17話 お弟子ちゃん。
待ってた人もそうじゃ無い人も、お待たせしました。更新再開です。
可能な限りは2日に1回 12時に上げていきます。
よろしくお願いします(*'ω'*)
僕は今困っている。なんでか知らないけど、どうやらお弟子ちゃんは僕らについて来るらしい。
「……。」
「……。」
無言で向き合う父と子。その間にいるのは僕だけで、アマンとゾンとレブルは僕の後ろにいる。
「それで僕がこの場に来た意味は?」
「君に娘は任せられるかって事だ!」
「だから、パパなんかじゃ勝てないくらいの魔導師なんだって!」
「信じないね。先程顔を拝見したが、お前とあまり変わらない年齢じゃないか。」
「あ、僕は16歳ですよ。」
「ほら!セローの一つ上じゃないか。え?あの見た目で16歳なのか?」
「え?一つしか違いないのに、あんな事出来るの?」
それぞれ別の意味で驚く2人。あの見た目ってなんだろう……。
「とにかくだ。そんな子供だけのパーティなんか、危ないだろう!」
「下手なパーティよりよっぽど安全だって!」
「それは保証するわ。」
「金銭や食事面で不憫はかけない。」
「だな。ある意味勇者パーティよりも快適かもな。」
「……それなら君の魔法を見せてもらおうか。」
「いいですけど。ここで?」
「「「それはダメ!」」」
後ろの3人に止められる。そんな心配しなくても家を壊すような事はしないよ。
「古文書を読んだ後なのよ?それを試されたらこの家無くなっちゃうわよ。」
「え?そんな危ない本なのか?」
「禁忌魔法は載っていなかったから、まだ良かったけど。攻撃魔法以外ならまだ危なくないけど……たぶん。」
「ははは、それなら問題なかろう。君がここで私に何か見せ、私が満足する結果であれば旅の許可を出そう。」
「言ったわねパパ!師匠!お願いします!」
「お願いされてもなぁ。何すればいいんだろう?」
攻撃魔法はダメって言われている訳だし。そうなると移動系や補助系の魔法か……。
「外出ても雨だし、ちょっと違う所に移動してもいいですか?」
「それは構わないが。」
「ならまずは移動しましょう。アイさん、どこなら問題ないかな?」
『それではあの森なんか如何でしょうか。周りに人も居なく、入口付近なので平地です。』
「それいいね。皆んな、手を繋いでもらっていいかな?」
皆んながそれぞれ手を繋ぎ、レブルが僕に触れる。
「ちょっとシノブさん。どこ行くか聞いても……。」
「トランステレポート。」
何か言ってたレブルに答えず、僕らはある場所へと移動した。安全な場所だし良いよね。
♦︎
皆んなで来た場所はあの森の手前の平原。
「ここはどこかで見た事ある様な……。」
「アマン……俺は見てはいけないものを見た。あそこに見えるのって。」
「あそこ?」
皆んなが一斉にゾンが指を指した方向を見る。
「魔物があんなに……。」
「ひぃぃ!?」
「ありゃ。またあんなに固まって。」
振り向いた先には、森から魔物が押し寄せる所だった。
「落ち着いて話もできないな。アイさん、補助を。全部吹き飛ばす。」
『分かりました。クリアアイズ、イーグルアイ、シャープシューティング。忍様、風で吹き飛ばすイメージを。』
「分かった。吹き飛ばす……ブロウ!」
―ゴォォォォ!
―ギャオォォォォ……。
「魔物の叫びが聞こえたわ。悲惨としか言えないわ。」
「あぁ。あれにはちょっと同情するな。」
「レブルもアマンも大袈裟だよ。ちょっと風を吹いただけだよ。」
「「ちょっとねぇ……。」」
とりあえず、魔物は見えなくなった。これで落ち着いて話せるね。
「それでどんな魔法を見せますか?ここならある程度本気出しても……。」
「それはダメよ。この世界が壊れかねないわ。」
「そうだな。素材は貴重だから、次来た時の為に抑えてくれると助かる。」
「と言うか、その必要あるか?」
僕に世界を壊すなんて無理に決まっている。仮に出来てもする気は無いけど。でもアマンの言う素材を大事にって言うのは一理ある。僕が今後ここで修行する時は気をつけよう。
「何個か質問しても良いかな?」
「あ、はい。どうぞ。」
「ここはどこだ?どうして突然外にいるんだ?」
「ここは【ネクタース】の町からちょっと東に行った所にある森。」
「ちょっとじゃ無いけどな。」
「そう?走ればすぐ行ける距離じゃん。」
「シノブならな……。」
一度来た事ある2人が何か言っている。
「仮にその森だとして、どうやって来たんだ?」
「え?普通に転移しただけだけど。」
「普通に転移って、そんな伝説の魔法がある訳……あるのか。」
頭を抱えるパパさんと頷く皆さん。
「さすが師匠です。」
「それと先程の魔法なんだが。あれはなんだね?」
「ただの風魔法ですよ。」
「ただの風魔法で魔物の群れが吹き飛ぶと?」
「そうですね。水魔法は前回やって、追い払うまでいかなかったので。」
「どうせその水魔法も、川が出来るくらいなんだろうな。」
コクコク頷く仲間達。まぁやらかした事あるから、否定は出来ない。
「それに師匠は他の属性魔法も使えるんだよ。ね?師匠。」
「火・水・風・土ならすぐ出来るかな。氷と雷は時間かかるから、調整しないと使い物になりませんが。」
「6大元素魔法の4つに、上位魔法の2つもか?」
6大元素と上位魔法ってそんな言葉があるんだ。知らなかったな〜
「元素とか上位とか知りませんでした。まだまだ勉強が必要ですね。因みにですが、残り2つは光と闇ですかね?」
「それだけ魔法を使えて知らんのか?」
「光と闇は本に載っていたので、そうなのかなとは思いました。そうか、光と闇か……。」
光は回復だったり、強化だったりとい事が書いてあった。アイさんの補助はきっと光なんだと思う。
「そうなると残りは闇魔法覚えれば……。」
「ん?そう言えば闇なら先程使ったな……。」
「え?僕がですか?」
「闇とは空間や時間を操る魔法だ。君の使った転移魔法もそうだが、他には収納や重力と言った魔法なんかもあるな。」
「へー収納もそうなんだ。」
「収納もだが、詳細は本にも載っていない筈だぞ。」
確かに収納は名前はあったけど、細かい事は何も書かれていなかった。使える僕でもどう説明すれば良いか分からないし、きっと説明するのに難しかったから省いたんだろう。そして本には重力が載っていた。説明はざっくりした感じだったけど、引力と遠心力の関係を知っている僕には分かりやすかった。
「重力は星の引力と遠心力を使って、地面に引かれるイメージ……。」
「あ、ちょっとシノブさん?」
「人が持つ魔力、物の材質全てを引っ張るように……。」
「シノブさん、まさか!?」
「……グラビティ。」
―ズン。
なんか体が少し沈んだ感じがする。
「ぐぉ!」
「ぐぬぬ!」
「2人ともどうしたの?」
膝に手を置いて下を向くアマンとゾン。
「こここれは!私には……いえ、これも。修、行!」
「なな!?」
両足を広げ踏ん張るお弟子ちゃんと倒れるパパさん。
「ちょっとシノブ、さん!魔法を……解いて……。」
「え?レブルどうしたの?」
「アイさん!範囲、指定!」
『は!その手が。キープエリア!』
「「ふぅぅぅぅ。」」
「あ、軽くなりました。パパなんで寝てるの?」
「……。」
「ナイスよアイさん。」
「皆んなどうしたの?」
「「「どうしたじゃ無い!」」」
怒って詰め寄る3人。
「いいかシノブ。俺とゾンは商人だ。あんな魔法ぶっ放すな潰れちまう。」
「そうそう。俺もアマンも人より少し力があるから、少し耐えられたけど。」
「全くよ。やるなら私達に相談するか、せめてアイさんに範囲抑えて貰いなさい!」
「え?ちょっと重くしただけなのに。」
「「「ちょっとの加減!?」」」
とにかく皆んなに怒られた。重力ってこの星全体に聞いている物だから、範囲を指定とか出来ないと思ってた。今はアイさんが範囲指定してくれたから、皆んな普通に動けるようになった訳か。
「全く……力は分かったが。これじゃ別の意味で先が不安だな。」
「その為に俺達がいるんだ。」
「大変だな。しかしこれからはもっと大変になるぞ。」
「え?どう言う意味?」
パパさんがアマンとゾンと話していて、その視線が一箇所に集まる。
「うちの娘もジャンルはあっち系だ。」
「抑え3対暴走2か……。」
「アマン。相談役さんがいるから4対2だ。」
「甘いはゾン。アイさんはシノブさんに甘いのよ?3対3よ。」
「3人とも何を話しているの?」
「今後の相談よ。お弟子ちゃんはどうやら許可出たみたいだから。」
「え?あんなのでいいの?」
僕を見る目が皆んな冷たくないかい?あ、1人だけ違う子いたか。
「師匠!これからよろしくお願いします!」
「よろしく……お弟子ちゃん。」
「はい!」
僕は気がつくかと思い、わざとお弟子ちゃんと言ったんだけど。
「どうしようレブル。今更こっちから聞くのも。」
「こう言うのはこっちから名乗るものなのよ。」
そう言って手を差し出すレブル。
「改めてよろしく。レブルよ。」
「はい!よろしくお願いします奥様!」
「お、奥様!?レブルよ、レブル!」
「分かりましたレブルさん。」
顔を真っ赤にして帰ってくるレブル。
「あの子はいい子ね。あのままでいいのかもしれないわ。」
「いやいや、名前は大事でしょう。」
「ここは俺らの出番だな。」
自信満々な顔のアマンとゾンが行く。あの2人この状況を楽しんでいるな。
「商人のアマンだ。」
「同じくゾンだ。」
「はい!アマンさんとゾンさん。よろしくお願いします!」
それぞれと握手を交わすお弟子ちゃん。しばらく無言の時間が過ぎる。
「ぶは。」
「こら、アマン。こ、堪えるんだ。」
「だってゾン。もはや言わないのがお約束を……。」
笑う2人組に首を傾げるお弟子ちゃん。それを察したパパさんが頭を抱えた。
「すまん。うちの娘が。」
「はは。」
こうしてお弟子ちゃんが仲間になりました。
レブル「シノブさんにも困ったもんね。」
アマン「だな。俺らがしっかりしないと。」
ゾン「ところで、さっきの重力どこ行ったんだ?」
レブル「アイさんに範囲指定をして貰ったけど……見つけた。あの絶賛沈んでる木じゃないかしら。」
アマン「木って沈むんだな……。」
ゾン「シノブだし。」
レブル・アマン「「それな。」」




