第十五話 絶対に負けられない戦い 前編
さぁ、日本シリーズが始まる。
日本シリーズで戦う相手は、日本のエース菅野を率いる原巨人だ。
特に巨人の岡本に要注意だ。
少しでも球が甘くなるとスタンドに運ばれる。
楽天はカーショー、則本、岸の三本柱で今シーズンを戦い抜いた。
打者陣では、強肩強打でリードも上手いゲンが中心となる。
2013年以来の日本シリーズでの対戦となった。
第一戦は本拠地楽天生命パークで行われる。
楽天の先発はカーショー。
巨人の先発は菅野。
両チームとも国を代表するような投手であった。
そして、その通りに投手戦になった。
試合が始まった。
先発のカーショーは初回、ポストシーズン好調で一番に起用された立岡を見逃し三振に取ると、陽、坂本を三振に取り、三者連続三振に打ち取る。
一方の菅野も三番に入ったゲンを三振に打ち取るなど、三者凡退で両チームスタートした。
その後、両チームの打線はともにヒットが全く出なかった。
カーショーは五回に阿部にライト前ヒットで初ヒットを許した。
七回の表だった。
カーショーは先頭の陽の打席で、カーショーのすっぽ抜けた球が陽の肘に直撃。
すると、両軍ベンチから飛び出してきた。
乱闘が始まった。
ゲンはカーショーを止めに行った。
乱闘は七分経ってからやっとおさまった。
カーショーは、その後坂本をダブルプレー、岡本をレフトフライに抑えた。
するとその裏、楽天は未だノーヒットの菅野から先頭の田中が四球、藤田が送りバントでランナー二塁。
バッターはゲンであった。
今日の試合はここにかかっていた。
このターニングポイントでゲンを迎える。
ゲンは考えず、バッターボックスに入った。
ネクストバッターズサークルにはウィーラー。
ゲンは初球で打つと決めていた。
そして初球。
巨人のキャッチャー小林はスライダーを指示していた。
しかしその球は引っかかり、真ん中にいった。
「カコ――――――――――――――――ン。」
打ち返した当たり快音を響かせ、ライトの頭上を襲っていた。
ライトの立岡がジャンプをしたが、打球がグローブを弾き、そのまま右中間を転々としていた。
ゲンは打球が転がっている間に三塁へと到達した。
ついにこの投手戦の均衡を破った。
球場の熱気がさらに上がった。
その後ウィーラー、銀次が連打で得点し、菅野をノックアウトした。
カーショーは安定した投球を続け、九回を投げ切り、完封勝利を達成した。
第一戦は楽天が接戦をモノにし、三対0で先勝した
第二戦は巨人が田口、楽天は則本が先発。
初回からイーグルス打線は田口に襲い掛かる。
連続四球でゲンがタイムリー。
さらにウィーラーが二点タイムリー。
初回で三点を取った。
則本は三回に岡本にツーランホームランを許してしまう。
さらに四回にはノーアウト満塁とピンチを招いてしまう。
しかし小林、立岡、陽を三者連続三振に取り、得点を許さなかった。
則本はその後快投し、七回二失点でマウンドを降りた。
八回の裏にはツーアウトからゲンがソロホームランを放ち、リードを広げた。
ゲンの日本シリーズ初ホームランだった。
八回ハーマン、九回高梨とリレーをつなぎ、楽天は四対二で日本シリーズ二連勝を飾った。
いい気分で寮に戻ったゲンだったが、テレビを見て衝撃的事実を知ることになる。
キャスター「続いてはスポーツの時間です。楽天にとっては痛いニュースが入ってきました。楽天の守護神松井裕樹選手が左肘の骨折と診断されました。なお、日本シリーズの出場を辞退しました。傷を負ったのは約10日前と言われています。柳田監督は守護神をハーマン選手を起用すると明言しました。」
まさか…あの事か!
第三戦は巨人は山口俊、楽天は岸が先発。
先発の岸は三回までパーフェクトピッチングを披露する。
しかし四回に立岡にスリーベースヒットを打たれると、陽に犠牲フライを決められ、先制を許す。
打線は山口俊の前に全く得点ができなかった。
岸はその後も好投を披露するも、打線に全く元気がなく勝ちが付かなかった。
山口俊はその後も快投を続け、ついに九回まできた。
先頭のウィーラー、この男は闘志を燃やしていた。
山口俊の球に食らいついていた。
決め球のフォークをファールにし、七球目でフォアボールを奪った。
しかし、そんなウィーラーの執念も虚しく、銀次がダブルプレーに倒れてしまう。
その後内田も三振でゲームセット。
山口俊が完封勝利で日本シリーズ、二勝一敗になった。
第三戦は惜しくも敗れたものの、第一戦と第二戦でカーショーと則本で勝利できたのは大きかった。
後編へと続く…