大切なあなた
「あの〜僕、新入りで牢番に行けと言われたんですけど…」「ああ、それなら城の北東にある階段から地下牢にいけるぜ。」「ありがとうございます。」適当に言ってカマをかけたが、とりあえず行ってみよう。
アリスはもう何も考えないようにしようと思った。ところが思えば思うほど、純との思い出が頭をよぎる。頭のどこかで純が助けに来てくれるのを待っている自分がいる。頬をつたう涙が何よりの証拠だった。
「ア…さん…リス…さ…」
自分を呼ぶような声が聞こえる。アリスは牢の外を見つめた。「アリスさん。迎えに来ました。」
そこにいたのは初めて会った時の少年のような顔ではなく、信念を持って行動する男の顔を持った青年だった。
アリスは胸が張り裂けそうな感情をグッとおさえて言った。「私なんかのために何で来たのですか?私はただの一兵卒です。あなたは国のことを考えて行動して欲しかった。」
純は少し険しい表情で「自分の大切な人も守れないでどうしてみんなを笑顔にできますか?僕は今、あなたを命に換えても守りたい。それしか考えられない。」と初めてアリスに意見した。
アリスはもう涙を止めることが出来なかった。
純はアリスの涙を指で拭った。
「さあ、一緒に帰りましょう。」「ダメなんです。この地下牢は魔法結界が張られていて瞬間移動も攻撃魔法でさえ使えないんです。結界を解くか一部を破壊でもしないと…」
「そこまでだ!」純の背後に人の気配がした。
振り返ると通路には兵士が幾重にも重なってこちらを見ている。その兵士を掻き分けるようにして国王ロークが姿を見せた。武闘大会の時の国王の表情とは違った禍々しい表情で僕は少し驚いた。
「やはり人質を助けに来るだろうと思っていたぞ。アンジェの手の者よ。女王め、コソコソと…」「ソリュー国王!何を企んでいる?何も無ければ僕達をこんな目にあわせることは無いだろう?」「そんな事、お前達は知らないでよい。そのまま朽ち果てるがよい。」
今、カプセルを開けて守護神を出しても逆に危険に晒してしまう。僕一人でこの数を相手するのは無理だ。どうする…純!




