素敵な名前
「ミカ、テラ。行って来ます。」
カプセルに向かってそう呟いて僕は学校に出かけた。
基本、学校に行っている間はカプセルの中で過ごして欲しいと二人にお願いした。
カプセルの中では守護神はお腹も減らないらしいので安心である。
…学校から帰って、二つのカプセルを開ける。
「ただいまっ!」「おかえり〜」
部屋に帰っておかえりって言ってもらえる。
しかも二人の可愛い女の子に。日常の中の非日常の出来事に僕は嬉しさを感じた。
突然ミカが僕に言う。「純くん、ミカちょっとクレアおばさんに用があるから行ってくるね。」「ん。分かった。行ってらっしゃい。」
テラと二人きりになった僕はテラにこの世界を案内してあげることにした。
「初めて純とゆっくりデート出来るわ。嬉しいなあ。」
テラが僕の腕にピタッとくっついて離れない。
嬉しいんだけど慣れなくてちょっと恥ずかしい。
滑り台のある公園でテラが立ち止まった。
「ウチが小さい時に遊んだ所に似てるわ。
ウチ、親の顔を知らんのや。気がついたら同じような子供とナミっていうおばさんと一緒に生活してた。ウチが大きくなって、食費がかかるのを気にしたウチはナミおばさんの家を夜中にこっそりと抜け出した。行く当てのないウチを拾ってくれたのがジークやった。」「……」
「ウチがちょっとした魔法を使えると知ったジークはウチに優しくしてくれた。でもジークには他にもウチと同じような守護神が沢山いると知ってショックやった。誰かウチを受け入れてくれる人はおらんのやろかと思ってた。そして純と知り合った。それからウチは幸せや。うるさいけどあのヘナチョコもおらんよりはマシやしな。」
テラ…いつも明るいけど本当は寂しいんだな。
「ウチの名前もナミおばさんがつけてくれたんや。テラってどういう意味なんやろ?ただ呼びやすいとかだけかなぁ?」
僕はテラに「それは違うよ。僕らの世界では「テラっていうのは想像も出来ないすごく多い物の単位、つまり大きいっていうことなんだ。それに
…」
僕は足元にあった棒きれで地面に〝地球〟と書いた。「地球と書いてテラ。地球っていうのは今、僕らがいるこの星、この世界。太陽が眩しくて、風が気持ち良くて、花が咲いて、鳥が大空を自由に飛ぶこの世界。どちらの意味も誰にも負けないくらい素敵な名前だと思うよ。」
そう言うとテラは「おおきに、純。ウチ、親に愛情込めてつけてもらった名前がどこか羨ましかった。ウチの親は何でウチに名前をつけてくれへんだんやろうって。でも今は純が全部受け止めてくれてる。ウチはホンマに幸せやで。」そう言って僕の胸に飛び込んで涙を流した。
部屋中にミカのカプセルのアラームが鳴り響いた。僕はカプセルを開けた。
「あっ!テラちゃん、また純くんにピタッとくっついてる。もう離れてよ。」
「ちょっと疲れて寝てしまってるからそっとしておいてあげてね。」僕はテラを抱っこしてベッドに寝かせてあげた。」「もう。純くんは優しいんだから〜!」ミカはちょっとふくれ顔で僕に抱きついてきた。
その時、頭の中にアリスさんが話しかけてきた。
「純さん!ソリューを調べたのですが、やはり我々が潜入するのは難しいです。」「そうですか…」「ただ一つだけ可能性があります。」「…!何ですか?それは!」
「武闘大会です!」




