第十三話 首位攻防戦
九月十八日、今日勝てばマジック点灯だ。
相手はソフトバンクだ。
相手先発は東浜。
シンカーが厄介な投手だ。
しかし、今日の楽天の選手たちは、そのシンカーに食らいついた。
単打を打ちまくり、最終的には十二安打で勝利、マジック13が点灯した。
6年ぶりの優勝に向け、仙台市民は沸き上がった。
9月23日、今日は立秋の日だ。
しかし、二位につけている日本ハムがいた。
このカードをスイープすれば、楽天の優勝が決まる。
第一戦。
楽天は辛島、日本ハムは上沢が先発だ。
試合は緊迫する展開が続き、六回まで両軍無得点だった。
すると七回、日本ハムは西川がスリーベースを放つと、近藤がスクイズを決めて先制した。
しかし楽天もその裏、ウィーラーがソロホームランを放ち、同点に。
試合は九回裏の楽天の攻撃。
先頭バッターはゲンだ。
「ゲン、一発ぶちかまして来いよ。」
柳田監督からエールをもらった。
ここは俺が決めてやる!
宮西が投げたシンカーだった。
「カコ――――――――――ン。」
レフトスタンドに完璧にぶち込んだ。
サヨナラホームランだ。
まさにドラマチックだった。
ゲンの活躍によって、楽天の優勝マジックが四になった。
そして第二戦、楽天は則本、日本ハムは有原が先発。
この試合は歴史的乱打戦になった。
まずは初回、日本ハムが三点を先制すると、楽天は五点逆転した。
さらに三回は日本ハムが一気に六点を逆転するも、楽天が七点をとり、またまた逆転。
そのようなシーソーゲームがその後も続き、最終的に17対16で楽天がリードしていた。
最後は九回、松井が締めゲームセット。
ついにマジック二になった。
明日勝てば楽天の二度目の優勝が決まる。
そして第三戦、先発は岸とイエラだった。
岸はこの日は行けそうな気がしていた。
きょう勝てば優勝が決まることで、楽天生命パークには四万人の人たちが集まった。
その中で、岸は躍動した。
日本ハムの打線を全く打たせることが無かった。
楽天の打線は三回に一点を先制した。
岸は最終回を迎えた。
先頭バッター西川をまずレフトフライ、さらに松本をセカンドゴロに仕留めた。
そして最後の打者、近藤だ。
二球で追い込んで、三球目だった。
カーン。
打ち上げた打球はセンターフライだ。
センターの田中が掴んで試合終了だ。
「やった―――――――――――!!」
楽天は六年ぶり二度目のリーグ優勝を達成した。
その後、近くのホテルでビールかけが行なわれた。
ゲンは残念ながら未成年だったため、ビールかけに参加することはできなかった。
しかし、六年ぶりにリーグ優勝を成し遂げたチームにとってゲンは大きな存在だっただろう。