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さよなら

「あの野郎!」「お父様!」純を追いかけようとしたクーファの前にリンが立ち塞がる。


「私はお父様のような聡明な男性を自分のパートナーにしたいと常々考えてまいりました。そして常に前向きに頑張るあの方のことが頭から離れなくなって契約して頂きました。そして自分の考えが正しかったと今ほど思ったことはございません。お父様に逆らうようですが、私は自分の誇り高い旦那様について行きます。これまでありがとうございました。」


そう言うとリンは純の走り去った方角へ後を追った。ミカもテラもクーファに会釈して後を追う。


「アイツら、若い時の俺みたいなことしやがって!」クーファは呆れ顔でそして少し笑った。




「おーい!」馬車に変化の術で姿を変えたテラはミカとリンを乗せて純に追いつくことが出来た。

その姿を見た純は「これだ!何で今まで気が付かなかったんだろう。」と良いアイデアが浮かんだ。




ソリュー王宮に向かう一人の貴族の姿があった。

「すまないが、晩餐会で大切な時計を忘れてしまってね。取りに来た次第である。お取り次ぎを。」「分かりました。」兵士は王宮の中に走り去り、また戻ってきて「そのような忘れものはないそうです。お引き取りを。」と言った。

その瞬間、貴族は兵士の後ろに回って手刀で峰打ちをした。兵士はその場に崩れ落ちる…


「上手くいったで。」貴族のポケットの赤いカプセルが小声で囁いた。変化の術が解かれて純の姿が現れた。気絶した兵士の鎧を着て純は城内を探した。




アリスは牢の中でむしろこれで良かったと思っていた。女王様もクーファ国王も自分を信頼はしてくれているとは思うが、任務を遂行して初めての信頼である。失敗は全て自己責任。一兵卒の自分を助けることはない。そして純に感じた初めての感情。幼い時から魔法を学び、気がつけばグランアンジェの民を守ることが自分の誇りだった。

純には三人の守護神がいる。このまま誇りも恋も中途半端に失うなら自分はこのまま消えてしまった方がいい。そう思って緑のペンダントを握りしめた。「サヨナラ…」


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