第十九話 メジャーデビュー戦
2020年シーズンが開幕した。
アストロズは開幕戦、敵地でオークランド・アスレチックスと対戦する。
ゲンは開幕戦はベンチスタートだった。
試合が始まった。
アストロズは初回、スプリンガーが初球を打ってライト前ヒット。
その後スプリンガーが盗塁を仕掛ける。
しかし捕手のルクロイの前に刺される。
結局一回の表は三人で攻撃を終える。
開幕投手のバーランダーは三回までノーヒットに抑えた。
四回の表、先頭のグリエルがフォアボールで出塁する。
しかしゴンザレスがダブルプレーに倒れる。
しかしその後のギャティスがチーム第一号となるソロホームランを放つ。
アストロズが先制した。
先制し、主導権を握ったのは束の間だった。
五回の裏、ツーアウトからバーランダーがクリス・デービスに逆方向にソロホームランを浴びる。
あっという間に同点に追いついてしまった。
七回の裏、アストロズは継投に入り怪我明けのマッカラーズ・ジュニアを投入。
先頭をセンターフライに打ち取った。
しかし、オルソンがフォアボール。
さらに先ほどホームランのクリス・デービスがツーベース。
.勝ち越しのピンチであった。
ここでバッターはビスコッティー。
初球だった。
「バキ―――――ン。」
会心な当たりはセカンドの横を襲った。
その当たりをセカンドのアルトゥーベがダイビングキャッチ。
それを見て三塁ランナーのオルソンがホームに突っ込んでくる。
アルトゥーベはホームに送球したが、ホームは間に合わなかった。
キャッチャーのマルドナードは一塁に送球してなんとか一つアウトを取った
しかし、貴重な勝ち越し点がアスレチックスに入った。
その後は変動なく、九回の裏を迎えた。
先頭のゴンザレスがヒットで出塁。
ホワイトがサードゴロでランナー進塁。
ここでヒンチ監督はマルドナードに代打を出した。
「Gen,go.」
代打はゲンだった。
メジャー公式戦初打席を重要な場面で任された。
相手の投手はファミリアだ。
2018年は70登板の剛腕だ。
初球はシンカーを空振り。
ゲンはここで予想した。
次は内角のファストボールだ。
第二球。
ファミリアの球はゲンの予想した通り内角にファストボールが来た。
ゲンはその球を打とうとした。
しかし、運悪くその球は左肘に直撃した。
ゲンは少し痛かったが、骨の部分だったのでゲンはそこまで痛くなかった。
ゲンの公式戦初打席はデッドボールだった。
これでアストロズは一死一二塁のチャンスを迎えた。
ここでバッターは一番のスプリンガー。
スプリンガーはファミリアのスライダーをライト前に運んでヒットにした。
これで一死満塁のチャンスを迎えた。
バッターはブレグマン。
2-2からの五球目だった。
「カコ――――――ン」
素晴らしい当たりがレフトへ飛んでいく。
その打球はぐんぐん伸びていく。
ボールよ、伸びろ。
しかし惜しくもレフトがボールをキャッチした。
三塁ランナーはタッチアップでホームイン。
同点に追いついた。
その後の試合は同点が続いた。
試合が動いたのは九回の裏だった。
アストロズはデベンスキーをマウンドに送った。
しかし、ヒットとフォアボールなどでツーアウト満塁のピンチを作ってしまう。
息がぜいぜいとする。
切り抜くぞ、このピンチを。
デベンスキーは四キロのランニングの後の様に息が激しかった。
バッターはチャップマンだった。
初球、154キロのファストボールは内角へ決まった。
ワンストライク。
二球目はカーブが低めに外れた。
1-1になった。
そして三球目だった。
「カコ―――――――――――ン」
会心の当たりはショートのコレアの横を襲った。
コレアは飛びついて掴んだ。
二塁へ送球する…
しかし、その送球はセカンドが捕球できなかった。
サヨナラ負けを喫した。
ゲンのデビュー戦は惜しくも敗戦になってしまった。
……燃えろ、虎よ……