付き合ってもらえますか?
「ミカちゃん…苗字は?」ミカは一生懸命考えているが「すみません。分かりません。」
「何処から来たの?」「すみません。分かりません。」僕は犬のお巡りさんになった気分だ。
僕はミカちゃんの近くにあるカプセルを両手で一つずつ持ち上げた。両方のカプセルから怪しげな光が出ている。僕が覗こうとすると「あーっ!」
僕はミカちゃんとともにカプセルに吸い込まれた。
ミカちゃんと共にたどり着いたのは何処かの建物の一室だった。薄暗くて殺風景な部屋だ。
隣の部屋から少しだけ光が漏れている。
僕はミカちゃんの手を握ってドアの方へ近づいた。するとローブのような服を着た年配の女性が本を見ながら何か食べるものを作っていたようだ。
僕は恐る恐る声をかけてみた。
「すみません。ここって…」
何処ですかと聞く前に女性はミカちゃんに駆け寄り「ミカ、あんた何処に行ってたの?」と心配そうにミカちゃんを抱きしめた。
ミカちゃんは変わらずボーっとしたまま動かない。「ああ、再起動したほうが良いね。」
そう言ってミカちゃんが持っていたカプセルを女性は手に取った。
良く見ると魔法陣が上下に一つずつ描いてある。
カプセルの上の魔法陣を長押しする。
するとミカちゃんはその場に崩れ落ちるように
座りこむ。「ミ、ミカちゃん?」
女性は「あんたがミカの旦那かい?」と言った。
「旦那?い、いえ違います。ここは何処なんですか?」「何言ってんだい。グランアンジェだろ?
まさか、あんたエルドラの人かい?そういえば黒い髪だし。私は争いごとはゴメンだよ。さあ帰っておくれ。」
すいません。正直、一瞬思ってしまいました。
「はぁ?おばさん、何言ってんの?」と…
そんな話をしているとミカちゃんが立ち上がって、こっちを見た。
「あっ。ミカを助けてくれた人だ。確か…純くん。ゴメンちょっとお腹が空いちゃってて。
あっ!クレアおばさん。ただいま。ちょっと遅くなっちゃってゴメン。」
「ちょっとじゃないよ。あたしゃてっきり川にでも流されて…でも良かった。この人と契約したんじゃないのかい?」
「うん。ミカ、純くんのこと大好きになっちゃって…あらためまして、純くん。」
僕は名前を呼ばれてとっさに返事した。「はい?」
「ミカと付き合ってもらえますか?」