第十七話 メジャーへ
世間には大きな話題が飛び交っていた。
「楽天・福浦メジャー挑戦か!?」
「福浦、今日からアメリカへ。」
そう、ゲンのメジャーリーグ挑戦の報道がされていたのだ。
第一有力としてヒューストン・アストロズが出ている。
2017年のワールドシリーズ制覇の球団だ。
ゲンはその日、約四時間にわたって入団交渉が行われた。
そしてゲンは記者団の前で会見をした。
「今のところ一番行きたい球団はアストロズさんです。しっかりとオーナーさんと話しをしてから決めたいと思います。」
そして数日後だった。
球団から発表があった。
「ヒューストン・アストロズは福浦選手の入団を正式に決めました。」
ゲンは遂にメジャーリーガーとしての第一歩を踏み出した。
ルーキーで初のメジャーリーグ表明だった。
まずアストロズというチームを紹介しよう。
ヒューストン・アストロズはテキサス州ヒューストンのミニッツメイド・パークを本拠地とする、アメリカンリーグ西地区所属のチーム。
2013年までは万年100敗の弱小球団だった。
だが、2014年にはアルトゥーベやカイケルが活躍し、リーグ優勝を成し遂げる。
2017年にはバーランダー、モートンなど盤石な投手陣とコレア、スプリンガー、アルトゥーベという強力な打線で地区優勝。
さらにはワールドシリーズではドジャーズを下し、球団初の世界一に輝いた。
近年力を見せつけているチームだ。
ゲンはキャンプで招待選手として一軍のキャンプに参加することになる。
キャンプまでの間、ゲンはヒューストンの町を散策することにした。
たくさんのビルが並び、すごく賑わっている。
飲食店で大きなケーキやハンバーガーを食事した。
アパートに帰る途中、ゲンは街中で同僚のジョージ・スプリンガーと出会った。
スプリンガー「Hi,Gen.ImSpringer.Nice to meet you.(やぁ、ゲン。俺はスプリンガーだ。よろしくな。)」
ゲン「Nice to meet you too.(こちらこそよろしくお願いします。)」
スプリンガー「How is going?(最近どう?)」
ゲン「Im looking forward to become a member of the Astros.(私はアストロズの一員になることを楽しみにしています。)」
スプリンガー「Oh,that’s nice.Lets meet next time.(それは良いね。また今度会おう。)
ゲン「Bye.(また今度会いましょう)」
さぁキャンプが始まる。
このキャンプにはメジャーの有名選手がズラリ。
2017年MVPのアルトゥーベからコレア、スプリンガー、ブレグマン、バーランダー、カイケルなどの主力選手がキャンプに参加していた。
ちなみに、ゲンのライバルはマルドナードだ。
大谷をリードしたことがある捕手だ。
ゲンは午前中はバッティング、午後はキャッチャーの守備練習をした。
ゲンはライバルであるマルドナードに練習後、キャッチャーについて教えてもらうことにした。
フレーミング技術や盗塁阻止のコツなどを教えてもらった。
ほとんどマルドナードが実力的に上だった。
しかし、ゲンには唯一マルドナードに勝っていることがあった。
それは座り送球だ。
メジャーリーグの捕手の代名詞だ。
かつてはマリナーズの城島が座りながらランナーを刺すプレーで観客を沸かせていた。
マルドナードも座り送球が得意だったが、ゲンは高校時代ケガをしていたため、車いすを使って座り送球の練習をしていたのだ。
その実力はメジャーリーグの中でもレベルが高いものだった。
果たしてゲンは開幕メジャーの座を掴み取ることはできるだろうか…