女王様の涙
純とテラが流鏑馬を、リンがクーファに盾の扱いを習っている頃、ミカとリーエルはグランアンジェ女王に呼ばれて、王宮に来ていた。
「おお、わざわざ呼び立ててすまんな。実は二人に伝えなくてはいけないことがあってな。」
女王様の後ろから懐かしく、そして温かい目でミカ達を見つめる人が現れた。
ミカが満面の笑みで見つめた視線のその先にいたのは…
「クレアおばさん!でもどうして王宮に?」
「ミカ、それから初めまして、ミカのお姉さんだね。クレアと言います。」「あたし、リーエル。よろしく。」「お姉ちゃん、クレアおばさんは私の親がわりなんだよ。お父さんとお母さんが小さな時、私を預けて…あれ?お姉ちゃんは?」
「ミカ殿、すまぬ、全てはわらわが悪いのじゃ。
許して…いや、許せぬかもしれんな。」
「女王様、どういう事ですかぁ?」「あたしも知りたいねぇ!どういうことだよ。」
「いずれそなた達に話さなくてはいけない事なのでクレアに来てもらったのだ。実はそなた達はわらわが魔法と科学で作り出した命…わらわの最愛の姉の複製なのじゃ。だから父や母はおらん。わらわがクレアに頼んでミカを育ててもらっていたのじゃ。今まで黙っていて本当に悪かった。」クレアもミカに向かって頭を下げる。「ごめんよ、ミカ。でも私はミカのことを本当の娘みたいに思っているよ。」ミカはクレアを見て頷いた。「あたしは?」リーエルが不思議そうな顔をして女王様に訊いた。
「わらわには二人の姉、ユーリとヴェラがいた。
しかし、そなた達も知っているロークに手をかけられたのじゃ。」「……!」「そしてわらわは余りに不憫な二人の遺骨からそなた達を蘇らせた…
それをロークに知られてしまい、ユーリの複製…リーエル殿、そなたのカプセルをまず異世界に送った。残念ながらそなたはロークに見つかってしまったらしい…
しかしわらわはまた姉を失う辛さに負けてしまったのじゃ。ミカ殿のカプセルを自分の部下であるクレアに託したのじゃ。しかし、クレアのところにもロークの影がちらほら見えてきたのでわらわは諦めた。カプセルを異世界に…
ミカのカプセルは運命的に純が拾った。
複製とはいえ、二人の姉を二度も失うわけにはいかんからな。」「それを何で今更あたし達に?」
リーエルは訊いた。
「…純に話したのじゃ…特にミカ殿は…ヴェラ姉さんは純の転生前の魔王レックと恋人同士だった…」「私と純くんが…純くんは何て言ってましたか?」
「純は記憶を失ってもヴェラ姉さんの事を想って涙を流しておった。しかし、転生しても変わらない絆があると純は言った。全ての人を笑顔にして見せるともな。そして、ミカ殿。そなたとの絆で信長を倒したのじゃ。」
ミカはその場でしゃがみ込んで手で顔を覆った。
「純くん…辛かったよね…ううう…」
リーエルも口を開く…「大きな奴だな。アイツは…」
「そうじゃな。ヴェラ姉さんとレックを見てユーリ姉さんとわらわは二人に憧れたものじゃ。
ユーリ姉さんの生まれ代わりのリーエル殿も愛してしまっても不思議ではないな。
あんなに深い愛情で包んでくれる男はそうおらんからな。
ミカが大粒の涙を流しながら女王様に言った。
「女王様、私をこの世に産んでくださってありがとうございます。」「お、お主はわらわを恨んではおらんのか?」「何故、女王様を恨むのですか?私はクレアおばさんに育ててもらって幸せでしたよ。それに純くんに会えたのはこの世界に生まれたから…女王様のおかげです。」
リーエルも「あたしも同じだ!妹もいるし、純もいる。この世に生まれたことを感謝してるよ。
女王様!ありがとう!」
「そなた達…」女王様も大粒の涙を流された…




