をする、アマンさんとゾンさんと盗賊の人。
「僕の仲間に手を出す事は、許さないよ。」
「「……あいつら死んだな。」」
「あれ?そんな逃げなくても。オーバーだなぁ。」
「……は!やりやがったな!」
「そっちが先に手を出したんじゃん。僕は軽く押しただけだよ。」
「うるせー!お前らその変な魔導師をやっちまえ!」
「さっきから変とか、初対面の人に失礼だよ。」
馬車に近い3人は飛んでいって動かない。馬車から僕にターゲットを絞ってくれるのは有難い。
「悪いけど、旅の邪魔するなら相手になるよ。」
「シノブ!」
馬車からアマンさんが叫ぶ。
「手加減しろよ!ちょっと力入れたら殺しちまうぞ!」
「はは。それは相手に失礼だよ。やるからには全力だよ!」
「くそっ。お前らやっちまえ!」
「「あいつら死んだな……。」」
一斉に向かってくる盗賊達に僕はウキウキが止まらなかった。
アイさん『咄嗟に1%まで抑えてあの結果……。』
忍「鱗剥がしも案外簡単だね。どんどんいくよ。」
アイさん『1%……1%……。』
忍「何か言いました?」
アイさん『制御はお任せ下さい。』
忍「ん?よろしく?」




