第十二話 黄金の八月
七月が終了。
ゲンは打率2.69本塁打5打点26というレギュラー選手のような成績を残した。
そしてついにあいつとの対戦が実現された。
そう、それは…
「マリーンズのピッチャー 森響。」
森だ。
八月十一日日曜日
ゲンは練習中森の方へ向かい、挨拶をしてきた。
ゲン「よう、森。久しぶりだな。」
森「おう!久しぶり!お互いいい球団行って良かったな。」
ゲン「お前もう九勝かよ!」
森「ゲンも十七本ホームラン打ってるし、全然いいじゃん。」
ゲン「新人王、どっちが取れるか競おうぜ。」
森「わかった、俺も負けねえから。」
試合が始まった。
ロッテ先発の森はストレートやカーブを使って緩急を付け、楽天の打者を三回までノーヒットに抑えた。
ちなみにゲンの第一打席は四球だった。
そしてゲンの第二打席。
森はゲンをストライク先行で追い込んだ。
しかし、ゲンはそれに激しく食らいついた。
決着は十四球目だった。
カキ――――――――ン。
ゲンも当たりはレフトスタンドへ一直線だった。
そのままスタンドに入った。
ゲンは盟友から第十八号ホームランを打った。
その後森は打ち崩され、ノックアウトされた。
この対決はゲンの勝利になった。
八月十八日
今日は近くの広場で慰霊する行事があった。
ゲンは慰霊者代表としてスピーチをした。
「私たちは、死者のことを忘れてはいけません。僕は、高校生の頃、僕がいつもバッテリーを組んでいたエースの西本が交通事故で他界しました。僕はそのとき、初めて悲しみを覚えました。なので皆さん、今日は死者をしっかり慰霊しましょう。」
ゲンは一輪の花を乗せ、手を合わせた。
そして八月三十日、今日はゲンの誕生日であり、プレイヤーズスペシャルだ。
ファンはゲンに注目した。
対するのは日本ハムの新外国人、イエラ。
彼はキューバ代表でナンバーワンとも言える実力。
左投げで二年連続奪三振王に輝いた。
しかしこの試合、ゲンが大爆発する。
一打席目は、一回の裏ランナー一塁。
ゲンはイエラのボールに食らいついた。
カコ―――ン。
スライダーを低弾道でレフトスタンドに運んだ。
バースデーアーチになった。
さらに二打席目はランナー一塁二塁のチャンス。
ゲンは今度はストレート待ちだった。
すると、なんと一球目でど真ん中にストレートが来た。
待ってもないような球がきた。
もちろんゲンはフルスイング。
「カコ――――――――――――――ン。」
完璧すぎる当たりだ。
なんと打球が場外へと消えてしまった。
推定飛距離157メートルだった。
これはゲンの中では生涯最高飛距離だった。
さらにゲンは次の打席もホームランを打ってしまい、三打席連続ホームランになってしまった。
楽天はその後中田、西川、鶴岡、近藤にホームランを打たれたが、13対11で勝利した。
しかし首位の楽天も危ない位置にいた。
何しろ、日本ハムがすぐ後ろにいるからだ。
ゲーム差は気づけば0.5ゲーム差だったからだ。