海底都市
「叔父様?…ルーニー叔父様。」
リンが男にかけよる。「リン…久しぶりだな。」
「どうなされたのですか?そんな格好をされて。」「兄さんに呼ばれたのさ。ちょっと手伝えって。」リンはこの男を知っているようだ。
「はじめまして。あの、助けて頂いてありがとうございます。弥生 純と言います。」
「ああ、聞いてるよ。リンの旦那だろ?俺はルーニー。クーファの弟さ。」「先生の?…そうでしたか!」「俺は風来坊でね。色々な所へ旅をしているんだが、兄さんに頼まれて少し前からソリューの動きを調べていたのさ。ま、お前さん達とほぼ一緒だ。武闘大会には出てないがな。それよりお前さん達を下の世界へ連れて行くように言われているんだ。」「下の世界?」「海底都市さ。」
僕は海の底に消えたという古代文明のアトランティスを思い浮かべた。しかしルーニーさんに連れてこられた町は地上のそれと何ら変わらない街並みだった。唯一違うところと言えば空である。
太陽の光は届くのだが、水面に遮られているように見える。ルーニーさんによると水面がレンズの役目をして昼間は地上より明るく夜は真っ暗になるらしい。
「お前さん達はソリュー国王に狙われている。しばらくはここで身を隠してくれ。クーファ…兄さんと、女王様には連絡してある。宿も用意してあるから武闘大会の疲れを癒してゆっくりするといい。ここはオーケアノスでもあまり知られていない田舎の町といったところだ。観光地でリゾートに使っているくらいかな?」
「分かりました。色々ありがとうございます
。連絡があるまでこちらでゆっくりさせて頂きます。」
よく考えると武闘大会の修業の日々から休む間も無く今まで来てしまった。僕らの世界では夏休みも終わりに近づいている。ここらでゆっくりするのも悪くないだろう。
アリスさんがみんなに向かって頭を下げた。
「私のせいでこんな事になってしまってすみませんでした。なんとお詫びをしてよいか…」
僕はアリスさんを抱き抱えた。「キャッ!純さん…」
「牢屋なんかに入れられて辛かったでしょう。でももう大丈夫。僕がアリスさんを守ります。」
アリスはその強さゆえに周りから 女性として見られることは少なかった。いつも女王側近の魔導士として一目置かれていた。今、初めて好きな男性の腕の中にいる。慣れてはいないが誰かに身を任せるこんな自分も悪くない。そうアリスは思った。




